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Advanced Squad Leader (ASL) 勝利への道:戦術探究 実戦編 MACZEK FIRE BRIGADE

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戦争というものは決して規則どおりには進行せず、多くの場合、それ自体の偶然の成り行きに即応して考案されるものである。それゆえに冷静な気持ちで戦争に取り組む者の方が安全であり、そのために憤激するものはかえって失敗するのである。
― トゥキディデス

シナリオの概要

1939年9月4日、ポーランド、ノヴィ・タルグ地区。ドイツ軍の第2装甲師団、第4軽師団、第3山岳師団を含む第22軍団は、クラクフ南方のベスキッド山脈の防御陣を撃破する命令を受けます。ポーランドの防衛部隊には第10(自動車化)騎兵旅団が含まれていました。旅団長のセント・マチェク大佐は、直ちに麾下の第121軽戦車中隊に「火消し隊」の任務を命じます。

今回は当方が、攻撃側のドイツ軍を担当します。

プレイエリアとポーランド軍の初期配置は以下のとおり(ポ軍は、1~2ターン目にかけて右端より軽戦車計5両の増援あり)。

ドイツ軍の勝利条件は、ゲーム終了時にI列より右(北)にある16棟の建物のうち12棟を支配していれば勝利。

攻撃側のドイツ軍は、軽戦車や装甲車が7両に、オートバイやトラックに載せた歩兵が10個分隊。第1ターンに左の盤端から進入します。

オーバーレイの指示を除くSSRは以下のとおり。
1. ECは乾燥、風は無し。放火とは禁止。
2. ポーランド軍の一線級・エリート分隊は自動火器ボーナスを有する。
3. 乗車兵のないトラックは、即座に帰還する。
4. 車両操作班は自発的に車両を放棄できない。

ゲームの長さは5.5ターンです。

序盤戦の検討

ゲームを始める前に序盤の進撃方針について検討しましょう。

多数のオートバイやトラックがあることに注目。この種のシナリオは、どれだけこれに乗った状態で、最前線まで近付けるかどうかが勝敗の鍵を握ります。

(防御側からすれば、どれだけ最前線から遠いところで降車せざるを得ない状況を仕掛けられるが、鍵となります。)

そのために戦車を先行させて露払いさせることにします。つまり、スモークディスチャージャーを発射し、機銃で移動中射撃をし、必要に応じ敵前衛にVBMフリーズします。

オートバイやトラックは装輪車両なので、道路から進入するのは確定。道路は2か所あります。当初は、丘沿いの道路を通るつもりで、あれこれ考えました。この道路だと、X軸上で臨機射撃を受けるリスクを最小限にして(ただしゼロにはならない)進撃距離を稼げ、さらに後背にある2つの建物を、敵の妨害を受けずに占領できそうに思えたからです。

その案を放擲したのは、結局のところ、少々進撃距離を稼いだところで、2ターン目には無傷の敵の射撃にさらされる場所へ出ざるを得ないことが1つ。また、後背地へ一部の兵が行こうとしても、途中で臨機射撃を受けて転がれば即頓挫。その銃弾の洗礼を通過しても、右端からやってくる「火消し隊」の餌食になるリスクが大だからです。

そして、ポーランド軍の歩兵は9個分隊(士気値7)に対し、こちらは10個分隊(士気値8)。圧倒的に歩兵戦力が勝っているわけではありません。そのため、分散行動は各個撃破につながりかねず、終盤には連携行動がままならなくなるはずです。

ということで、下の道路から長蛇の列となって突き進んでいくことに決めました。5.5ターンしかないので、多少の危険は顧みずです。

その多少の危険を、前回のコラムに即して見える化しましょう。
敵のMGは4FPと6FP。6FPのHMGは、9-1指揮官がついているはず。所有している分隊の固有FPはとりあえず無視して、
4FPが0DRMでNMC以上の結果を出すには→修整前DRが6以下
6FPが-1DRMでNMC以上の結果を出すには→修整前DRが8以下
オートバイは常時-1DRMなので、それぞれ7以下、8以下となります。これはちょっと看過できないリスクですね。

ただ敵はCE状態の戦車を優先して撃ってくるかもしれません。その場合、
4FPが+2DRMでNMC以上の結果を出すには→修整前DRが4以下
6FPが差し引き+ 1DRMでNMC以上の結果を出すには→修整前DRが6以下
リスクはだいぶ減ります。

実際に撃ってくるかどうかは、何とも言えませんが、あえてCE状態で走って臨機射撃を誘ってみるのはアリです。スモークディスチャージャーの成功率もDR5→6へと上がりますし。+2の煙幕が1つでも2つでも展張できればいうことなし、そこまで幌馬車隊を進められます。

こうした確認作業は面倒かもしれませんが、「重ゲー」は先憂後楽。絶対あとでラクですし、納得感のあるプレイができます。

ゲームの流れ

さて、ここまで把握してゲームスタート。以下が第1ドイツ軍ターンの終了時です。

一気通貫というか、敵が路上に次々と配置する残留FPもなんのその、それを通過したりよけたりしながら、かなり際どい所まで前進することに成功しました。

敵の頼みの綱であったATRも故障し、2個分隊がこちらの機動中射撃によってこんな状態になっています。とは言えここまでは想定の範囲内。そこからどう進むか、思案する場面が増えていきます。

以下が第2ドイツ軍ターンの終了時です。

直前のターンにポーランド軍のマチェク大佐の「火消し隊」の一部が侵入してきています。こちらはといえば、手近な建物を占領していくことに集中するため、進撃速度は鈍ります。占領の役目は歩兵なので、(ポーランド軍の戦車と相まみえるまでは)戦車隊は脇役になります。脇役とはいえ、機銃の火力は頼もしく、敵兵を追っ払う要の武器となります。ところが、CMGが故障、歩兵に撃たれて麻痺、狙撃されて帰還となるなどトラブル続出。今後の先行きに何やら暗雲が漂ってきた印象があります。

以下は第3ポーランド軍ターンの終了時です。

たった1ターン半の間に戦況が様変わりしています。ポーランド軍の残り3両の戦車もやってきましたが、2両は撃破(1両は帰還予定の2号戦車に、1両はATRに)、1両はATRによって走行不能となった際に戦車兵が脱出したため放棄されています。こちらも1両は狙撃を受け帰還、1両は三たびの白兵戦によって走行不能後、撃破されています。また、2両の2号戦車が、20mm砲型TKS軽戦車に睨まれています。

ただし全体的に見てこちらが優勢のようです。前線において、敵歩兵が踏ん張っている建物は3区域しか残っていないからです。これらの2区域を圧壊すれば、こちらの歩兵は割と自由に建物を獲っていけ、対歩兵火力に乏しい「火消し隊」がいたところで、食い止めるのは困難だからです。

以下は第4ドイツ軍ターンの終了時です。

この時点でポーランド軍は投了しました。籠る建物が蜂の巣になりながらも耐えていた、最前線の4-5-7分隊とヒーローがついに亡き者となり、後方の混戦状態は、こちらが1個分隊に対し、向こうは指揮官1人で勝ち目は薄いのを見てのことです。ドイツ軍は2ターンもの時間的余力を残して勝利しました。電撃戦の見本のような戦いでした。

今回の対戦を振り返って

今回のプレイの最中に、自分が2年前に出戻るよりもはるか昔に、このシナリオを別の人と対戦した記憶が少しだけよみがえりました。たしか、オートバイ隊は盤内に入ってすぐのところ、木立の陰で降りたと思います。そのせいで、前線への到着が遅くなり、勝負は最終ターンまでもつれ込んだのでした。

それに対して今回の進撃は、ギリギリまでオートバイとトラックを進ませ、戦車は撃破や麻痺のリスクも厭わず、敵の真ん前まで躍り出ては移動中射撃を繰り返し、常に敵を圧迫しました。これが功を奏したのは間違いありません。少なからずのシナリオと同様、このシナリオも、攻撃側の成否を分かつのは、アグレッシブさを終始保てるかどうかです。偶然と成り行きが、攻撃の矛先を多少鈍らせるでしょうが、その点さえ留意しておけば、ドイツ軍が勝利する確率はとても高いと思います。

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