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月刊プレイリストボーイ2023年9月号

【今月のプレイリスト】


1.Pink/LIZZO
映画「バービー」のサントラから。〈完璧な世界〉バービーランドで1日が始まる時に流れる曲。80's的キラキラ感を呈した楽曲テイストがバービーランドの虚構を皮肉ってる感じ。今思えば、あの時代の好景気が齎す数々のトレンドがバタ臭い虚構に思えるが、大人たちは今の自分よりずっと元気だったように思う。完璧な世界なんかないよな。

2.ついのすみか/台風クラブ
むしろこういう諦念じみた投げやりな歌に今っぽさを感じてしまう。 割と洒落た曲調を3ピースロックバンドならではの荒っぽさで演る感じが好い。

3.cousin/ウィルコ
発表ほやほやウィルコのニューアルバム「cousin」のタイトル曲。今回はケイト・ル・ボンがプロデュースと知って「はい、はい、はい、ありかも!」と合点しながら結局好きなものはどこかで通じているのだなと。この曲は拍がややこしくてよくわからんが、変拍子と見せかけてそうではないっぽい。3月の来日公演はゲットできた。よっしゃ!

4.Edge of the Edge/
パンダ・ベア&ソニック・ブーム

KIRINJIの堀込高樹さんがα-stationでやってるラジオでかかってて、ちょっと気になった曲。アニマル・コレクティヴのパンダ・ベアと80年代サイケデリックバンド何某の元メンバーによるプロジェクト。サイケデリックとかオルタナとか実験的という表層は一聴それらしく聴こえるのだけど、殆どまやかしだと思ってる。この曲も何度聴いてもポストパンク風ビーチ・ボーイズもどきという印象以上にはならなかったな。

5.I ♡歌舞伎町/KIRINJI
KIRINJIの新譜から。歌舞伎町を拠り所とする家出少女たちに偽善的慈悲を向けるも「居場所がないのはテメェのほうだろ!」と(言いたげに)返り討ちにされる氷河期世代の〈俺〉。何と遠回りな自虐?やっぱりKIRINJIの歌詞にはこういう毒を期待するね。

6. Love Can Heal (Bright-Side Mix)
ピーガブの満月配信曲。先月発表の「Olive Tree」とは打ってかわって暗くてディープ。イントロの鍵盤とマリンバっぽい音によるリフレインが「San Jacinto」を想わせる。今月は中秋の名月の昨日にも新曲が配信されている。そろそろアルバムの全貌が見えて来た。

7. 13Vidas/ドス・オリエンタレス
日本人パーカッショニストのヤヒロトモヒロとウルグアイのキーボード奏者ウーゴ・ファトルーソによるユニット。先日、ピーター・バラカンがTOKYO FMでやってるラジオにヤヒロさんがゲスト出演していて、気になって聴いてみた。coolなラテンジャズ。めちゃくちゃ激しい演奏なのに体温と汗を感じさせないのが不思議。

8.I Met Her In Church/
ダン・ペン&スプーナー・オールダム

只今来日公演中。今日はビルボード大阪。行かないのだけど。

9.俺はヤマトンチュ/中川五郎
誰もが問題意識を持つことが大切だと思っているが、これほど完膚なきまで刺されると、行楽地として沖縄を愛することがそんなにいけないのかと言いたくなる気持ちもある。兎角、政治・社会問題と目先の生活とのジレンマで逡巡しているのがフツウの人だと思う。プロテストソングは歌えない。

10.TSUBASA(feat.Yomi Jah)/Awich
WOWOWドラマ「フェンス」の主題歌。沖縄にて米軍基地絡みの事件を解明していく過程で浮き彫りになる人間模様。基地に反対する人も受け入れようとするも、やはりジレンマを抱えて逡巡しているのだ。

11. With Or Without You/U2
昨日、ずっと心の支えになってくれてた大切な人が旅立たれたという報せを受けた。数年前に彼女が難病を患ってから会えなくなったが、LINEでのやり取りは続いていて、桜や花火やイルミネーションなど、シーズンイベントには写真を送り、自分たちのライブ演奏の動画もいつも送ってた。ずっと応援してくれてた。出会った頃、忘年会の席でこの曲を歌った時、BONOファンの彼女に「納得いかん、BONOじゃないやん」とダメ出しをされたことがあったことを思い出す。中秋の名月。空を見上げた時、彼女はあのそばに行ったのだと思った。〈あなたがいてもいなくても〉生きていくよ。ありがとう、忘れないから。


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