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その名はビッグフット

素は魔人。
祖は竜人。

うちの父ちゃんと母ちゃんの話をしよう。母ちゃんは大きなドラゴンにもなれる美しい人型のドラゴン族の一員で。

結婚前は求婚者がドラゴン族、奇人族、亜人族、人間と、種目関わらず、めちゃくちゃ多かったとゆー。
いまじゃ、腹の出た中年で。

うちの、、父ちゃんって人はな。
今の俺と同じ。そう、同じ。
なかなか、・・・・・・言いたくない存在だ。俺もなんで、昨日しこたま飲んだかな。いや、ファイフが悪いんだよ。成人したから、酒に付き合えって。
エルフの成人は220歳と決まってる。そう、俺らの世界だと。
ずっと若いままだと思ったファイフと、、同じ年頃のエルフが酒盛りする。それは、ドラゴン族の一員たる俺としても許容量を超える酒で。
しかも、ずっとファイフに惚れてるドワーフのチコリがさ。
そりゃーうめぇ、ドワーフのどぶろくこさえてたくさん持ってきて。
元々長命なファイフの父母、祖父祖母、曽祖父曾祖母なども、繰り出した日にゃな。溜まったもんじゃない。


「あ、雨だ・・・・・・」子供の声が聞こえる。それを、俺は葉っぱの影から見てた。

ぐぇ、かえる殿。
そこは、俺の場所だ、
と、しっしとするが。

雨につられて、、ど根性ガエルがわんさかと(ぐえっぐえぐえ!)と、鳴きながら跳ねる。
やべぇ、このままだと・・・・・・と思ったら。
「ビッグフットそこに居たの?」と、相変わらずの視力の良さで、俺を見つける。俺は・・・・・・。


(なにが、ビッグフットだ、なにが・・・・・・と、自分の名前に悪態をつくと)

「ファイフ、悪い。家まで連れてってくれ!!」と、2センチの巨体、しかも、ドラゴンのしっぽ付きのしっぽをフリフリさせつつ、言うと。
「しょうがないなあ。今日も貯水槽行きかあービッグフットは」と、ファイフがしっぽを摘みあげる。
そう、うちの父ちゃんはホムンクルスなのだ。よく、ホムンクルスの精液絞って腹に入れたよと、母ちゃんを恨むしかない。それでも、両親は相思相愛で。母ちゃんは首から父ちゃんを毎日ジャム型の衛星瓶に入れて持ち歩いている。
貯水槽とは、俺の栄養槽で。そこから、、3日で元の体に戻れる便利な栄養槽なのだ。
ファイフは俺を見ても全くびくつかず。それどころか、嬉しそうにしっぽをブンブン振る。(あ、やめて。俺のしっぽがちぎれる!!!!!)と、思った瞬間ファイフは手の中にストンと入れて、大事そうに俺の部屋に運んでくれた。ほんと、酒飲むとホムンクルスになるのは勘弁して欲しい。しかも、二日酔い程飲まないとホムンクルスにならないと、高を括っていた俺も浅はかだ。ファイフはコルクを捻り、栄養槽の栄養をきっちり測りつつ、一つ一つ丁寧にやってくれる。

ここが、ファイフの親父とは違う所だ。1度、俺が20歳の時にファイフの親父に初めてしこたま酒を飲まされ、栄養槽にめちゃくちゃに放り込まれた時は大変だった。3ヶ月も不格好なホムンクルスのままだったのだから。
そこら辺、ファイフは娘にしてはよく出来ている。
「茜さんは?」・・・・・・と、母ちゃんの名前を聞くので「負傷の息子は父ちゃんも母ちゃんの居場所も、今日は知らないよ・・・・・・」と、告げると。
「多分、エルフの谷かなあ」「だと思う」と、2人脱力する。エルフの谷は自然豊かで。いまは、この世界から消えたものもあったり、なかったりする。
「ま、二人の悲願だよね・・・・・・」(相変わらず、諦めねぇ、クソジジイとクソババアだよな、と思いつつ。その悲願は俺のためでもあるのかな、と。母ちゃんはずっとホムンクルスを人間に錬成する方法を探してる)「悲願だな・・・・・・」と、脳内会話の割に、、少なめに俺も頷く。

「明日には戻れてると思うよ」
「いつも、ありがとうな!」
と、言うと。ファイフはニヤリと舌を出し「だって、私も成人だからね!」??????
「エルフの成人は結婚適齢期なんだよ・・・・・・」と、すこし、照れて顔を赤くする。恋愛には疎い俺に、なんだろう?「ま、ビッグフットは早く身体治してね!またね!」と、エルフにしては早い足で駈けるファイフ。
なんだったんだろ?と、思いつつ、俺もエルフの書物を栄養槽で読み始める。さっき、脳内はうるさいと言った意味はこれだ。エルフは思念が使える。ファイフもエルフの例に漏れず、俺の脳内も覗いてた筈だ。
そして、俺はファイフの脳内は読めない。決まりきったことだ。

しかし、エルフの技術は凄まじい。脳内に本を何冊も拡げる、、とゆー、技術はファイフの姉と兄がなし得たものだ。ちなみに、ファイフは末っ子に見えて、他にも下に弟妹がいる。
俺はファイフと兄弟のように育ったと思っていて、ファイフの兄貴や姉貴は兄ちゃん、姉ちゃんの仲だ。
栄養槽にずっと浸かってるの暇でしょ?と、エルフの英智である、思念を応用してくれた。めちゃくちゃ有難い。子供の頃から体が弱く、風邪の度にホムンクルスになってた俺にはうってつけのエルフの教材だった。

んー、ファイフなにが言いたかったんだろう。謎なやつだよな、と思いつつ、、ファイフが連絡してくれたのだろう。最新刊のジャン○まで読めるとは、エルフ様様なのだ。


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