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「ヨタハチ」は徹底的に軽量化された1960年代トヨタの名車

1960年代に最高速度155km/hを記録した「ヨタハチ」をご存知だろうか。トヨタが当時の大衆車「パブリカ」をベースに徹底的に軽量化、ライバルのホンダS600やダイハツのコンパーノスパイダーなどに対抗するため開発されたのがトヨタスポーツ800だ。
通称ヨタハチの愛称を持つスポーツ800は、ハイパワーエンジンを搭載しているわけでもないのに、とんでもなく速い。それは軽量化と空気抵抗を極力抑えたボディ構造を持っていたためだ。

例えばライバルのホンダS600のエンジンはパワフルな直列4気筒のDOHCエンジンを搭載、スポーツカーらしい軽快なサウンドを持つライトウェイトスポーツだ。S600と比較するとヨタハチは2気筒エンジンで走るため、まるでスポーツカーとは思えない走りを想像できる。
しかしサーキットで走るとS600と同等以上の走りを見せ、1965年7月に行われた全日本自動車クラブ選手権レースGT-1ではS600を押しのけ見事優勝している。

ヨタハチの車両重量をライバルのS600と比較すると115kg軽い580kg(S600は695kg)という事で、ヨタハチが徹底的な軽量化にこだわったモデルだったのかが解る。
パワートレインの最高出力をS600と比較するとヨタハチが45PSに対してS600は57PSで、S600のほうが高出力を発揮するモデルだった。

丸く愛らしいエクステリアがヨタハチの魅力

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ヨタハチの魅力は走りだけでなく、愛らしいエクステリアにあると考える。
2ドア2シーターのヨタハチは、全長3,580mm×全1,465mm×全高1,175 mmのコンパクトボディに丸目のヘッドライトを搭載している。

昨今のクラッシクカーブームもあり、ヨタハチが再注目されている。それは1965年から1969までの4年間で3131台しか生産されなかった希少性や、トヨタが初めて販売したライトウェイトスポーツという事も関係している。

しかしクラシックカーのファンから見ると、ヨタハチの懸命に走る姿、可愛らしいエクステリアが魅力的に映る、というのが大きいのではないだろうか。
ファンの間ではヨタハチ復活を願う声も大きく、それは東京モーターショー2015に出展されたS-FRに受け継がれている。

開発中止も囁かれるS-FRはヨタハチの後継車種になるのか

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ヨタハチの後継車種と言われる「S-FR」は2015年に行われた東京モーターショーに出展されたコンセプトカーだ。
イエローカラーの2シーターに、丸目ヘッドライトが可愛らしいS-FRは、ヨタハチを知っている人がみると「トヨタスポーツ800が洗練されて復活した」かのように見えただろう。

しかしS-FRの発表後、市販化について具体的な情報はなく、開発自体が中止されたのではないか、という話も聞こえてくる。トヨタでは2019年にスープラが復活していて、さらに2種類にスポーツカーを復活させるという情報がある。
復活する1つ目の車種はMR2が有力だ。1984年に発売したMR2はリトラクタブルヘッドライト(格納式ヘッドライト)を搭載したミッドシップレイアウトのスポーツカーで、今でも数多くのファンがいるトヨタの名車だ。

復活の可能性があるもう2つ目の車種ははっきりしていないが、もしかしたらヨタハチの後継車種と言えるS-FRが該当する可能性もあるだろう。
しかし市販化するためには採算の取れる車種でなければならないため、ヨタハチの「2シーター ライトスポーツ」という性格がどこまで今の世代に支持されるのかが、ヨタハチ復活のカギを握ると言えるだろう。

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