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手書きの推薦状を求めらたら

冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

さて、佐久間司郎さんが手書きの履歴書について書いていたので思い出したことがあります。ちょっと前の話ですが、とある組織に提出することになる推薦状が「手書きのみ」となっていたのです。名前は出しませんが、検索して見るとかなりアナログでブラックな職場のようでした。

それより前に、同じようなことで困っている同業者の投稿を SNS で見たこともあります。その時は訳が分からなかったのですが、聞いてみると「コピペで同じような推薦状ばかり書いてほしくないからではないか」という考えも共有されていました。

しかし言うまでもありませんが、手書きというのは極端に非効率です。おそらく音声入力に比べれば手書きは20倍ぐらい時間がかかると思いますし、書いた後に編集しようと思ったら誇張なしに100倍ぐらいかかってしまうかもしれません。

このようなコストに対して、「コピペの使い回しを防ぐ」というメリットは全くありません。なぜなら、手書きではなくてもコピペの使い回しを防ぐことは簡単にできるからです。

実は僕のところにも「推薦状を書いてほしい」という声はよく来るのですが、なぜコピペにならないかと言うと大体相手から書式が決められているからです。書式と言うより質問ですね。質問に答える形の推薦状で、しかも質問はだいたい組織によって違いますから、どうしたってコピペを使い回すことはできません。GoogleフォームのようなWeb に入力する形式で頼まれることもありますし、編集ができる PDF でくることもあります。(でもこの場合は Windows か Mac ではないと編集できなくて Chromebook だと大変なので、できればWeb 入力のみにしてほしいと思っています。)

皆さんにも考えてほしいのですが、コピペの使い回しを防ぐのに有効なのは、書式は自由で手書きの推薦状なのでしょうか。それとも、採用側の質問に答える形の推薦状でしょうか。

また、「自作自演を防ぐため」という理由を書いているウェブサイトも見ましたが、これも全く意味がないです。なぜならデジタルな推薦状の場合は、推薦者のメールアドレスに推薦状の入力フォームが送られてくるからです。僕はいつも Gmail を使っているのですが、「Gmail は使えないので職場の公用メールを書かせて欲しい」とお願いされることもあります。これも自作自演を防ぐためのごく簡単な方法ですよね。

ここでも考えていただきたいのですが、受験者の自作自演を防ぐために有効なのは、手書きの推薦状を求めることでしょうか。それとも、推薦者の機関の公用メールアドレスに連絡することでしょうか。

「ありきたりなコピペを使ってほしくない」とか、「自作自演を防ぎたい」というだけの理由で手書きの推薦状にこだわるようなアナログな組織は、おそらくこうした普通の組織のやり方を知らないのだと思います。

ということで、手書きの推薦状を要求するような組織は、以下の意味でかなりダメな組織なのではないかと思います。

1.業務プロセスが著しく非効率
2.情報収集能力が低い

そして、これは推薦状ではなく、履歴書などの手書きにこだわる組織についてですが、僕の知っている範囲でも手書きにこだわる組織とそうでない組織の間では、給与にかなり明確な差がある感触があります。もちろん手書きの履歴書を要求する方が給与が低いのです。当たり前ですよね。時間もかかりコストが高い方法をやっていては、人件費に回すお金が少なくなってしまうのは当然です。

ですので、上記の1,2につづいて、手書きの推薦状を要求するような組織は

3.給与が低いブラックな職場

である傾向が強いと考えていいと思います。少なくとも履歴書に関しては、「手書きの履歴書を要求する企業と、そうでない企業の両方で働いてみたら、やはりアナログな企業はブラックだった」という意見は数多く見受けられます。もう常識といってもいいでしょう。

そこで、手書きの履歴書を出せとかいう会社もいくつかあったのだが、だいたいブラック企業でしたね。 「手書きの履歴書にこだわる会社、だいたいブラック企業」|Nissy@ココロの整体師|note  https://note.com/nissy0241/n/n889ae1a9d3ba
ブラック上司が「履歴書っていうのはな、入りたいって気持ちを伝える手紙みたいな物なんだ。だから一文字一文字誠心誠意丁寧に書くんだ。」と言っていたのを聞いたことがあります。「【ブラック企業診断】履歴書に手書きを求めてくる会社には行くな。」|とりあえずやってみた。 https://toriaezu-yattemita.com/post-463/
信頼性担保のため少しだけ自分の話をさせていただきますと、2012年くらいから定期的に転職活動をしていて、28歳で月給18.5万のブラック企業からスタートし、5社ほど経験。一次面接も含めれば100社を超える数の企業面接を受け、34歳の現在は月給約30万のわりとホワイト企業でサラリーマンしています。「手書きの履歴書を求める会社はなぜ入社しない方がイイか【無駄すぎ】」 | あまいぱんブログ https://amaipan.com/handwritten-resume/


履歴書の場合はまだ「手書きで人柄を見ることができる」という迷信を信じている可能性もありますが、採用する本人ではなく推薦者の人柄まで手書きという非効率な方法で、推薦者の負担を求めるのはどう考えてもホワイトな組織ではありません。

推薦状をお願いしてきた学生さんの求めるものが進学であれ、就職であれ、皆さんの学生さんを推薦するのにふさわしくない組織である可能性が高いと思っていいでしょう。学生さんのためにも、そのような組織には入らないことを強く勧めましょう。もう「手書きの推薦状はお断りします」と言ってしまってもいい時代だと思います。2020年ですからね。

そういう組織で働いている人はおそらく僕のブログなど目に入らないと思いますが、万一、「耳が痛い」という人がいらっしゃいましたら、まずは Google の「初めての働き方改革」などで勉強してみることを強くお勧めします。

「はじめての働き方改革」 | gacco https://lms.gacco.org/courses/course-v1:gacco+pt030+2019_08/about

そして冒険は続く。

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【参考資料】
日本語教師と就職活動いろいろ | さくまログ
https://shirogb250.com/2020/09/25/shushokukatsudou/

むらログ: 手書きの大学入試では漢字の減点をやめよう!
http://mongolia.seesaa.net/article/461556469.html

むらログ: 気持ちを伝えるのは手書き文字ではなく笑顔
http://mongolia.seesaa.net/article/417985984.html

むらログ: キーボード敵視をやめさせるための一提案
http://mongolia.seesaa.net/article/451305728.html

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