フォルテピアノのペダル奏法〜モーツァルトとペダル(2)

フォルテピアノでのモーツァルト演奏における「ペダル」について投稿しましたが、曲中かなりの割合でノンペダルで演奏されたニ短調協奏曲の録音があります。


こちらもクリストファー・カイトの独奏で、オーケストラはロイ・グッドマン指揮ハノーヴァー・バンドです。


CDジャケットがないので詳細は分かりませんが、カイトはおそらくシュタイン系の設計のフォルテピアノをほぼノンペダルで演奏し、つい最近まではチェンバロが「当たり前」であった、モーツァルトの時代の雰囲気を見事に再現しているように思います。カイトが使う楽器であれば楽器の「ハズレ」はないでしょう。


現代の頑丈に設計し直されたワルターレプリカでもって、モダンと同じペダル遣いで演奏される演奏とは随分違った雰囲気になります。


ハノーヴァーバンドはイギリスの古楽器オーケストラで、1980年代から古楽器での古典派・ロマン派演奏を先駆けて実践した先駆者であり、初の古楽器でのベートーヴェン交響曲全集も完成させています。


聴いていると、カイト氏が音楽家・教育者としてとても貴重な存在であったことを改めて実感します。1994年に47歳でお亡くなりになったのが悔やまれてなりません。そして、彼の最後の弟子であるオルガ・トヴェルスカヤによる、「クララ・シューマン流の演奏様式」でのこの曲の演奏も聴いてみたかったものです。


第一楽章

第二楽章


第3楽章 特に「ペダルなし」が際立っています。

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