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2021年映画感想

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2021年7月の記事一覧

アニメ映画『竜とそばかすの姫』感想 理想のネット社会を描くファンタジー

 書きあがって読み返すと不満たらたらですが、面白かったですし、良い作品でしたよ。アニメ映画『竜とそばかすの姫』感想です。  もはや、言わずと知れた存在となった細田守監督の最新作。細田監督作品は、『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』だけ観たことがありました。どちらも一定の感動はあるものの、正直あまり好きになれない作品というか、観ていてかなりストレスを感じてしまうところもあったので、もう観なくてもいいかなと思い、その後の作品には手を伸ばしていませんでした。  けれども、

映画『ライトハウス』感想 屹立する支配欲

 観終わると、潮風と波でべったり湿っているような陰鬱な気持ちになれます。映画『ライトハウス』感想です。  孤島にやって来た2人の灯台守。年配でベテランのトーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)は、勝手に仕事を割り振り、新人のイーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)が重労働ばかりを課せられる。普段の振る舞いもガサツで品性のないトーマスに、ウィンズローは不満を募らせるが、灯台守の期間である4週間の辛抱と、真面目に仕事をこなしていく。迎えの船が来る前夜、初めて祝いの酒

映画『Arc アーク』感想 SF感表現の難しさ

 ちょっと不満が多いですが、こういうジャンルへの期待の表れと思ってください。映画『Arc アーク』感想です。  17歳で産んだ子どもを捨てて、放浪生活をする少女リナ(芳根京子)。バーのステージで自分勝手なパフォーマンスをして追い出されたところ、エマ(寺島しのぶ)に見初められ、彼女の仕事に誘われる。エマは、遺体を躍動感あるアートとして保存する「プラスティネーション」の第一人者であった。エマの見込んだ通り、リナはその技術の才能を発揮して後継者となる。エマの弟である天音(岡田将生