210.それでもそばにいたい

先週の日曜日、私のある用事に付き合ってもらい、その後は彼のマンションに行った。
夫と子どもたちは朝から3人でテーマパークへ出かけて不在だった。夫子のいぬまに、妻は不倫。

体を重ねたのは2週間ぶりだった。彼が体調を崩してから"あそこ"の元気もなくなったと言っていたけど、全然そんなことはなかった。

「あとでまたするから、外に出したんですか?」
お腹の上に放たれたものを拭きながら、
「いつもより量が多いな」と笑っていた。

布団の上で裸でただゴロゴロするのも私は好き。
どうでもいい話をしていたから、何を話したのかもよく覚えていない。
彼はどちらかというと、家でゴロゴロするよりは出かけたい派のようだけど、それほど時間もなかったのでマンションに来る前にスーパーで湯豆腐の材料を買い込んであった。
さ、そろそろ夕飯の準備しようかなー。と言って、彼は服を着て立ち上がった。

夕飯を食べた後に2回戦。
今度は「中でいいですか?」と聞かれて、こくりと頷いた。
その後は少しだけまた裸でゴロゴロしていて話していると、帰る予定の時間になってしまった。

この日は朝10時過ぎに待ち合わせをして、夜まで一緒にいられることになっていたから、会う前は"今日はたくさん一緒にいられるなぁ"と思ったのに。
会ってしまえば、あっという間に時間が流れていく。
また待ち合わせ前のあの時間に戻れたらいいのに。
このままお別れするのは寂しすぎる。
いつも別れ際は寂しいけど、なんだか今日は特に・・・
やっぱり、あと30分遅い電車で帰ろうかな。

「帰りたくないなぁ」
と、思わず口に出してしまった。
「いや、帰りましょう」
あまりに遅いと、さすがに夫に疑われるかもしれないと思って、帰ることにした。

「帰る前に聞きますが・・・私のこと好きですか?」
答えずに"そんなこと聞かないで"というように口を指で摘んできた。
「言葉じゃないですから」
「でも最近全然言ってくれないから」
なかなか言おうとしてくれなかったけど、ぎゅっと抱きしめてくれて、
「好きですよ」
とやっと言ってくれた。
言葉じゃないとわかっていても、やっぱり時々は言ってほしい。その言葉を糧に、次に会うときまで頑張るから。

駅までの帰り道、
「私のどこが好きなんですか?」と聞くと、
彼がわざと力を入れて大きなオナラをした。
「ちょっとー、お尻で返事ですかー」と私が笑うと、
「こういうことでも笑ってくれることとか」
「他にはないんですか?」
「よく話してくれること」
「あとは?」
「自分のことを好きでいてくれること」

私が好きでいるのは嬉しいんだ。私はあんまり好き好き言い過ぎも良くないのかなと思って、これでもだいぶ抑え気味にしてるのだが。

あと少しで幸せな時間も終わってしまう。次また会える日は約束してるけど、本当にその日会える保証なんてないから。

いつも改札で別れるのに、手を振ろうと振り返ると彼が改札に入ってきた。
「今日は定期券持ってたんで。いつもは持ってないから入れないけど」
ホームで、電車が発車するまで見送ってくれた。

電車に乗ってしばらくしてメールした。
"今日は別れ際に特に寂しくなってしまいました"
彼からは、
"確かに、いつもより寂しい感じが漂ってましたね。いつもマイさんのこと、思ってますから"

思ってるって言ってくれたー!久しぶりだ。

フォロワーさんがある記事で、
「私の手に入らない、ひとときの幸せだと思い知る作業」
と的確に表現していた。まさにそれだ。
彼と楽しい幸せな時間を過ごすほど、あとでその反動が大きくなる。

わかっているけど、そばにいたい。
一緒にいるときの幸せな気持ちをまた味わいたくて、繰り返し彼との時間を過ごしている。

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