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ひとつの心が

 ひとつの心がこわれるのを止められるなら―

 この夏、何もやる気がしなくて、仕事から帰ってインターネットの動画を観て寝るだけの毎日だった時、ふと図書館に行った

 パラパラと興味のある棚など巡って誰かの本の中に、エミリ・ディキンソンという名前をみつけ、そのひとの生き方に興味を持ち(興味をもたずにいられなかった。)、詩集を探して読んだ。この詩の最初の一言

ひとつの心が

 という出だしからなぜかものすごく心を揺さぶられて思わず一人涙ぐんでいた。確か、一つの心が壊れるのをとめることができるなら、私の人生は無駄ではない。というような一節だった

 あまりにも一言で反射的に心が揺れ動いたので、川名澄さんという人の訳が素晴らしいのだろうと思った。エミリ・ディキンソンと言う人の生き方への驚きも相まっていたのかもしれない。

 ひとつの心、という言葉に何が凝縮されていたように思ったのか、私は。ああいう涙の出方はたぶん私の場合、普段抑圧している欲求、願いに関連している。

 たぶん、私には大切にしたいひとつの心がある。でも誰かの心を救うことなどできない。最初から諦めているのは自分が壊れるのが怖いからだ。

 そんな思いの殻をいとも簡単に、詩はうち破ってしまうのかもしれない

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 アマゾンで探したら絶版になっているらしく、とても高価だったので、また図書館に行ってみたら、借りられていた。少し嬉しい気もした。

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