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【第7回】今日、何ひろう?~新しい知覚のフレーム~ 知覚と入れ子構造

第一章 世界の拾い方

第二節 自分の切り分け方(見えているもの・感じるもの)


1.知覚システム

遮蔽や光によって外部環境を獲得したり、音や匂いで周囲の情報を得たりするように、我々は複数の「知覚」を持っています。
それらの「知覚」がシステムのように連動したり、組み合わさったりすることで、脊椎動物は周囲の情報をピックアップして運動につなげています。
本投稿では、「知覚システム」を紹介したいと思います。

①基礎的定位システム

すべての知覚システムの土台となっているのが「基礎的定位システム」です。このシステムは、宇宙から地上へ降り注ぐ重力の方向性を特定し続けています。この知覚システムによって、私たちは、坂道の傾斜がどれだけ急であるかという状態や、デコボコした地面の性質とその上にいる自分自身の姿勢を知ることができます。

②聴覚システム

「聴覚システム」はマラカスの音や、地面に落ちて割れる皿の音、声など、サブスタンス同士の衝突やミディアムを媒介して多方向に伝わる目に見えない波を察知するシステムです。

③嗅覚システム

「嗅覚システム」は、サブスタンスがミディアムに放出する“何か“の一部を察知するシステムです。雨が降りそうなことを匂いで察知できるのも、この「嗅覚システム」が要因となります。

④味覚システム

「味覚システム」は嗅覚システムとの繋がりも深く、舌で舐めること、咀嚼するし口に入れたものを察知するシステムです。

⑤視覚システム

「視覚システム」は、前回・前々回の投稿でも述べたように、包囲光配列によって環境の情報をひろい、環境とそこにいる自分自身を察知するシステムです。

⑥触覚システム

「触覚システム」は、肌に触れたものを感じ取り、その肌理の種類や特徴から触れているミディアムやサブスタンス、サーフェイスをピックアップするシステムです。

2.知覚システムと入れ子構造

今説明したこれらの知覚システムの最大の特徴は、知覚それぞれが単体で機能するのではなく、1つのまとまったシステムとして機能しているということです。知覚システム同士が、ある行動や行動の目的のために、その重心を変えて連動して機能しているのです。
例えば、「これはコップである」という情報をピックアップする際には、視覚システム・触覚システム・基礎的定位システムなどそれぞれのシステムが絡み合い、連関することによってはじめて「これはコップである」という認知が出来るようになります。

そして、この知覚システムの入れ子構造を理解することが、自分の情報ピックアップ力や運動の高度化に繋がります。(そもそも入れ子構造とは、葉脈と木の幹全体の姿を把握するように、環境や自分自身を大小さまざまな視点から捉えたときに存在する構造のことを言います。)

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同じ構造を持つ葉脈と幹

獲物を的確にとらえるチーターや、超高速で飛んでくる球を捉えて打ち返す野球選手などは、知覚システムの入れ子構造を非常に良く理解しているからこそ、獲物を捕まえるための最短距離を最速で走れたり、腰をひねりバットを調整して球を打ち返すことができるのです。

知覚システムとその入れ子構造を意識してみることで、些細な運動や行動も今までより面白く感じられるのではないでしょうか。

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