肉感雑記

夏が置き残した怨念が重苦しい。あんだけ恋焦がれた夏が、季節のプレイリストなんぞ拵えて心躍らせて待ち構えた夏が、しかしまあアッという間に、もはや醜さだけ纏った呪縛魂として、狡猾さの欠片もなくダラしなく、牛乳石鹸では落ちない皮脂の如く日常の風景にこびりつき、烈しい猛暑がいたる箇所にこじ開けた孔という孔から腐臭を放ち続けている。

生産効率第一主義日本社会に順応しきった我々の身体は、この気温湿度のメリ/ハリの無さに当惑させられ、いわゆる節目の重み、時季変容の色気にたいする興味など一切放棄しているかのように忙しいフリをしてみせる。慌ただしさに己の揺らぎを埋没させようと勤しむ。余計な疲労感が蓄積し、無理矢理にねじ込む睡眠はいたって浅く、目先の身体的欲求に眩ませられる。

肉体賛美は精神論に逆立しない。

不意にそんなことを思う。男性性は肉体を求めるが肉塊に対し極限的な畏れを抱く。始原的な肉のありようを素直に受け入れようとはしない。秩序だった反復的な“肉の鋳型”に己を映し出そうとするのみだ。

たけし映画を数年ぶりに劇場で見た。

それもあって、こんな戯言を言いたくなった。もっと言いたいけど酔っ払ってるからムリ。以上。


2023/10/01

今月末は俺の誕生日

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