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【都市伝説】『白いブヨブヨの手』


中学生の頃に買ったケイブンシャの本を読み返してみた。

簡単な漢字にもルビがふってあるような、小学校低学年向けの書籍。

 その一編に不気味な話があったので、紹介します。


1753年ロンドン

 プロッサー氏という退役軍人が郊外に、古い屋敷を手に入れた。


古い屋敷

八月末のある日、彼の妻が窓を開けて、果樹園を眺めていた時の事である。
(これが私たちの家……)

 ぼんやりと物思いに耽っていた彼女が、窓の下に目をやった時……。

突然、白い手がゆっくりと出て来たのだ。

 まるで誰かが窓の外の石壁を登ってくるような感じで……。


白いブヨブヨの手

「キャーッ!! 誰か、来て!!」

彼女が叫んだ時、その手は下に消えた。


「四十歳ぐらいの人の手みたいで、何か白くてブヨブヨした感じの手だったの……」

彼女は、青ざめた顔で窓を見た。


その夜の事である-------------------------------------

台所の窓と裏口の戸を、何度もたたく音がする。

 トントンと低く静かな音かと思うと、手のひらでなでまわすような音、あるいは、窓も破れんばかりの激しい音が聞こえた。

 プロッサー氏は下男を従え、ドアをバーンと押し開いた。


 外には誰もいなかった…………………………………………が、自分の足元を何かがすり抜けて行ったのを
下男は見た。


 その日から、三歳になる長男が奇病にとりつかれた。
毎夜、ベッドに寝かせると、恐ろしい発作を起こして泣き狂うのだ。

 医者は脳膜炎と診断した。
夫妻は徹夜で看病したが、病状は回復しない。

 ある夜、長男がひときわ激しく泣き出した。絶叫するような、恐れおののくような声が、闇を切り裂く。
あわててベッドのまわりの垂れ幕をはぐった時、夫妻は、はじめて子供の発作の原因を見た!

 あの白いブヨブヨの手が、枕元の戸棚から、ゆっくりと手のひらを下に向けて出て来たのだ。
五本の指が、子供のこめかみにソロソロ、近づいて………。

 悲鳴をあげて、夫人は子供を抱き上げ、夫と三人、転げる様に子供部屋から逃げ出した。
夫婦の寝室に駆け込んで、ガチャリ!

 ドアを閉めると同時に、内側から鍵をかけた。


長い階段

と…………そのドアをコツコツと外から叩く低い音が聞こえた。



(これは、ロンドンで発見されたレベッカ・チャスワースという老女の古い手紙に残されていた記録である。手紙は、ここから先が紛失していて、この屋敷がどうなったかも、わかっていない。)


 この話は、現代1753年のロンドンという二つの時間軸で物語が展開する可能性があります。
 よく時空を超えた恋愛もの映画、特に韓国映画で見るストーリーですね。
よくあるパターンなので面白い話にするのは難しいですが。
 例えば、こういう感じはどうでしょうか? 

『物語の始まりは現代のロンドン。
 主人公が時間つぶしに立ち寄った古本屋
 中身を見ずにレトロな表紙絵を気に入って古本を買う。

レトロな古本


 買った古本に古い手紙があり、フランス語など英語以外の言語で書かれて
 いる。気になってフランス語の辞書で訳しながら手紙を読み進む。
 最後まで手紙を読み進めるが、
 「と…………そのドアをコツコツと外から叩く低い音が聞こえた。」  
 の所で記載が終わっている。
 主人公は手紙の続きが気になるが、ある日主人公も手紙の内容と同じ出来   
 事が起こり……』   

あるいは、手紙の記載が途中までは同じ。
『ある日、知らない人から手紙が来て、中身をみると…』

 など色々なパターンが考えられ、面白い話に出来そうです。 

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