見出し画像

ミネルバ大学式の日本語学校が作ろう

冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

今日は1月6日木曜日、職場に向かっているところですが、今日はミネルバ大学というオンライン形式の大学で今非常に注目されているところがあるので、日本語学校でもそれができるということを話してみたいと思います。

その前にミネルバ大学って何?ということについて疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、お話ししてみたいと思います。

ミネルバ大学というのはどういうものかと言うと、授業は基本的にオンラインなんですね。 なのでいわゆる大学のキャンパスというものがないんです。教室もないし運動場もないし食堂もないし、いわゆる大学の校舎というものがないんです。 ただ一つあるのが学生寮なんですね。しかもその学生量が世界の各地にあるんですよ。

これが「世界の各地に住んでいる学生が自分の近くの寮に住んで勉強する」のかと言うとそういうことでは全くなくて、ある特定の期間を決めてそれぞれの寮を渡り歩くんです。

この大学はオンライン授業なんですが、いわゆるMOOC(打規模オンライン公開講座)のような大規模のオンラインシステムではないんです。少数精鋭なんですね。 そのため、非常に難関校になっていて、受験の合格率が50倍とかとにかく凄い数になっていて、ハーバードとかケンブリッジ大学 などのアメリカの難関大学よりも入学が難しいと言われています。

この少数精鋭の学習者の人達がこういう小さい寮を、例えば最初はアジアのこの街、次はヨーロッパのこの街、そして次はアメリカのこの街というようにみんなで一緒に移動しながら短期間で引っ越しをしていくわけなんです。

そのコンセプトも非常に現代的で、なぜかと言うと、知識などはオンラインで勉強できるんですが、 勉強も事前に課題図書などを読んでそれをオンラインでディスカッションするんです。ディスカッションなどは、伝統的な、(まあ日本ではあまり伝統的ではありませんが海外では伝統的な)少人数でディスカッションする典型的な授業で、それがオンラインになっているというだけらしいんですが、おもしろいのは、それだけじゃなくて現地でローカルのプロジェクトに参加することなんです。そして、それがその国によって全然違うらしいんですね。しかも授業のオンラインのディスカッションでえられる知識とそのプロジェクトが関連付けられているということなんです。これがミネルバ大学なんですね。

つまり、授業の方法は、去年のブログで僕が「語学教育は体験経済になる」というタイトルでほぼ同じような事を書きました。 文型ではなくて「どんな体験をするか」ということをもとに、授業をすればいいわけですね。 例えば、 駅で駅員さんにこの電車の目的地を確かめるとか。 文型ではなくこういう「行動」をシラバスにして、それを実際に日本に来た時に、実際に地下鉄などに乗って、習った日本語で その地下鉄の電車の行き先を確かめるとかそういうことを実際の現場で体験してもらうとかそういうことができるようにもなっています。

教材も開発されています。「いろどり」と言うんですが、これは日本で行動するための教材なので、それを使ってオンラインで授業して、そして町の現場でそれを実際に体験する。 そういうことができるように、既になっています。教材ももあるしZoomもありますから、オンラインでこういう授業ができるようになっているわけですね。

参考:「むらログ: 語学教育は経験経済になる」 http://mongolia.seesaa.net/article/483338335.html

ただミネルバ大学 のような授業をするには何が足りないかと言うと、 やっぱり日本各地にそういう学生寮を持っている日本語学校なんかないということなんです。それが一番大きなネックなのでミネルバ大学のような理想的な授業はできないと思われていましたし、僕もそう思っていました。

しかし、最近は特にコロナの影響だと思うんですが、「ホテルの定額制」というのがあるんですね。それをやっている会社ももう16社ぐらいあって、いろんなタイプの定額制で泊まれるホテルというのがあります。 その中の一つが「ホテルパス」と言うんですが、これもいろんなランクがあって、安いものは7万円ですね。 7万円弱で69000円ぐらい、つまり1ヶ月7万円弱で同じランクの色んなホテルに泊まることができるんです。

これは本当にミネルバ大学のような日本の各地を転々と移動しながら、 授業はオンラインでやって校舎は持たないと言う、そういうコンセプトの日本語学校を作るのには、とても素晴らしいチャンスなんじゃないかと思います。

一か月7万円弱というのが、家賃として高いか安いかというのは、もちろんケースによると思うんですが、しかしミネルバ大学と同じようにこういう形式にすれば、校舎のようなものを日本語学校は用意しなくていいんですね。教室とか机とか椅子とかプロジェクターとかそういうものが一切必要なくなります。必要なのは 先生のコンピューターと安定したインターネットのアクセスですね。それも実際に必要なのは先生側だけで、学生側のインターネットはホテルの方でちゃんとやってくれるはずですから、それを考えるともう今はミネルバ大学式の日本語学校を作るのには何の支障もないと言えると思います。ハードウェアとしてはですね。

もちろんコロナが今は一番大きな支障となっているので、留学生が入学するのは困難となっていますが、しかしだからこそ今準備している日本語学校の先生方は時間があると思います。今あるような日本語学校の校舎、黒板、机、椅子、プロジェクター、こういうものは全部処分してしまって、こういうミネルバ大学式の日本語学校を開校する準備が、今ならできるんじゃないかと思います。

留学生がいなくて普通の授業ができないわけですから、今こそそういう準備期間として最適なのでコロナが一旦落ち着いて、日本語を勉強したい、日本の社会を体験したい、という学生さんがもう1回日本に留学できるようになったら、その時はこういう素晴らしい教育ができるようになるんじゃないかと思います。

そして冒険は続く。

【ブログ更新情報のメールでのお知らせ】
「むらログ」更新情報のメール通知を希望される方は、こちらでご登録ください。
https://groups.google.com/g/muralog/about

【参考資料】
日本人が知らぬ超難関「ミネルバ大学」破壊的凄み
世界のエリートが熱視線、ハーバード蹴る人も
吉見 俊哉
https://toyokeizai.net/articles/-/437415

【ホテルのサブスク16社比較】人気!おすすめ「サブスク」定額制「ホテルに泊まり放題」| おひとり様TV https://ohitoritv.com/hotel-subscription/

「ホテル暮らし」始めませんか? | hotelpass https://livingpass.goodrooms.jp/

むらログ: 語学教育は経験経済になる http://mongolia.seesaa.net/article/483338335.html

ミネルバ大学式の日本語学校を作ろう - むらキャス - Radiotalk(ラジオトーク) https://radiotalk.jp/talk/725136

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?