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パラダイムシフトを支えるICTの発展

冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

さて、昨日は「マレーシア日本語教育国際研究発表会」の基調講演にオンラインで参加することができました。 スピーカーは山田智久さんで、お話の中に ICT の学び方は「事実志向と問題志向」でやりましょう、というご提案がありました。

これは要するに、みんなが話題にしている ICT ツールを手当たり次第に追いかけていたのではなく、自分が抱えている問題を解決するためのツール だけを使えばよく、全部を網羅する必要はないというお話でした。

これは日本語教育の文脈に置き換えてみると、「みんなの日本語」のような文型シラバスではなく、『できる日本語』や『まるごと』のような行動中心アプローチのパラダイムで行きましょう、と認識することができます。

それで思い出したのですが、前にもこのブログで書いたことがあるように、最近僕は時々、GAS(Google App Script)という簡単なプログラミングの言語を使って作業を効率化しています。

これの勉強の方法が、考えてみるとまさに行動中心アプローチなのです。

というのも僕にはこの言語のコマンドを体系的に網羅して勉強するような余裕はありません。というよりもむしろ、プログラマーになりたいわけではなく、目の前の大量のメールなどをさばきたいという必要があるだけで、今のところそれ以外の使い方はまったく必要ありません。ですから、勉強するための本を一冊買って最初から最後までまるまる読むようなことは必要ありませんし、したくもありません。

それでどうするかと言うと、「GASでGoogleフォームにメールで自動返信」 などと検索するのです。大量に表示される検索結果の上位から適当にいくつかのページを開いてみると、もちろん見当違いだったページもありますが、 大抵は必要な情報が書いてあるページがその中に含まれています。

これもやはりここ数年の技術の発展による大きな社会の変化に基づくものだと僕は感じています。

このブログでも何度も紹介しているように、以前は情報や物資が非常に限られていて、それがないことを前提に教育カリキュラムなども建てられていました。こうした時代を「欠乏の時代」(age of scarcity) と呼ぶこともあります。

反対に、現在のインターネットなどで何でもすぐに検索することができる時代は「ありあまる時代」(Age of Abundance)などと呼ばれることが多いですね。 これにはもちろん情報がありあまる時代になったということと、それを検索してすぐに必要な情報にアクセスすることができるようになったという変化も含まれます。

これはもちろんプログラミングの勉強だけではなく、語学の学習についても同じことがいえます。例えばロシアの冒険家のアンナさんも、「教科書らしい教科書はそれほど使っていない。いろいろなサイトを見た。勉強が好きじゃないから教科書を見ないでネット上の情報を見た。」 と書いています。

彼女は実例を挙げていませんが、例えば「How to introduce yourself in Japanese」などと検索すれば、山ほど大量の資料が出てきます。英語はもちろん、ハンガリー語などのようにかなりマイナーな言語でも、役に立つ資料を見つけることができます。

文型シラバスから行動中心アプローチへのパラダイムシフトには、このような技術的な進化も背景にあるのではないでしょうか。

そして冒険は続く。

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【参考資料】
むらログ: ロシアの冒険家、アンナさんインタビュー!
http://mongolia.seesaa.net/article/437142079.html

むらログ: ソーシャル・ネットワーキング・アプローチとは
http://mongolia.seesaa.net/article/371368295.html


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