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私の大学病院勤務時代の話

こんにちは。先日Xで何気なく呟いた投稿に思ったより多くの反響があったので改めてこちらで記事を書いてみました。

身バレ対策として、クリティカルな情報に関してはボカしたり、身元特定に繋がりうる部分に限り虚偽の内容を含めていますのでご承知ください。今回の記事は一般論というよりは自分自身の経験の話なので「大学病院はそんなところじゃない」という批判はご勘弁願います。大きく偏りのある情報であることを先に断っておきます。

私の大学病院勤務時代

私は市中病院で初期研修を行ったので、大学病院に勤めたのは外科医になってからが初めてでした。学生時代にクリクラ(クリニカルクラークシップ:病院実習のこと)でなんとなくの大学病院の雰囲気は知っていた気でいましたが、これまた実際に働いてみて見えた部分や気付いたところがたくさんありました。

身分は”非常勤”

私が大学病院に勤めるにあたり病院と結んだ雇用契約によれば、身分は非常勤職員で勤務日数は週4日ということになっていました。勤務時間は8:30~17:15です。給料については「当院規定に基づき支給」という表記で、実際に支給されるまでいくら貰えるのか分からない、他の業界ではあり得ないでしょうが病院あるあるな文言でした。その当院規定を教えやがれという話ですが、これは私が勤めてきたすべての病院で同様であったため大学病院に限らないことだと思います。先輩や前任者から直接聞く以外に次の職場の給料を知る術がないというのが我々の業界です。(もちろん全ての病院ではありません)
市中病院で研修していた上に仲が良かった先生の大半は大学病院勤務の経験がない方々だったので、正直大学病院で働くということがどんなもんか分かっておらず「え、週4日勤務でいいの?もしかしてめっちゃホワイト?そういえば大学病院って先生たくさん居たしなぁ」なんて思っていました。我ながら振り返ると微笑ましい通り越して愛おしいと思います。

大学病院専攻医の朝は早い

診療科によるQOLの差はあれど、大学病院の専攻医は基本的に科を問わずめちゃくちゃ忙しいと言って良いと思います。一般にQOLが高いとされ、QOLを求めて選ばれることもある眼科、皮膚科などのいわゆるマイナー科であっても、専攻医に関しては外科の私と同じような働き方をしている人も少なくありませんでした。(もちろん、その内訳については臨床より研究に関する仕事がメインだったりという差はあると思います)

私の所属した大学病院ではチーム制を取っていて、科としての患者総数は平均すると20-30名前後だったと思います。
1日は朝回診から始まります。研修医もしくは専攻医が患者のカルテを順に開いて傷病名、現状、治療方針、今後の予定について簡単なプレゼンをしていき、それが終わると包交車とともに各患者の元を回ります。私の所属チーム全体の回診は7:30開始でしたが、7:30に間に合えば良いかと言うとそうではなく、回診の時点で患者の最新の状態を把握しておかなければならないため「チーム全体回診のための回診」が必要でした。そのため研修医や私を含めた専攻医は7:00前後には出勤していました。患者が少なかったり退院待ちの患者ばかりの時は短時間で回れるため7:15くらいに行くこともありましたが、基本は6時半に家を出て7時出勤、という生活でした。

そして夜は遅い

この世で最も定時という概念が認識されない環境。それが大学病院です。患者数自体は市中病院の一般外科と比べれば少ないことが多いですが、その分重症例だったり高難易度手術の症例が多いため、患者一人あたりに生じる仕事量は圧倒的に多く、常に何かやることがある状態です。単純に仕事が終わらなくて21時くらいにようやく病院を出るのが基本の生活でした。どうしても早く帰りたい場合にはどうするかというと…
①予定があって入念に根回しをする
②手術が想定範囲の時間で終了する
③病棟で予期せぬトラブルがない
④緊急案件がない
⑤先輩・上司の”スイッチ”が入っていない
がすべて揃ったとき、奇跡的に17時台に病院を出られることがありました。私は帰る努力を惜しまなかったので、1年間に数回の奇跡を起こすことに成功しています。ただし②は術者でなければどうにかなるとしても③〜⑤に関しては自分でコントロールできる条件ではないため、どうしても早く帰りたい日でも早く帰れる保証はありません。

また以前の記事でも書いた通り「先輩・上司が帰るまで帰れない(非常に帰りづらい)」という空気感もあるので、仕事が終わっていたとしても帰れるかどうかは別問題でした。上記⑤のスイッチとは、その先輩上司たちが暇になったとき「あいつにこれ(学会発表研究論文etc..)やらせてみるか」と気まぐれを起こしたり「俺が下の頃はずっと病棟に張り付いていたもんだ」みたいにボルテージが上がることを指しています。

大学病院の医者はずっと病院にいる

理由は様々。
①単純に仕事が終わらないので帰れない
→後述しますがパッと見では分からない、病棟の仕事以外にもサマリ作成にパス入力、スライド作りに紹介状・返書作成、症例のデータ入力etc…仕事はたくさんあります。
②仕事が終わるのが遅かったから”帰らない”
→例えば仕事を終えて22時、みたいになるともはや明日も早いしこのまま病院で寝た方が楽だ、という発想になります。私の場合は1秒でも病院から離れたかったし無理矢理にでも一度区切りを付けたいので基本帰りますが、疲労度や翌日の予定によっては”帰らない”ことも少なからずありました。当直でもオンコールでもないのに病院で夜を過ごす時には「病院にいるのにまず呼ばれないなんてお得!」という感覚で妙な安らぎを感じたのを覚えています。控えめに言って狂ってますね。
③臨床の仕事を終えたあと、研究や論文執筆、学会の準備がある
→大学病院は教育・研究機関でもあるので地方会も含め学会発表をたくさん命じられます。私は学術活動が本当に嫌で最低限で生きていきたいのですが大学ではそうはいきません。上司・先輩から学会があるけど発表する?と聞かれた時点で選択権がないのはもちろんですが「いついつに◯◯学会/地方会あるけど何出す?」と発表をする前提で話を振られるのが平常運転です。
ちなみに学会発表があまりにも嫌で仲の良い先輩に「なぜこんなに嫌なのに専門医取得にdutyでもない学会発表をしなければならないのか」と泣きついたときに「俺も嫌いだけど大学病院の役割だから仕事と思って割り切るしかない」と言われ、みんなが好きでやってるわけじゃないんだと思えて気持ちが楽になったのを思い出します。同じ地獄でも一緒に苦しむ人が居るのどそうでないのとでは天地の差があります。You are not alone!
④何らかの理由で家に帰りたくない
激務で家庭を顧みない人生が強いられるのが大学病院という世界です。私が自分のプライベートや家族との時間を最優先するために外科を辞めるように、大学病院に長く在籍している先生の中には医師として・研究者として学内での出世を最優先してプライベートを捨てている先生が数多く存在します。

私「先生はお休みの日はどう過ごされているのでしょうか」
仕事=趣味先生「論文読んだり書いたり研究進めたりかなあ。俺の場合はそれが趣味なんだよねw」

私「先生はいつも病院にいらっしゃいますが…お休みは取られないのでしょうか」
独身貴族(?)先生「誰もいないしやることもないし、あんま帰る意味がないんだよね。医局だと誰かしらいるから話し相手が居て良いよ」

私「先生はいつも夜遅くまで研究をされているのでしょうか」
家庭崩壊先生「そういう時もあるけどうちは早く帰ると妻に怒られるからさ。子供が寝静まってからそっと帰ってるんだよね。ま、ATMだわなw」
私(よく見たら家庭崩壊先生のパソコンには女の子がラーメン啜ってる動画とゲームの画面が表示されている)

私「いつも帰り遅いと奥さん寂しがってるんじゃないですか」
新婚ハイパー先生「いや、子供が小さいから家じゃ勉強もできないしね。嫁は専業だから俺が帰らなくても大丈夫」

大学病院で出会った帰りたくない先生達

いずれの理由にせよ先輩・上司が大勢残っている状況では下は帰りづらいですし、業務的には17時台に帰れる状況でも忖度せざるを得なくて1~2時間ほど彼らとの雑談に興じたり今やる必要もない2週間後の入院患者のサマリを作るなどしていました。ただし、大学に居る後輩に聞くところによると働き方改革により上司から早く帰れと言われるようになったり、早く病院を出るハードルが下がりつつあるようです。

若手が病院に居ないのはやる気がない、という風潮

これは医局・病院・上級医によって大きく変わる部分ですが、私が居た環境ではこのような風潮はギリギリ明文化されていないだけで濃厚な存在感を醸していました。
帰りづらい雰囲気だけならまだしも、実際に上司から「もう帰るのか」「俺が(若手医局員の部屋を)見に行くと侑はまず居ないよな」、先輩から「まあ帰っても問題はないよ」「ただ若手はなるべく病院に居てアピールするのが大事なのは知っといた方がいいよ」などなど。
嫌われる勇気ならぬ「あいつは帰るやつと思われる勇気」を持った私でも、帰宅を諦めて医局に引き返すのに十分な言葉をいただくことも少なくありませんでした。

教授回診というイベント

教授回診とは週に一度教授を筆頭に全チームの患者を回診する大学病院名物のイベントです。
患者の治療方針や術式を診療科全体で検討・決定することがメインの目的で、研修医〜我々のような初学者にとっては症例提示、プレゼンテーションの実践を積む場であり、学生に対する教育の場でもあり、という大学病院特有のイベントです。

まずは会議室に教授を含む医局員全員、そして研修医やクリクラ中の学生が一同に集まり研修医や専攻医など”下の”医師が各患者のカルテをスクリーンに写しながらプレゼンテーションを行い、他チームの患者の情報を共有するとともに治療方針や術式について意見を頂いたりします。
患者数に応じて全例ではなく重症例、複雑な症例のみを提示する場合もあり、30分から1時間でこのカンファレンスは終了し、その後教授を先頭とする大名行列が行われます。階を移動する際には教授や上の先生はエレベータ、その他下々の医師は階段を使用するのが慣習でした。ドクターXのように教授がエレベータから出てくるのを頭を下げて待ち構えるほどのことはありませんでしたが、教授に遅れるわけにはいかないという緊張感は常にありました。
各患者のもとを訪れる際には担当医が先導し教授に傷病名、現状、治療方針などを簡潔に提示し、患者の許可があれば学生に診察をさせたり特徴的な所見を教えたりします。事前のカンファレンスを含め2時間程度のイベントです。上の先生たちは外来や処置のため途中で抜けていくので最終的には教授と専攻医などの若手、学生という精鋭部隊になることも。

上の先生が一同に会する場面でプレゼンテーションをするのが毎週あると、それに向けた準備も毎週必要になるのでそれはそれは大変でした。手術が早く終わり病棟も落ち着いていて珍しく早く帰れそうと思ったら「明日は教授回診だったスライドの準備忘れてたウワー結局いつも通りかー」みたいなことはよくありました。
あと私は数十人の医局員、学生の前で発表する緊張感にいつまでも慣れませんでした。上の先生から厳しく質問攻めに遭ったときなんかには泣かされそうになる勢いでしたし、チームの総意として決めた方針を真っ向から否定されたり突っ込まれたりすると、その答弁にはとんでもなく気を使う必要がある(不仲な先生同士の代理戦争と化している場合があるため)ので、教授回診というイベントは結構なストレスでした。

教授はすごい


それでも私は教授回診が嫌いなわけではありませんでした。というのもチーム内で治療に難渋している症例であったり状況が複雑で術式に悩むような症例を提示した際に、教授を始め他の上の先生の意見を頂くのは非常に勉強になったからです。
私の医局の教授陣は肩書だけでふんぞり返っているようなタイプの方々ではなく、豊富な知識と経験、技術を持ち合わている方々で、心から尊敬しました。彼らは他施設での経験はもちろん全国の学会で報告されているレア症例まで知識・経験があまりに豊富なので、私からすると本当に目からウロコ、発想の外にあり絶対に考えつかないような意見を頂くことも多く、世界の広さを知る思いでした。そういう観点で見ると教授回診はストレスがある分学びも大きいイベントでした。

とにかく雑務が多い〜仕事を生み出すことを仕事にしている人達の存在〜

”大学病院は雑務が多い”というのはもはや医学生にも知られていて、研修病院選びではそれを理由に大学病院を避ける医学生も多いです。何を隠そう私もそうでしたが。では雑務とは具体的に何なのか、見ていきましょう。

①書類仕事

紹介状・返書:大学病院はどこかから紹介されてくる患者が殆どなので、外来受診直後の来院報告、退院後の最終報告(手術症例であれば手術記録や検査所見などの書類も揃える)を送ったり、内科から紹介された患者がいればカルテ内で返書を作成します。1患者に最低2回これらの書類作成が生じます。
同意書や検査結果説明用紙:手術、輸血の同意書から造影CT、MRI、CV留置や腹腔穿刺、化学療法…とありとあらゆる手技・検査・治療に同意書を取得するのが現代の流れなのでどんどん書類は増えていきます。これらを取得したらコピーを取って患者に渡し、原本をカルテ内に取り込むところまでがセットです。大学病院は医師免許が無くても出来る仕事をどれだけ医者にやらせるか、という何者かの意志が働いているとしか思えない環境でして「同意書をカルテ内に取り込んでもらうための取り込み依頼用紙を発行→記入→事務に持っていく」という作業が発生していました。患者数が多いと冗談抜きで書類仕事だけで半日以上溶けます。
多くの病院で電子カルテが導入されていますが、このように基本的に病院は紙ベースで業務が遂行されています。そして規模の大きい病院ほど書類が増える傾向にあるので、1患者に関わる書類だけで雑誌が刊行できます。

②採血・ルート確保など医師でなくとも出来る手技

これは大学病院の一番謎なところです。具体的には採血、ルート確保、尿道カテーテル留置、(物によるが)点滴の混注…など、看護師ができることでも何故か医者がやる決まりになっている不思議な現象があります。看護師手技でトラブルが起きた→医者に依頼、の流れなら分かりますが「過去に看護師手技でトラブったから看護師ではなく医者がやる決まりになっている」という不可解なルールがあります。手技に伴う合併症は一定の確率で起こるものだし、起こしてしまったら再発予防策を考え気を付けて行うしかないのではと思うのですが、どうも大学病院という組織はとりあえず医者に投げとけという風潮が強いようです。個人的に一番意味不明なのは採血でした。入力忘れとか急に頼んだならともかく、毎朝の採血を医者にやらせる合理的理由とは?

③サマリ・スライド作り

入院時サマリー、退院時サマリーに加えて教授回診や他の科との合同カンファレンスで症例提示するためのスライド作り…と1人の患者に対して何度も資料を作ることになります。サマリはただまとめるだけでなく、術前の各検査結果(血液検査、レントゲン、造影CT、(あれば)MRI、PET−CT、生理機能検査など)をすべてチェックして問題点を抽出し、時に他科へ診療依頼を出すこともあるのでそれなりの時間がかかります。さらに検査所見や画像を切り抜いてスライドも作るとなると1人分で普通に1時間以上かかります。

④データベース入力など研究に関連する仕事

大学は研究・教育機関でもあるので臨床だけちゃんとやっていれば良い、とはいきません。科のデータベースとなる、術式、術前病期、採血項目、PET集積値、手術時間、出血量、合併症の有無、退院までの日数…といった患者の莫大なデータをExcelや専用ソフトにポチポチと入力する作業を暇さえあればやっていました。
「縦軸に無限大の患者ID、横軸に無限大の項目が並ぶExcelシート」を思い浮かべてください。そのうち何年から何年までのトータル500人分のデータの抜けている部分を埋めよ!という作業です。

学会発表や研究の元データとなる部分なので、ここからさらに当該研究に必要な一定期間の特定の患者のデータについてまとめたり統計処理をする作業をやらされることもあります。
例えば「ある癌の過去10年間の手術症例について、術式Aと術式Bの群に分け、それぞれの群で手術時間、出血量、術後在院日数といった項目を統計処理にて比較し有意差が出るかどうか」ということを調べます。

何度でも言いますが私はアカデミックな部分に興味がない上に苦手なので、手術で夜中まで帰れないよりもこれらの作業をやっているときの方が圧倒的に辛かったです。

⑤院内研修や謎の委員会 

ことあるごとに職員必修の院内研修、会議することを目的に集まっているとしか思えない何も生まれない訳の分からない委員会のメンバーにされて出席させられる(もちろん時間外、無償)クソイベントが数多くありました。「偉い奴らに暇を与えると研修とか委員会を作るような仕事を増やす仕事をするからロクなことがねぇ」と信頼する上司が言っていましたが、ほんこれです。大学病院は仕事を増やすことを仕事にしている人が一定数存在しています。

⑥学生・研修医指導

書類仕事と並んで雑務の代表のように言われがちなのがこれです。といっても私個人的には年次的に学生や研修医に近い部分もあり他の誰よりも外科や外科の手技に興味を持ってもらえるように教えられる自信がありましたし、人に教えることも好きなので苦に思ったことはありませんでした。実際私が教えた学生・研修医からはありがたいことにそれなりに高評価の口コミが集まっていました。

しかしクリクラの学生は数週ごとに入れ替わるし、研修医にしてもローテしてくる時期がまちまちなので医者の仕事の基本の基から教えねばならず、自分の仕事がどんどん後ろ倒しになることもしょっ中だったので負担であることは間違いありません。しかし上の先生はなかなか相手する時間がないため、我々専攻医がちゃんと相手しないと「放置された」「何も教えてもらえなかった」という印象が残り、ますます人が離れていってしまうので重要な仕事でした。少なくとも私はそう考えてよほどやる気がない人でなければ真摯に教えていたつもりです。

アルバイトをしないと生活が成り立たない?

これは一般の人にもじわじわと浸透しつつある話ですが本当のところどうだったのか。
私の大学病院勤務時代、大学病院からの手取り収入は25~30万円ほどでした。もちろん各種手当付きです。時間外労働は80~90時間が基本で、時に100時間を超えることもありましたが、基本給が安いので時間外手当も対して付きません。さらに言うと時間外労働が増えると最終的に教授が怒られるらしいので、100時間は超えないように申請せよというお達しがありました。もちろんこれは書面・文面で残る形のお達しではありませんが、確かに存在しました。
大学の当直手当も脅威の安さで1晩1万円もいきませんでした。名目上は患者を診ることを想定していない管理当直なので格安です。当然病棟の対応や受診希望により診療行為は基本発生するのですが、実働時間は時間外手当が支払われたので今思えばまだマシでした(しかし基本給が安いので以下略)。冗談抜きで院内のコンビニで一晩働くほうが圧倒的にお金になります。

表題の答えですが、金額だけ見れば生活は成り立ちます。しかし明らかに労働内容や責任の重さに釣り合う金額ではありませんし、医師として考えるとあり得ない低賃金です。しかし大学からの手取りが19万という同期を知っているのでこれでも大学病院としては高給なのかもしれません。

そこで多くの医局は近隣の病院や関連病院へ日中の外来や当直のバイトを出しています。私の場合は大学勤務に加え週に1回の日中外来バイト+健診バイト+当直バイト(月6-10回)という生活で、ひどい時には月12回当直がありました。2.5日に1回病院で寝ている計算です。

そして大学の給料+バイトの収入で手取り60-70万円くらい、額面で1000万円には乗る、くらいでした。何故か大学病院で丸一日働くよりも半日の外来バイト、寝当直一晩の方が稼げるのですが、これは今だに不思議な世界だなと思います。バイト医という生き方が成り立つ(現在はバイト案件の激減・相場の低迷により難しくなりつつあるようですが)のも納得です。

まとめ

例によって長文になってしまったので私の大学病院勤務時代のスペックをまとめて締めくくりたいと思います。
・身分は週4日の非常勤
・実態は週5日はもちろん、土日も基本出勤(実働週6~7)
・朝7時出勤で定時の8:30には回診が終わっていた
・帰るのは19-21時が基本。日付をまたぐオペで帰らなかったり奇跡で17時台に帰ることも
・仕事が終わっていても先輩上司がずっと居るので帰りづらいand/or帰れない
・やる気は病院に居る時間の長さで評価されていた
・教授回診は高ストレス高リターン
・大学病院は雑務が非常に多い「医師免許がなくてもできる仕事を医者に一番多くやらせる機関が大学病院である」
・大学は臨床、研究、教育の3本の柱があり、後者2つのウエイトが加わる分、市中病院よりも仕事が多い
・大学病院の給料は非常に安い。間違いなく同じ時間コンビニで働く方が高い
・バイトが収入の柱になるのはガチ

最後までお読みいただきありがとうございました。





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