5月13日(水) オーケストラ

アラームを止めてスマホをチェックすると、長年特別な思いを寄せてきた声優・前野智昭さんのブログが更新されていた。

記事タイトル: いつも応援して下さっている皆様へ。

いつか来ると思っていたその時が突然来たことに動揺しながらも、何かもっと深刻な発表だったらどうしようかと不安に駆られて急いでブログを開くと更にホームページのリンクに誘導された。そのワンクッションの間に不安が増幅するのを感じつつ、表示された文章を、読んだ、するとそれは、そうだった。結婚の報告だった。

仕事や健康に関わる悪い発表でなかったことに安堵したがそれは一瞬のことで、結婚、いつか前野さんも結婚するかもしれないと覚悟していたけれど、他の男性声優さんや好きなイケメン俳優なんかが結婚した時とは違う次元の、何とも名指すことの出来ない巨大な何かに襲われた。

お相手は声優の小松未可子さんで、彼女も沢山の人に愛される素敵な声優さんで、だから前野さんにとってこれはとても良い縁でとても良い門出でそれは本当に良いことだった。
そもそも私は熱心なファンではなくただ彼の人柄に対して6年前から一貫した憧憬を抱き続けてきただけだった。
それでもこれはほとんど失恋のような、失恋ともまた違う何かだった。

Twitterで話題になっているかとトレンドを見るも、昨夜のうちにトレンドは終わってしまっていたようだ。トレンドに並ぶ「前野智昭」の文字すらも私は見逃した。
手入力で前野さんの名前を検索してみると、無自覚なまま彼に恋していたことに気付いたという方の呟きが目に入った。
その方は自分の抱えるモヤっとした感情をなんとか分析しようと試みていた。その分析が的外れであると気付きながら書いているであろうことが痛いほど伝わって、無理なんだよ、理屈じゃないんだよと声を掛けたくなった。
だから自分に対してもそういう態度を取ろうと思った。好きな人の幸福を悲しんでしまう自分を理屈で正当化しなくて良い。

前野さんが未可子氏と支え合って素敵な生活や人生を過ごしていくであろうことは実のところ嬉しいことだ。
それでもこれから先、彼の記述の背後には特定の女性との生活がある、ということを受け入れるには時間が掛かる。それはどうしようもない。
ブログからホームページに飛ばすワンクッションを入れたことは、こういう人間がいることを見越した彼の最大限の優しさだということは、彼の文章を読んできた身だからよく分かった。彼を好んできた所以をこの期に及んでもきちんと認識できることが救いだった。

ここまで動揺しておいて何だが、声優でいえば斉藤壮馬さんへの思い入れの方が今は深い。最近ずっと再読していたエッセイ本をちょうど昨夜読み終えて抱きしめて眠ったところだった。彼の結婚を想像するといよいよ正気ではいられない。
恋愛や結婚で一人の他者を過剰に志向したりあるいは社会的自負や生活環境が一変したりすることが人の内面を別質のものに作り変えてしまうとでも思っているらしい、私は。だから好きな文筆家にはそういうことが起こらないで欲しいと願ってしまう強欲な生き物だった、私は。
そして私自身の感受性も恋愛や結婚で無自覚に歪められるとしたら本当に怖いことだった。

なんとか気を持ち直して朝ご飯を食べた。これは日記だった。
日記を始めて一ヶ月になった。データが飛んだら悲しいため、バックアップのテキストファイルを自分のYahoo!メールに送りつけるという作業をした。

ザ(在宅ワーク)の開始時刻までベッドにいたらそのまま永眠してしまいそうだった。巨峰味のカルピスを作りザを始める。

作業用BGMを、と思いYoutubeで同人サークル「交響アクティブNEETs」のオーケストラ演奏を再生することにした。
私の魂であるゲームシリーズ「東方project」の楽曲を彼らが演奏するメドレー動画が好きで再生リストを保存していたのだが、久々に見たら新作動画も追加されていたため新しいものから聴いていく。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLkdmX2HRCLvIVLsLEmoYbdhNI3z3a7Tu0
すると・・・衝撃的なほど良かった!!!演奏自体も良いし、ザのテンションにオーケストラの音色が非常に合っていた。

これは凄く良いと思いながら耳を傾けていたが、気付けばザを放棄してYoutubeの画面に集中していた。彼らの演奏風景は真剣に視聴すべき映像だった。
いかにもオタクっぽい人達やそうでもない人達がそれぞれの楽器でそれぞれの音を重ね合わせ、東方の楽曲をその場に作り上げている。その風景、その音に自分でも困惑するくらい心から感動していた。泣きそうだった。何度も鳥肌が立った。
特にフルートがソロになるところや、原曲の早弾きを再現するピアノ、バイオリンのトップと思われるメガネの男性の弾き様などが凄く凄く良くてグイグイと惹き付けられた。

結局一日中彼らの演奏をリピートしていた。
何だかんだで仕事も舞い込んで来て、昨日感じたような"緩やかな監獄のような時間"はほとんど流れなかった。
昨日酷かった抑うつ感も改善されたと思ったらやはり生理が始まった。今日漫然とあった眠気や腹痛はそのためだと分かった。一方で精神状態が平常値にリセットされるのもいつも通りだ。この仕組みに日常の大部分を支配されている以上、この日記にもぼかさず書かなければならない。

そしてザは終結。夕飯はミートソースをかけた豆腐など。
TM NETWORKのアルバムを聴きながら皿を洗う。TM NETWORKにハマりつつある。
それからようやく日記を書き始めた。今日は全く書けずもう駄目かと思ったが、書き出せば必ず書けるのが日記だ。
私は継続したことを一気に止める癖があるけれど、毎日を生き続ける限りなるべく日記を残していけたら楽しいと思う。大晦日の日記を書くことを考えたら今からワクワクしてしまう。平穏な大晦日を早く迎えたい。

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