マガジンのカバー画像

漫画・アニメ感想

17
運営しているクリエイター

#アニメ感想文

アニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』感想 幻想的な児童アニメに忍び寄る戦争の足音

 『ほかげ』『鬼太郎誕生』と同時期に公開された意味を考え続けています。アニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』感想です。  1981年刊行以来、ベストセラーとなり、今なお名作として読み継がれている、黒柳徹子さんの自伝小説をアニメ映画化した作品。劇場版の『ドラえもん』などを手掛けている八鍬新之介監督によるもので、子ども向けの道徳アニメかと思っていたところ、尋常じゃない評価の高さを目にして、観に行くことにしました。  予告編だけだと、道徳的な雰囲気で、絵柄は昭和の児童書挿絵をモチー

アニメ映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』感想 蘇る水木しげるのメッセージと、葬りさられる昭和

 継承されるべきは昭和の夢ではなく、水木イズム。アニメ映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』感想です。  戦後昭和を代表する漫画家の1人である水木しげる。その代表作の1つで、何度もアニメ化された『ゲゲゲの鬼太郎』ですが、本作は2018年から放送されていたTVシリーズの第6期をベースとして、その鬼太郎の誕生前、父親となる目玉のおやじ、(作中ではゲゲ郎)を主人公としたオリジナル作品になっています。割とノーマークでしたが、聞こえてくるあまりの評判の高さに観ずにはいられなくなりました。

アニメ映画『火の鳥 エデンの花』感想 永遠の命(名作)を得られなかったアニメ化

 うーん、あんまり誉められる出来ではないと思います。アニメ映画『火の鳥 エデンの花』感想です。  この先も、100年以上は読み継がれるであろう手塚治虫の名作中の名作漫画『火の鳥』の、「望郷編」を原作として、『鉄コン筋クリート』『海獣の子供』など、数々の漫画原作から名作アニメを生み出した実績あるSTUDIO4℃がアニメ化した作品。監督も『鉄コン筋クリート』の作画を手掛けた西見祥示郎さんによるものです。「ディズニープラス」ではエンディングのみ別バージョンとなる『エデンの宙』も配

アニメ映画『君たちはどう生きるか』感想 歪さのない調和よりも、美醜溢れる混沌を

 他作品の感想と同じに、結末を書いているわけではないのでネタバレなしとしていますが、原作『ナウシカ』の結末を知っている方にはネタバレになってしまうかもしれません。アニメ映画『君たちはどう生きるか』感想です。  アニメ界の巨匠・宮﨑駿監督による10年振りとなる劇場版アニメ作品にして、御年から計ると、最後の作品になるかもしれない映画。『THE FIRST SLAM DUNK』のやり方に触発されて、あらすじなどの事前情報は徹底的に明かさないという「広告しない広告」という手法も話題

アニメ映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』感想 「Nintendo」王国の始まり

 子どもの時に楽しんだゲームの記憶が、こんなにも鮮明によみがえることに驚きました。アニメ映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』感想です。  「ファミコン」の代表的ゲームであり、ハードが変わった現在でも様々な種類の新作ゲームが創られている任天堂のソフト、『スーパーマリオブラザーズ』を、3Dアニメで映画化した作品。監督はアーロン・ホーバスとマイケル・イェレニックが務め、配給はユニバーサル・ピクチャーズによるものという、任天堂の協力はあるものの、実質的にはアメリカ製作のア

アニメ映画『THE FRIST SLAM DUNK』感想 大胆なスピード感と繊細な人間心理を描いた新しい名作

 2022年最後の映画感想にして、度肝を抜かれた大傑作。アニメ映画『THE FRIST SLAM DUNK』感想です。  もう説明を入れるまでもないでしょう。「少年ジャンプ」を代表する名作漫画『スラムダンク』を、作者である漫画家・井上雄彦さんが原作者としてだけでなく、脚本・監督として参加し、長編アニメ映画として製作された作品。公開が決定してから、あらすじなどの情報は一切発表しないプロモーションが賛否を呼んで話題となりました。しかし、公開直後からは絶賛の嵐となり、原作のアニメ

アニメ映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』感想 令和に蘇った昭和アニメのメッセージ

 『ガンダム』という作品が一般常識として知られているという前提で作られている作品。そう考えると『ガンダム』は伊達じゃないと感じます。アニメ映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』感想です。  『機動戦士ガンダム』のTV版第15話として放送された「ククルス・ドアンの島」をベースに長編アニメ映画としてリメイクした作品。初代ガンダムのキャラクター・デザインも手掛け、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』で監督も務めた漫画家の安彦良和さんが、再び監督を務めています。