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Advanced Squad Leader (ASL) 勝利への道:戦術探究 実戦編 BROADWAY TO PROKHOROVKA: SHOWTIME (2)

以下は、第1ドイツ軍ターンの終了時です。

ソ連軍の進入を始める前に、どうすれば勝利できるか考えてみましょう。

現状、6CGVPの差でドイツ軍がリードしています。ごく単純に考えれば、シナリオに勝利し(5 CGVP)、かつ敵のAFVを撃破することによって1.5 CGVPを稼げばこちらの勝ちです。盤4番、盤44番にいるAFVにつき1CGVPという、大きな不確定要素はありますが。

こちらにとってネガティブで不確実な要素は、ソ連兵が捕虜になること。捕虜の1CVP=1 CGVPなので、「生きて虜囚の辱めを受けず」ではないですが、絶対に捕虜にならないように注意しなくてはなりません。具体的な対策は、最前線で歩兵だけが突出しすぎないこと、潰走路は常に確保しておくことです。これはそれほど難しいことではないでしょう。敵が、混乱兵のいるヘクスの背後にハーフトラックを乗り付けてドイツ兵が降りるといった奇策を講じない限り大丈夫なはず。

また、先述のとおり、このシナリオは、終了時に、盤4番、盤44番にいる移動可能なAFVにつき1CGVP発生します。非力なハーフトラックもAFVではあるので、ドイツ軍は最後までそれらを安全な場所に置き、最終ターンに一気にエリア内に入ってくるはずです。ここは、ソ連軍にとってちょっとつらいところです。

こちらの勝利の可能性は、終盤までソ連軍の大半の戦車たちを、ドイツ軍の戦車・突撃砲から見えないところに陣取っておき、5ターン目に姿を見せて対峙。最終ターン(ドイツ軍の5.5ターン目)の移動&防御射撃フェイズで、接近してくる敵をどれだけ討ち取れるかにかかっていると思います。消極的ですが、これしかないでしょう。

以下は、第4ソ連軍ターンの終了時です。思い切り途中経過を省略しましたが、ほとんど特筆に値する変化がなく、ここまでがある種の初期配置みたいな感じでした。将棋で言うなら駒組み、囲碁で言うなら布石、チェスで言うならオープニングがえんえん続いて、やっとお膳立てが整った印象です。

ざっくり説明すると敵の歩兵は、ほとんどが上側に集中して突っ込んできました。対してAFVは、軽車両は背後に隠れているのは予想どおりで、戦車・ III号突撃砲は横に並ぶ感じで戦域の半分まで進んできて停止し、ソ連軍の出方をうかがっています。

こちらはと言えば、敵歩兵の進軍に対応して、歩兵の大半を上側方面に集め、戦車はドイツ軍の突出を半ば期待して、陰に潜んでいます。要するに互いが互いに相手の出方をうかがう、いわば三すくみ(というか二すくみ)的な感じ。

こちらの軽迫撃砲が敵のハーフトラックを撃破したり、敵のIII号突撃砲がこちらのT-34/43を倒したりなどありましたが、それほど情勢に大きな影響はありません。

全体的に動きが乏しいまま、そのまま最終ターン終盤に入ります。

以下は、最終ターンです。ソ連軍の防御射撃のフィナーレを飾る戦闘爆撃機による攻撃が終わったところです。その時点で勝敗が確定するのでここでゲーム終了です。

直前のソ連軍ターンに、我が方の戦車はぞろぞろとドイツ軍の戦車の眼前に出てきて決闘を挑みました。とにかくこちらとしては、敵のAFVを少しでも減らす必要があるためです。もちろん向こうは応射してきて、多くの車両が撃破されましたが、こちらも敵のAFVを3両倒し、1両のティーガー戦車を走行不能にしています(ちなみにドイツ軍は、スツーカ2機の援軍を得ていたのですが、結局戦場に間に合わずでした)。

最後の最後で、油断してオーバースタックになっている軽車両へ、戦闘爆撃機が地点攻撃を仕掛けますが、惜しくもスカ。これで勝負は決まりました。このシナリオ自体は、ソ連軍は文句なしの勝利を得たものの、これまでのCGVPを累算すると、ドイツ軍がわずかに1.5ポイントリード。前のシナリオ終了時の6ポイント差からだいぶ詰め寄ったのですが、ソ連軍は惜敗しました。

今回の対戦を振り返って

キャンペーンの1つめと2つめのシナリオで、(CGVP建物はいくつか確保するも)2連敗したのは、結構辛く、これを覆すために3つめのシナリオでかなり頑張る必要がありましたが、一歩及ばずでした。苦しい情勢にかかわらず、ソ連軍の戦士らは、まずまず良い戦いをしたと自賛できるでしょう。

ところで大きな期待をもって臨んだ今回のミニキャンペーンですが、蓋を開けてみると、お世辞にも面白いとは思えませんでした。これには、キャンペーン自体の問題とシナリオ自体の問題があります。

まず、キャンペーンが3連戦というのは、ちょっと短すぎ。5連戦は欲しいところでした。そうでないと最初の2戦でどちらかの陣営が苦戦してしまうと、その時点で勝敗が見えてしまうからです。まあ、そういうコンセプトのキャンペーンなのだと思いますが。

またシナリオ自体も、クルクスの戦いらしさは微塵も感じられませんでした。終盤になるまで、互いの戦車はほとんど隠れていましたからです。

以前、コラムにも書きましたが、良質なシナリオの要件は、最初から最後まで大なり小なり、手に汗握る交戦が連続することです。ですが、これら3つのシナリオには、それがちょっと欠けている面がありました。というか、ダメなシナリオの典型かな。ダメなシナリオは、序盤から中盤まではとても静かな戦場で、最後の最後でいっせいのせで、攻撃側が盤外突破をしに行く、あるいは防御側が反攻して、大乱戦となるものなのですが、まさにそんな感じのシナリオなのです。もちろんプレイヤーの攻め方・守り方の方針にもよりますが、今回のミニキャンペーンに関しては、「また次回もやりたい」という気持ちになれませんでした。正直、今度は全く別のシナリオをして、お口直しをしたいという心情。それでも有益な経験は積み、さまざまな知見を得られたということで、よしとしましょうか。

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