見出し画像

1/400 Bigbird Philippine Airlines Boeing 747-200 N742PR


プロローグ

明けましておめでとうございます。
新年早々、事件が多くて大変な始まりになっていますね。かくいう私も年末からインフルエンザに罹患しており、楽しい年末年始は全部潰れてしまいました。今年は無病息災で頑張っていこうと思います。

さて、今回もビッグバード(以下BB)より2005年リリース、フィリピン航空 N742PRの紹介です。

Boeing 747-2F6B N742PR

モデルについて

既にビッグバード製の747については何度も紹介しているので、詳しいところは省略します。
このモデルは2005年リリースなので、第一回のコリアンエアカーゴと同じく初期のBB747モデルです。

実はフィリピン航空の747はかなりモデルに恵まれており、747の旧塗装がBBより2種類、新塗装で-200/-400がアエロクラシックスより各1モデルずつ出されています。

2005年のリリースはN741PR/N742PRの連番で、これらの違いとして、741は機体に "visit Chicago" を意味するロゴが入っています。
今回の742は何にも入っていないノーマル仕様です。

モデルの特徴として、ベリー部分(機体の下半分)がピカピカのポリッシュではなく、シルバーで表現されています。

実機の写真を見ていると、年代によってベリーの状態が違います。デリバリー当初の1980年の写真ではピカピカのポリッシュですが、それ以降の写真になるとグズグズにくすんだシルバーになっています。

おそらくあまり手入れをしなかったのではないかと思いますが、モデル化するときにどっちを取るべきか難しくなりますね。
実際インフライトがリリースした1/200モデルでは、ベリーがピカピカのポリッシュです。ビッグバードは導入から少し経過した姿を再現しようとして、シルバーを採用したのでしょうか?

エンジンもベリーと同じ色調なので、シルバーで塗装されています。フィリピン航空のロゴも丁寧に印刷されています。


Jet collector.com より N741PR

ちなみに、片割れのN741PRの話になりますが、実はこっちはちょっとしたエラーモデルです。
問題は主翼端のHFアンテナの部分で、実機の741はロゴがあった時期は赤く塗られています。一方の742は特に色が塗られていないので、こちらは問題なしです。


実機について

さて、最後に実機についてです。
フィリピン航空は合計13機の747-200を運用しましたが、ハッキリ言ってその歴史はぐちゃぐちゃです。

まず1979年~1980年にかけて、N741PR~N744PRまでの4機の747‐200を導入します。そしてこれが唯一の自社導入のグループです。
N742PRは1980年に2番機として導入されました。

ところで、フィリピン籍の機体はレジが RP-C から始まります。一方で導入された機体は、米国籍の N レジで登録されました。
これは、レバレッジド・リースという形態をとったことによるもので、簡単に言うとリース導入です。普通のリースと少し違う点は、リース満了後に機体が借り手のものになる点です。大体そのタイミングでレジも自国籍のものに変わります。
日本航空、シンガポール航空やダイナシティでも同じ方法で導入された機体がありました。

AirHistory.net @Paul Seymour より N742PRの現役時代

しばらくは4機体制が継続しますが、1987年から続々と中古機を導入します。スカンジナビア航空、MEA、シンガポール航空、ブリティッシュエアウェイズ、など引き抜き先は多岐にわたります。

1987年~1991年導入の、スカンジナビア出身のEI-BZA(ex.N4502R)、エジプト出身のEI-BTS、ブリティッシュ出身のN207AE / N208AE の4機は比較的長期間在籍します(1990年代末まで)。残る5機は短期のリースで、隔年で出入りする機体もありました。

ということで91年以降は、N742PRも含めて基本的に8機が常駐する体制に変わりました。また1980年代中盤には、現在の2代目塗装への塗り替えが進み、N742PRも1986年頃?に塗装が変わりました。

筆者撮影 2代目となる現行塗装

しばらくこの体制が続くわけですが、1993年から747-400の導入が始まり、96年までにN751PR~N754PRの4機の-400が揃います。

導入数からもわかるように、これらの機体は生え抜きの-200を置き換えるためであり、1998年から生え抜き組の退役が始まります。まず最初に末っ子のN744PRが98年1月1日で退役し、このN742PRは2番目として98年5月3日に退役しました。

少し面白いことに、このN742PR、最後までレジが変わることがありませんでした。
前述のレバレッジド・リース形式だったにも関わらず、レジが変わらなかった明確な証拠はありませんでしたが、退役が2000年代まで遅れたN743PR(1980年導入)が唯一RP-Cレジに変わったので、20年契約だったのではと考えています。

話をもどして、N742PRは退役後に貨物型へのコンバートを受け、アトラス航空にN535MCとして移籍します。1999年にはアリタリアカーゴに貸し出されて、2004年に Focus Air へN535FCとして移籍します。

JetPhotos @PAUL LINK より アリタリアカーゴ時代

2008年に Focus Air がオペレーションを終了したのに伴い、サウザンエアーに移籍してN765SAとレジを変え、2012年からストアされます。最後は2014年にモハーヴェで解体されてキャリアを終えました。

JetPhotos @Jay Selman より この時はルクセンブルクベースだったらしい

エピローグ

ということで、今回はフィリピン航空より 747-2F6B N742PRでした。
この時期のビッグバード製品は絶望的に出回らない、というのはもはや常識ですが、N741PR/N742PRはその中でもかなり見つけづらいと思います。実際自分も見かけたのはここ5年で2回ほどです。

現在アエロクラシックスが、747モデルの生産を再開しているので、2ndモデルの供給に期待したいですね。

毎回サクッと読める記事を書きたいのですが、オタク情報が積みあがって結局この分量になります。果たしてどちらが良いのでしょうか…?
ともかく今回はここまで。また次回の記事もよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?