6月7日(日) タイのことしか考えられない

令和一の穏やかな気持ちで目が覚めた。
昨夜はタイの男同士恋愛ドラマ『2gether The Series』を11話まで観進めて日付が変わった頃に寝たはずだが6時台にスッキリと起きられた。
寝起きの心地は睡眠時間よりメンタルに左右されるのだと実感する。楽しい気持ちで寝て何かを楽しみに目を覚ますのが最強だ。

残り2話の『2gether』はニチアサ後に落ち着いて観るとしてネットで関連情報を色々調べていく。タイ語が分かる人の解説ツイートはとても勉強になる。
主演二人を交えた9話鑑賞リアクション動画があり観てみると非常に良かった。爆弾胸キュン台詞が来た瞬間の一同の叫び声が凄まじくて笑ってしまう。タイの人も同じ気持ちで観ているのだと実感できて嬉しい。
主演二人が表紙を飾る雑誌がいくつか売られているようで輸入するか迷う。ふらっとタイの本屋に行ければどんなにいいことか。

想いはタイに馳せたまま習慣としてスーパーヒーロータイムを観る。
『仮面ライダーゼロワン』は今まで登場してきたAI搭載人型ロボット・ヒューマギアのお仕事総集編。あまり期待していなかったが名シーンの振り返りが多く結構引き込まれた。ゼロワン、ところどころ熱い映像があるんだよな・・・。
『魔進戦隊キラメイジャー』は今まで戦ってきた敵の総集編。先週に引き続きアメトーーク!のパロディを地にしつつ「思い出深い敵の名前が思い出せない」というミルクボーイのパロディで30分持たせたのが凄かった。
ただの総集編など絶対に放送しない東映プライドに今週も感動した。

昼はスクール革命を観ながら冷やしうどん。
午後、満を持して残り2話を観る。

終わってしまった。
これから俺はどうすればいいんや。

なあ、これから俺は、
どうすればいいんや。

タインとサラワットを見守る、こんなに楽しい時間はなかった。
次なるタイドラマに進みたいけれど進みたくない。
けれど進んでしまうんだろうな、お前は。
その前に所感をメモっておこう。(一応内容には踏み込まない程度で。)

とにかく元気が出た。皆それぞれ一生懸命好きな人を追いかけて振り向かせようと必死で、友達同士も明るく応援し合って・・・それを青春だなあ、と遠く見るのではなく生命力がダイレクトに伝達されてくるのを感じた。爽やかな方向を向かされた。もうちょっと元気に生きて恋愛とかしようと思う。

本当にラブコメとして最初から最後まで安定して上質だった。面白いシーンでは何度も笑いが止まらなくなり、胸キュンシーンでは何度も奇声を堪えた。関係が翳っている時は心が痛み、心が通じ合う瞬間には感極まった。友達同士でバカをやる日常シーンも愛おしく、片時も心を離されることがなかった。
恐らく日本で言う『花男』くらいのムーブメントになっているようだけれど、花男に熱中していた人たちはこんな気持ちだったのかと思う。

日本文化に浸る身としてどうしても感じたことだが、徹頭徹尾同性愛と異性愛を区別しないで扱う世界だから非常に観やすかった。
相手が女でも男でも友達はいつものノリで恋愛を応援してくれる。主役カップルの関係はIG(インスタ)から大学中に筒抜けで皆が祝福や嫉妬を贈る。同性同士であることが理由で思い悩むことも個人が罵倒されることも関係が秘匿されることもまずない。
BLが陥りがちな閉塞感もなく、かといって無闇に能天気なノリでもなく、大学生活や友達付き合いと同列で暮らしの一部として恋愛があるオープンな作劇だから風通しが良く観ていて気持ち良い。

現在の現実社会の苦しい部分を描かない選択の是非はともかく、在るべき世界の姿をしっかり描くのは偉いと思うし、それは在るべき世界に到達した未来でも古臭さを出さずに残っていく作品になるという意味でも賢い。
なにより「同性愛」というレッテルをほとんど意識せず個別の恋愛模様に没入できるのが素晴らしい。こういうのが観たかった。異性愛ラブコメと何ら変わらないテンションの同性愛ラブコメをずっと求めていたのかもしれない。
こういう作風がスタンダードになっているのならタイが世界を牽引していくだろう。

この作品はBL小説原作で殆どのタイBLドラマは小説原作らしいから、ドラマ以前に小説文化の成熟が大きいのだろう。良質な作品が書かれ、読まれ、ドラマ化に選ばれるという美しいサイクルが今のタイにはある。
ドラマ側も18禁の原作を13禁に調整して性的表現をカットしているのが上手いなと思う。それはビジネス上の判断ではあろうが、中学生が楽しめるゴールデンタイムの恋愛ドラマであればこそ人口に膾炙できる。
性的シーンがないと物足りない気持ちはBL読みのサガとして私にもあるけれど、それでも十分満足できるドラマに仕上げられていたしそもそも異性愛ドラマに性的シーンは付きものではない。こちらも目を覚まさなければならない。

印象深いシーンはまあ全部だけれど・・・全部だった!二人の名シーンは当然として友達の助太刀シーン的なものに弱かった。全13話でどんどんプロットのパターンが変わっていくが序盤も中盤も終盤も好きだった。
ただ役者が違っていたらここまでの大作にはなっていないだろう。主人公タイン役のウィン君は初ドラマだったと知り天才がいるものだと驚いたが確かに新人にしか出せない鮮やかさがタインに合っていた。
サラワット役のブライト君は彫刻のように美しくギターも実際に上手く常に強烈な存在感で画面の華となれる稀有な逸材で、眼差しの説得力がとにかく凄かった。その他の皆もキャラの個性を作り上げるのが上手いイケメンばかりで、女の子もやたら可愛く常に眼福だった。
露悪的なキャラクターがいないのも良かった。ウザいライバルや悪質な攻撃もあるにはあったがあまりイライラさせられることはなく観やすかった。とにかくキャラの心情に集中しやすいストレスフリーなドラマなのだ。

気に入らなかった部分を挙げるとしたらまず劇伴の使い方がある。シリアスな音楽がシリアスすぎて軽くストレスになる上、そんなにシリアスでないシーンにも使われており謎だった。シャーッッッというシンバルのフェードインも無節操に使い過ぎて少し鬱陶しかった。
それはまだいいとして弾き語りシーンにギターのBGMを重ねることが何度かあったのは本当に意味が分からなかった。劇中音楽の使い方は本当に本当に素晴らしかったから劇伴にもこだわりを感じたかった・・・。
あとは主人公タインの感情が謎すぎる問題もあった。序盤の頑固な鈍感さは何だったのか。と思うけれど『ユーリ!!!on ICE』の勇利を思い出すとそんなに謎ではなかったかと思い直せる。

まあそれは些細なことで全体としては最高の思い出になった。
ブームに出遅れてリアルタイムで視聴出来なかったことに悔しさはあるが、どうやら近日中に日本では視聴が出来なくなるようだからギリギリ間に合ってホッとしている。運命だ。
日本の会社が版権を取った影響で日本からのYoutube配信視聴はブロックされるという酷い話ではあるが放送やBlu-rayを期待したい。
ただ恐らくそのせいもあって最終話のYoutube配信の半分には有志による日本語字幕がついておらず、最後の最後を英語字幕で観ることになった。今後に向けてタイ語を勉強するよりは英語の速読を身に付けようと思う。

次に観るのは『2gether』の兄的ドラマ『SOTUS』と決めた。もう素面で日本の現実を生きられない。
『2gether』を忘れるんじゃないかって?大丈夫。主演俳優二人をフォローしたIGを開けば、今日もお互いにお互いの写真をストーリーに上げているのだから・・・。

夜は二人を思いながら料理して食べた。これから風呂って寝る。
人生の転機となる週末だった。ありがとう、2gether。

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