数十秒に対するこだわり

テレビで食べ物を紹介するときのインサートって誰しも見たことがあると思うのですが、あれの裏側をお伝えします。

拷問食品肉まん

インサートの目的ってなんだと思いますか?

インサートは、その食べ物を美味しく見せるためにあります。

美味しく見せる為にいろんな工夫を行いますが、その中でも一番大変な食べ物が肉まんです。インサートの目的が美味しく見せることだと先ほどお伝えしましたが、肉まんはどのように見せると美味しく見えるかを考えてみてください。

肉まんが美味しく見えるのは、中を開けて”ほわ〜ん”と湯気が出る瞬間です。寒い日にあの温かい肉まんを食べると2倍ぐらい美味しく感じますよね。なので、あの瞬間が必要になります。

湯気を出す為には、肉まんを熱々にしていないといけません。その熱々な肉まんを素手で割るわけですが、それはもう拷問なのです。開ける際に綺麗に真っ二つに割らないといけませんので、まずそこを集中しないといけません。不恰好に割れてしまった場合やり直しです。

綺麗に割れたら次は湯気が写るかです。温かい食べ物のインサートの最低条件が湯気です。湯気が写るか写らないかで美味しさが全く違ってきます。その湯気を写すのって意外と難しいのです。

湯気が出て撮影をするのですが、それを写すのってテレビで放送されている数秒だけ持っていれば良いわけではありません。中の具を固定で数十秒、上から下にかけて写すのを数十秒、だんだん寄っていくのを数十秒というように色んなパターンを何十秒も撮るのです。ずっと撮っていると湯気の出が弱くなり、また熱々の肉まんを持って割る事になります。

この一連の作業をすると手のひらが火傷します。映像には音がないと思いますが、そこにはADの叫び声が入っているはずです。これだけ説明しましたが、私の手は毛が多く綺麗に見えないという事で肉まんを手で割ったことがありません。


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