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知識と意識 ~20代女性が考えるSexと子宮頸がんワクチンの話~

#HPVワクチンを接種しました
中高生の妊娠増加

というハッシュタグやニュースがTwitterで拡散されている。
実は昨年末、子宮頸癌の検査で要検査になり不安な思いをした経験がある。また私は時々ピル飲んでいるし、20代の女性として普通にSexもする。

1人の女性として、医療者として、子宮頸癌ワクチン接種者として、子宮頸癌のリスクがあるものとして…今回自分の意見を書くことにした。

正直、実名で公の場で性にまつわる話をするのには抵抗があるし、不安もある。でも、私には発言する権利も発言したいという思いもある。
不快に思う人もいるかもしれないし、意見がある人もいるだろう。
ただ私はアンチの意見,ネガティブな反応よりもこの記事が、課題を考えるきっかけになれば良いな思っている。

予防は知識だけではなく意識が重要

私は元病院勤務の薬剤師であり、医療関係者と関係性を持つことが多かった。医師だけではなく薬剤師も授業で性感染症については習うし、ピルを飲んで妊娠は防げたとしても感染症を防ぐことはできないということは知識として持っている。
"知識があるならコンドームをつけて感染予防するはずだよね??"
というのは経験上、大間違いである。経験者の属性の偏りはあるが、むしろ医療関係者なのに気にしなさすぎではないかと思う時も多々。
そして何より自分自身、言い出しにくい雰囲気はあるにしろ”まぁピルも飲んでるし妊娠しないし。不特定多数としてるわけではないから感染症リスクもないよね”という都合の良い思考回路に流されそのままということも多々あった。
自分のその時のパートナーが1名でも、相手が他の関係性を持っている可能性も完全否定できないし、過去の経験も不明だったりする。
そのような場合、どこからか細菌やウイルスが自身の体内に持ち込まれても全くもって不思議ではないし、実際性感染症が広まる1つの大きな理由でもある。

結局、自分自身も知識はあるが、意識はなかったのである。


子宮頸がん検診での告知、不安、自分の身を守ることの重要性

そんな状況ではあったが、何もなく平和に過ごしていたある日。元々の月経不順で産婦人科を受診した際に子宮頸癌の検診も受けることとなった。
実はこの時の検診は人生で2回目で、ワクチンも接種していたし、変わらず月経不順傾向が続くだけで特に心配もしてなかった。ところが、郵送で届いた検査結果の用紙には”来院するように”との指示がある。

手紙を見たのは土曜の夕方、病院はもう閉まっている。月曜朝一で引っ越しで、翌日からNYCにいくことも決まっていた。しばし引越しの準備も手につがず放心状態。
自覚症状はまだ何もない、腫瘍の種類的にもきっと大丈夫。そう分かっていても不安は非常に強い。なんせ仕事も辞めたばかりだったから、万が一の時は経済的にもきつい。

ワクチンは接種していたけれど、HPVワクチン4価=4種類のウイルスに有効なものであり4種類以外であればかかる可能性はある。100%でないにしろリスクを下げるにはコンドームを使うべきがということも知っていた。
そんなことは分かってたはずだった。だけど、成り行きで結局は知識があっても何事もコンドーム付けないことあったし、相手に言いにくいからと逃げてた。

こんなにも重大な状態で身に降りかかるまで、知識はあっても予防に対して意識はしてなかったのである。

結局、軽度病変疑い(ASC-US)という正常ではないが明らかな病変でもないとい状況で、HPV感染しておらず1年後に再検診予定となった。
ただこれは不幸中の幸いでありラッキーだったと私は思っている。ワクチンを打ってなかったら、もっと不安だったし、防げずに子宮頸がんになっていたかもしれない。受けさせてくれた両親に感謝しかない。
男性にとってもパートナーを守れるだけではなく咽頭癌のリスクを減らせたりもするので、接種を検討してもらえると良いかと思う。

ちなみに私は今は必ずコンドーム必ず付けてと伝えるようにしている。そこで相手が渋ったらthe end。価値観の合わないやつ、教養のないやつという見切りをつける良いフィルターだと思っている。
そう割り切ったら意外とコミュニケーションスムースになったので、流されがちだけどお勧めです。笑

ピルとSexとコミュニケーション

最後にタブーされがちなピルとSexについても話しておきたいと思う。
私は月経不順傾向なので、ピルを常用している。(最近は落ち着いてきたので医師と相談して一時休止中だが)
ピル飲んでるとビッチだとか遊んでるイメージを持たれがち。というのは多くの場面で経験する課題である。

実際にピル飲んでること知ったら、”付けなくてもいいやん”とか”気軽にやれる”と思ってくるやつがいてまじで困る。
こっちは辛い思いして、緩和しようと薬飲んでるのに悩み増やすなって言いたくなる。

そもそも、男は気軽にSexして良いのに女はsexしらダメなのか。
性別関係なく、倫理的にOKで、自分の身を守り、相手のことも思いやれるならその人の価値観で決めるべきなのではないだろうか。

なぜ女性は身を守った上で気軽にsexしたダメなのか論理的に教えてほしいものである。(理想の女の子像は想像の世界だけにしてほしいものである…)

とはいえ、現在の日本社会の価値観を変えるのは難しいと思うし、私も論理的には対等であるはずなのに、ビッチだとか言われたくないし思われたくない思いはとてもある。
なので今回はピル内服=ビッチではないという話を主にしたい。

そもそもピルは避妊以外にもPMSという生理前の心身の不調を軽減するためだっり、子宮筋腫という将来の妊娠に関わるような病気を抑えるためにも使われたりもする。重度の花粉症の人にとっての花粉症の薬をイメージしてほしい。一部の女性にとってピルは生活する上で必要な常備薬なのである。

花粉症の薬飲んでたら、お前ビッチ、遊び人って言われたら辛くなだろうか??自分は男だから気にしないとか言ってる人いたら(その考え方自体がありえないけど)彼女が同じこと言われたらどう思うか考えてほしい。

ピルは生活に必要なアイテムであること。
女性は恥ずかしがる必要ないし、説明も聞かずに否定したり決めつける人は、教養のない人として見切れば良い。
(話さえ聞いてくれない人って真面目な話今後もしてくれそうになくない??)
男性の方でこの記事を読んでくださった方。もしこの事実を知らなかったら、これを機会に偏見でピルを飲んでいる女性を判断しないようにしてください。そして周りの人にこのことをどうか教えてあげてください。
女性の敵も作らなくて良いし、よく分かってるときっと株もあがります。

(少なくとも私の株はめちゃあがります。笑)


まとめ

結局言いたいのは以下5点。

・性感染症も妊娠も自分の身を守る意識を持つことが重要
・相手の大切にしない、コンドームつける重要性を意識しない男はカスなのでみきろう 
・子宮頸がんは誰にでも起こりうるがん。ただワクチンで防ぐことができる。しっかりと相談して接種すること検討しよう。
・ピルは花粉症の薬のように、一部の女性にとって生活に必要なアイテムであることを認めよう。
・Sexは恥ずかしがるものではない。倫理的にOKで、自分の身を守り、相手のことも思いやれる関係性をつくろう。


1人の女性として、医療者として、子宮頸癌ワクチン接種者として、子宮頸癌のリスクがあるものとしての意見が伝われば幸いです。
みんなが幸せに楽しく過ごせるようになれば良いなぁ…..!!
生活に癒しは必要だよ。笑

補足:子宮頸がんの話と性感染症の話が混在してるので補足
コンドームは大前提として性感染症(クラミジアや淋菌等)全般を防ぐために有効なので必ずすること。
子宮頸がんを防ぐにはワクチンが有効。HPV(子宮頸がんの原因となるウイルス)はコンドームでは防ぎきれないが、リスクを下げるとも言われている。


補足1 ~HPVワクチンの情報はどこで探すべき?~

様々なニュースがあり不安になるかと思います。不確かな時だからこそ、公式に認められた複数の専門家が議論したものから情報を探すことをお勧めします。(クリニック等でもとてもわかりやすい情報がありますが、個人の意見となっている場合もあるため信用するかは慎重に判断した方が良いと思ってます。)

- 日本産科婦人科学会
世界的な公衆衛生上の問題「子宮頸がんの排除」に向けたWHOスライドの日本語翻訳版が掲載されています。一般の方向けにも記載されているので専門的ですが比較的わかりやすいと思います。

- 厚生労働省HP
国の言ってることは信用できない...とおっしゃる方もおられるかと思います。とはいえ、やはり複数の公式に認められた専門家の皆様の議論の結果や国内での補助金の情報が集約されるところでもあります。

また今回の
#HPVワクチンを摂取しました
というハッシュタグはたぬきちDrの投稿から始まっています。
Twitterには正しい情報も不確かな情報も回っているため、闇雲に信用するのはお勧めしませんが....たぬきち先生等の投稿はユーモアもあり真面目に有益な情報も多いのでぜひフォローを!! 
(*たぬきち先生の回し者ではありませんw)


補足2 ~子宮頸がんってそもそも何?~


日本産科婦人科学会のサイトを参考に以下概要をまとめました。
そもそも子宮頸がんって何?という方は一読ください。
詳細は日本産科婦人科学会のリンクで確認できます!

・子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因。
・子宮頸部に感染するHPVの感染経路は、性的接触と考えられる。
・コンドームなどを用いても、感染を完全に遮断することはできないといわれており、過去に1度でも性交渉 の経験があれば誰もが感染するリスクがある。
・性交渉の経験がある女性のうち50%~80%は、HPVに感染していると推計されている。なお、男性の感染率も同様。
・多くの場合、感染しても免疫によって排除されるが、HPVが排除されず感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると考えられている。


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