Zoomでイベントを主催するための6ステップ
冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?
さて、10月12日は色々な意味で象徴的な日でした。
実は僕は国際交流基金の来年度派遣の面接を受けに日本に帰ってきたのですが、 ご存じの通り台風19号による交通機関の運休などにより会場に行くことができなくなり、先方からの提案でウェブ面接となりました。
一方で、同じ10月12日は日本の官庁が主催する日本語教育の大きなイベントが同じように台風によりキャンセルされましたが、こちらはオンライン版がなかったので、そこで話す予定だった人も、聞く予定だった人も、何の代替手段もなかったようです。このイベントのために海外から日本へ一時帰国していた人などの交通費などを考えると、いったいどれほどの社会的損失があったのか想像すらできません。
しかしアナログな組織ばかりでもありません。このイベントに参加するはずだった日本語教育関係の出版社の一つから、このイベントの代わりに、当日オンラインイベントを開くからZoomのアカウントを貸してほしいと僕に依頼があり、そういうことは大歓迎ですので僕も協力しました。僕の有料アカウントでオンラインイベントを設定し、「ホストキー」をそのイベントの主催者に共有したのです。これでこの出版社は僕がいなくても、このイベントのホストとして、いろいろな機能を管理することができます。
同じ日には、ドイツの日本語教育関係の集まりがあり、こちらも僕は有料アカウントを貸し出して協力しました。
このように柔軟に対応できる組織とそうでない組織がなぜ別れてしまうのかは僕にはよくわからないのですが、今日は柔軟に対応できない組織のかたを対象に、少しずつステップアップしていく方法を考えてみたいと思います。
ちなみに、ライブ配信イベントはプログラミングなどのような専門知識が必要なわけではないので、デジタルツールにそれなりに慣れている人はいきなり「ステップ5」から始めることができると思います。以下に書くのは、あくまでもアナログな人向けの案内です。
ステップ1 録画を見る
「ライブ配信? それっておいしいの?」 という人は、まずは録画を見てみるのがいいのではないかと思います。以下のリンクを開けば1秒後には視聴することができます。2倍速で視聴したり、スキップしたり、一時停止をしたりすることもできます。これでライブ配信イベントの大体の雰囲気をつかむことができるでしょう。見るだけですから、何のリスクもコストもかかりません。
YouTube再生リスト「JFT日本語教師オンライン講演会」
https://www.youtube.com/playlist?list=PL8xNAgRaT_iTn3Y-kC96SMstICygpVFmd
ステップ2 参加する
次に必要なのは、こうしたオンラインイベントに一般参加者として参加してみることです。国際交流基金トロント日本文化センターは現在「行動中心アプローチによる日本語教師研修」を毎週行っていますし、上記の録画のように「オンライン講演会」も毎月行なっています。また、4ヶ月に一度「オンラインEdCamp」も行っています。こうした機会はもちろん他の組織もたくさん行なっておりますし、その多くは無料ですから、組織としての予算獲得なども必要ありません。こうしたイベントの情報を集めるには、 僕やタイの松原さんが「#日本語教育ウェビナー」というハッシュタグで、 Twitter で投稿しているのを見ればいいと思います。以下のリンクを開いてブラウザにブックマークしておいてください。
(そもそも論なのですが、日本語教育関係のイベントを主催するような立場の人であれば、 Twitter などのソーシャルメディアで日本語教育関係の情報を集める姿勢も必要です)
ステップ3 無料アカウントを内部で使う
オンラインイベントに一般参加者として参加し、ライブ配信の現場に立ち会うことができたら、早速無料アカウントを開設してみましょう。詳しくは以下の記事をご覧になればいいのではないかと思います。
Zoomアカウントの作成手順 | オンライン化であなたのビジネスを革新する / ZOOMアカデミージャパン
https://zoomy.info/manuals/account/
しかしいきなり公的なイベントを主催するリスクは取れないような組織もあるでしょう。その場合は組織の中で使ってみるのがいいと思います。具体的には、会議室を一切使わず、ミーティングを全てオンラインで行うのです。最近のラップトップパソコンには内蔵カメラがついていますから十分に可能なのではないかと思いますし、デスクトップパソコンの場合も、1000円から2000円程度の Web カメラを使えば、すぐに始めることができるでしょう。なお、スピーカーから音を出すとハウリングの原因になるので、 ヘッドフォンも必要です。これだけあれば十分ですが、マイクが付いているタイプのヘッドセットであればなお他の人には聞きやすくなると思います。
具体的な会議の始め方は、以下をご覧ください。
Zoomミーティングを開始する方法 | zoom革命
https://zoom-japan.net/manual/pc/start-zoom-meeting/
ちなみに無料アカウントでは、40分までしか連続して会議室を開くことができません。しかし、長い会議でも40分に1度程度はトイレやコーヒーなどの休憩を入れる方が集中力も続くと思いますし、40分が過ぎてしまって会議室が強制的に閉じられてしまったとしても、全く同じ URL をもう一度開くだけで、同じ会議室に参加することができますから、この時点では無料アカウントで全く問題ないと思います。
なお、この段階で学ぶべきことは、ライブ配信のホストの権限で何ができるかということです。 特にブレイクアウトセッション(小部屋に別れたグループディスカッション)の使い方はここで覚えておくといいと思います。
ステップ4 無料アカウントでイベント主催
組織の内部でのイベントがホストできるようになったら、無料アカウントのままで、いよいよ公的なイベントをホストしてみましょう。先ほどのステップに加えてやらなければいけないことは、 お客様を呼ぶということです。
最も手間がかからないのは、 ZOOM の URL を公開して、 日時を指定し、来たい人に来てもらうという方法です。
ただし、Zoomには100人という上限があります。この上限に達してしまいそうな場合は、先着順などにする方が混乱がありませんから、メールアドレスを登録してもらい、そのメールアドレスに上記の URL を送ると良いでしょう。
また、不特定多数の前で話すのが嫌だという人も多くいらっしゃいます。その場合も、上記のように申し込みフォームに登録してもらうといいでしょう。そうすれば参加者はすべて特定されます。嘘のメールアドレスを 登録するとZoomには参加できませんから、一般の学会などのようにオフラインの誰でも参加できるイベントよりはよほど安心できるでしょう。
なお、この場合も無料アカウントなので、40分しか連続して会議室を開くことができません。一つ一つのセッションを40分以内にするか、40分に一度休憩を入れる必要があるでしょう。
ステップ5 有料アカウントを借りる
40分の時間制限が気になるようになってきたら、友だちに有料アカウントのイベントを作ってもらい、それをホストしてみましょう。
友だちにお願いすることは以下のとおりです。
・Zoomイベントの日時を設定する
・Zoom会議室のURLを共有する
・ホストキーを共有する
この3つだけしてもらえれば、あなたがこのイベントのホストとして、有料アカウントのサービスを使うことができます。しかし、基本的に違うのは40分に一度の休憩を入れなくていいということだけです。
もしお近くに有料アカウントを持っている友だちがいなければ、公的機関なら僕が協力しますし、個人でも既にお付き合いのある方ならお気軽にお問い合わせください。
ステップ6 有料アカウント開設
さて、ここまでできたら、あとはもう無料アカウントを有料バージョンにアップグレードするだけです。有料版アカウントをがあれば、ステップ5のタスクを友だちにお願いする必要がなくなります。
冒頭にも書きましたが、デジタルに慣れている人なら、ステップ1から始める必要はありません。ご自分の好きなレベルから始めてみてください。
ツールは別にZoomでなくてもいいのですが、こうしたテレビ会議やライブ配信サービスはすでに社会のインフラとして普及しています。誰でも無料で使える時代なので、公的なイベントならデフォルトでライブ配信する必要がありますし、ライブ配信しないのなら、会場に来られない人をバッサリ切り捨てているという認識が必要です。当然、何らかの特殊な事情があることを説明する必要があるでしょう。
エドモントンの教師の集まりでも、最近は会場に来る人とオンラインで参加する人のための両方のオプションがあります。会場の住所と、オンライン参加のためのURLが併記されているのです。日本のイベントでもぜひこのような選択肢を用意することを期待したいと思います。
そして冒険は続く。
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【参考資料】
むらログ: ライブ中継されない理由とその危険性について
http://mongolia.seesaa.net/article/459682524.html
むらログ: 教師研修はもう「オンラインでの学び方」だけにしません?
http://mongolia.seesaa.net/article/458229209.html
むらログ: Zoomで効率よくグループディスカッションする方法
http://mongolia.seesaa.net/article/470337706.html
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