【6月7日発売】鈴村智久『バシレイア:思弁的神秘主義の理論と実践』のお知らせ
【作品内容紹介文】
私はこれまで、自分にとってキリスト教とはいったい何なのか、なぜ私は洗礼を受けたのかを問い続けながら生きてまいりました。
本書でようやくその想いを言葉として残すことができたと思っております。
私自身がカトリックで洗礼を受けるきっかけとなった2007年9月17日の神秘体験の全容についても詳細に書かせていただきました。
西洋魔術研究家の虎魔リリカ様と、作家の浜名藤子様による秀逸な「解説」が収録されています。
キリスト教だけでなく、神秘体験、臨死体験、スピリチュアリズム、心霊現象、オカルティズム、錬金術、魔術などに関心のある方でも興味深く読んでいただけるような本を目指しました。
ぜひ一人でも多くの方に、この世界にはまだまだ科学的合理主義では解明できない神秘がたくさんあり、それらには人間を生かす力があるのだということを知っていただければと思っています。
●敵と味方、勝者と敗者、善と悪、男と女──人間の無意識にまで根を下ろすこれら「二項対立的思考」から解放されるために、イエスが行っていたシンプルな精神的態度とは何か?
最古層の史的イエスの言葉にも存在する「思弁的なもの」(speculative)の本質とは?
現代社会を束縛する様々な二項対立図式に対して、相対主義と絶対主義を相剋した新しい道を指し示す。
●人間の無意識を支配している「過去への執着」から解放されるために、イエスが心掛けていたこととは何か? 近年のマインドフルネスや自己啓発とは一線を画する、「今ここにある自分自身」を純粋に肯定するための心の所作を、史的イエスの言葉を中心にしてわかりやすく伝える。
●苦しみの中でみずから死を選んだ者は、本当に地獄に堕とされるのか? これまでキリスト教がタブー視してきた「自死」の問題に対して、現代の反出生主義の問題を念頭に置きつつ、死に真正面から対峙したイエスの最後の教えを伝える。
●伝統的なキリスト教では女性が司祭になることはできず、聖三位一体の神は父性的なロゴスとして構成されてきた。 この教義的伝統が史的イエスの言葉からいかにかけ離れたものであるかを解き明かし、LGBTQへの倫理的配慮が問われる現代社会において真に相応しいキリスト教の再構築を模索する。
【推薦文】
●「ルネサンス期の哲学者ピコ・デラ・ミランドラは『人間の尊厳について』の中で、『人間は己の意志ひとつで地を這う虫のような存在にも天高く空を飛ぶ鳥のような存在にもなれる』という言葉を残している。私は鈴村氏がいかなる時も保ち続けたその強い信仰心、それこそが『天高く飛ぶ鳥のような存在』として神に選ばれ求められた人間的資質ではないかと思う。[…]敬虔なクリスチャンとして純粋に神の意志を受け入れ、誠実にそして勇敢に神の啓示と現実世界に立ち向かってゆく。その姿はあたかも現代に甦った中世の騎士そのものである。」浜名藤子(作家)
●「どんな方法をとっても、神秘体験をより具体的に表すということには、大変な労力がかかります。[…]この書籍に示された思想も、今までの学び、日々の研究、さらに、キリスト本人の思想の原点までも検証した著者の前作である『ナザレのイエス:思想の起源』に惜しみなく注ぎ込んだ膨大な努力から導き出された結果なのです。[…]宗教の枠を超えることのできる広い文化的な活動が、著者の思弁的神秘思想と、その実践の結果であるのなら、宗教や思想の分断で終わらぬ争いが存在し続けるこの世界にも、希望はあるのです。」虎魔リリカ(西洋魔術研究家)
【著者紹介】
●鈴村智久[著者]
1986年、大阪府守口市生まれ。
作家。CAL編集長。大手住宅設備メーカー社員。
2008年、カトリック教会で洗礼。洗礼名、洗礼者聖ヨハネ。
2018年より、ローマ教皇庁公認の国際的信徒会「けがれなき聖母の騎士会」(M.I/Militia・Immaculatae)会員。
2022年、純文学・幻想文学を中心にしたアンソロジー小説を企画・出版する「クラシック・アンソロジー叢書」(CAL /Classic Anthology Library)をデザインエッグ株式会社より創刊。第3回配本『マテリアル・ゴシック』発売時点で総勢30名以上の作家が参加。
X公式アカウント:@SUZUMURA_Inc
CAL OFFICIAL:@CAL_Corporation
【研究書】
・映画論『ヴィスコンティの美学』(2015)
・メイヤスー論『事実論性の展開:思弁的実在論についての試論』(2016)
・後期デリダ論『政治的無力:「来たるべき民主主義」批判』(2018)
・美術論『死と優美:十八世紀ロココ様式の美学的構造』(2018)
・史的イエス論『ナザレのイエス:思想の起源』(デザインエッグ社、2022)
【小説】
・『修道女』(デザインエッグ社、2021)
・『十の王冠』(デザインエッグ社、2022)
●虎魔リリカ[解説]
東京都出身。西洋魔術研究家・アーティスト。
マサチューセッツ芸術大学ファインアート科卒業。
世界の宗教や密教に内在している比喩や思想の共通性に興味を持ち、現在は神秘思想の実践として、カバラと儀式を中心とする西洋魔術の研究している。
魔術実践用の象徴画や、幻視的な絵を描く。
●浜名藤子[解説]
神奈川県横浜市出身。作家。
エブリスタにてFUJIKO名で耽美小説『おまえの首に口づけしたよ』シリーズを連載。
十作にて完結後、2015年同作のサイドストーリー『切なくて甘くてズルい』でAmazonPOD大賞を受賞。
CAL主催アンソロジー小説『マテリアル・ゴシック』(デザインエッグ社、2024)に「孔雀奇譚」を寄稿。
フリーライターとして韓国情報サイト『noritter』記者。
【目次】
序論
1 はじめに
2 現代の神秘主義批判に抗して
第一章 洗礼以前の神秘体験の諸相
1 最初の神秘体験(五歳)───病室に出現した少年イエス
2 二度目の神秘体験(七歳)──水死の手前で届いたメッセージ
3 中学時代の終末的幻視①───水没した未来都市
4 中学時代の終末的幻視②───世界最終戦争と忘れ去られた廃駅
5 高校時代の終末的幻視①───悪魔が支配する街
6 高校時代の終末的幻視②───通学中プラットホームに出現した悪魔
7 バシレイアの経験的諸相①──復活のキリストの幻視
8 バシレイアの経験的諸相②──太陽と月の合一、あるいは賢者の石
9 バシレイアの経験的諸相③──「今ここ」に現存する神
第二章 洗礼から騎士会入会にまで至る神秘体験の諸相
1 カトリックでの洗礼と、教会内で聞いた神秘体験の事例
2 フランス巡礼中の神秘体験①──ノートルダム大聖堂とサン・トロフィーム教会
3 フランス巡礼中の神秘体験②──モン・サン・ミシェルでの大天使ミカエルの御告げ
4 カタールでの神秘体験──ドーハ上空に出現した天使の大群
5 天橋立での神秘体験と、けがれなき聖母の騎士会への入会
第三章 イエス・キリストとの十四の霊的対話
1 死後の世界の諸原理
2 ミクロコスモスとマクロコスモスの相互映現
3 ソフィアとロゴスの根源的な相互包摂性
4 両性具有性としての原初のキリスト
5 イエス自身のバシレイア体験
6 「人の子」としての自己確信
7 相対主義と絶対主義の相剋
8 思弁的神秘主義の基礎
9 霊魂の七段階理論
10 プロメテアニズムと進化の問題
11 死を前にした純粋贈与
12 現代におけるアンチキリスト
13 地上的な家族とバシレイア的共同体
14 諸教会の衰退と新しい「人の子」の到来
あとがき
解説1 宗教の枠を越える思想 虎魔リリカ(西洋魔術研究家・アーティスト)
解説2 神の国と現実世界を繋ぐ知性 浜名藤子(作家)
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