【書評】人月の神話(フレデリック・P・ブルックスJR 1995)

■1言要約

システム開発の難しさは「製品コンセプトの統合とコミュニケーション」にある。

■読んだ理由

システム開発の難しさはどこにあるのかを知るため。また、何に注意してシステム開発に臨むべきなのかを知るため

■学んだこと

・コンセプトの統合では、アーキテクトが主導し、少人数による製品コンセプトの統合が望ましい。

・コミュニケーションロスがシステム開発の失敗を呼び起こすことになる。マネージャーの仕事はチーム内のコミュニケーションに気を配ること。

・人月はコストを表すが、単純に進捗に置き換えることはできない。人月計算による見積時のスケジューリングの甘さが、進捗遅れを及ぼす。

■今後どうする

・製品コンセプトを早めに顧客と共有するため、ウォーターフォール型ではなくプロトタイプを先に作るスタイルで仕事を進める必要がある。

・コミュニケーションしやすい組織(ネットワーク的)、適切な量のコミュニケーションとなるように調整可能な組織づくりをマネージャーは行うべきである。

■その他雑感

SIerのSEとして仕事をする人間として、この本は読んでおくべき内容だと思って読んでみた。基本的には、大規模システム開発の難しさに焦点をあてた本であったが、システム開発内で知っておくべき基本的な内容が記載されていたように思う。

ソフトウェアの困難は「複雑性」「同調性」「可変性」「不可視性」があり、これらに対処するために、製品コンセプトの統合と適切なコミュニケーションが必要となる。

1995年ごろに書かれた本であったが、今主流のアジャイル的開発をおすすめしていたり、現在でもその意見は十分するように感じる。少なくとも、レガシーシステムの開発や保守をしている担当者はこの本を読み、自分のプロジェクトに置き換えながら読み進めることができ、自分のプロジェクトに生かすことができる部分もあるはずだ。


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