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さまざまのこと思ひ出す桜かな

久しぶりにカラオケボックスでオカリナの練習をしてきました。

オカリナが趣味という人にとって、いちばんの悩みのタネは練習場所ではないでしょうか。郊外の一軒家に住んでいる人なら別に悩むことはないかもしれませんが、街中の集合住宅だと隣近所に遠慮せざるを得ません。

近くの公園で吹くとか、マイカーの車内、公民館、あるいは“消音器”を利用する、時間帯を限定(午前10時~午後4時)するなど、みなさん苦心しているようです。

私は紆余曲折をへて、いまはカラオケボックスにしています。wi-fi ができるところであればパソコンを持ち込めば伴奏音源も確保できますから。

カラオケボックスで必ず吹く10曲

コロナ禍のこの2年間は緊急事態宣言が何度も出たせいで、そうなるとカラオケボックスは営業停止になり、オカリナの練習時間が激減しました。

カラオケボックスでは新しい曲の練習、ビブラート、タンギングなどの反復練習もしますが、それとは別に必ず吹く10曲があります。時間がない時はこの10曲だけ吹いて帰ることもある、楽譜を見ずに吹ける“持ち曲”です。

・大きな古時計
・旅立ちの日に
・野に咲く花のように
・空も飛べるはず
・君をのせて
・さくら(独唱)
・ハトと少年
・学生時代
・芭蕉布
・イムジン河

他にも暗譜してる曲はあるのですが、基本はこの10曲です。こうして眺めると、オカリナを始めたころからお世話になっている「おとタマ」さんの影響が色濃く残っていますね。

「おとタマ」は、オカリナの楽譜と伴奏を無料で公開している、愛好者にとってとてもありがたいサイトです。定番曲から隠れた名曲まで揃っていて、独学でスタートした私には感謝の言葉しかありません。

桜ソングの代表曲「さくら(独唱)」

さて、季節は春。さくら便りが気になるころです。

毎年この時期になると、あちこちで桜&卒業ソングの特集が組まれます。ネットをみていたら、「10代に刺さった卒業&春ソングTOP 50」というのがありました。

記事のなかで「“春ソング”といえば?」というアンケートで1位、卒業ソングでも4位にランクインしたのが「さくら(独唱)」。私の“持ち曲”でもあるのでうれしいですね。

森山直太朗さんの名前を一躍有名にした楽曲で、いまや桜ソングの代表曲ともいえます。オカリナとの相性も抜群で、吹いていて気持ちいい曲です。

中原蘭さん演奏の「さくら(独唱)」、何回聴いたことか。特別なテクニックはないけど、曲調のよさをあますところなく表現しており、こんなふうに吹けたらといつも思います。

「さくら(独唱)」のほかにもコブクロやケツメイシの「桜(さくら)」、「桜色舞うころ」(中島美嘉)、「桜坂」(福山雅治)などなど、桜ソングには名曲が多いですね。

日本人が愛してやまない“国花”であることはもちろん、桜が喚起するイメージ(別れと出会い、門出)が感情に訴えかけてくるからでしょうか。

「さよならだけが人生だ」

そう、人生は出会いと別れの繰り返し。出会ったものは必ず別れなければならない。だからこそ、いま、出会っている「この時」を感謝しよう……。

先ほどあげた卒業ソングにも入っている「YELL」(いきものがかり)の歌詞で好きなところ。

サヨナラは悲しい言葉じゃない
それぞれの夢へと僕らを繋ぐ YELL
ともに過ごした日々を胸に抱いて
飛び立つよ独りで 未来(つぎ)の空へ
……

サヨナラは未来(つぎ)の空へ繋がっていくのです。

「碌山美術館」の桜

さまざまのこと思ひ出す桜かな 

俳聖・松尾芭蕉の句です。思い出のなかの桜は人それぞれでしょう。私の場合、一番新しい思い出は「碌山美術館」(長野県安曇野市)の桜です。

明治のはじめ、この地に生まれた彫刻家・荻原守衛(碌山)。日本近代彫刻の金字塔ともいうべき「女」は歴史の教科書でみたことがあるでしょう。

訪れたのは3年前の4月中旬でしたが、桜が咲いていました。ヨーロッパの片田舎にある教会のような建物と桜の取り合わせは、愛と美に生きた短い生涯を象徴しているようでした。

画家を志していた碌山は、修業のため渡ったパリでロダンの「考える人」に出会い、彫刻家として立つことを決意。ロダンに師事し26歳で帰国して創作に没頭、亡くなるまでの4年間に制作した14点が展示室に並んでいます。

最後の作品となった「女」のモデルは新宿中村屋の女主人相馬黒光(良)。碌山は彼女への思慕を断ち切れず苦悩していました。「女」を完成した一月ほど後、大量の血を吐いて忽然と世を去ります。30歳の若さでした。

自分の命と引き換えるように愛の苦悩を至高の美へと昇華させたのです。

碌山美術館は、地元の教職員が中心になって募金活動をくりひろげ、小中学生をふくむ多くの地元民(29万9千余人)の熱意によって誕生しました。

荻原守衛は郷土の誇りであり、敷地内の草花はいまも地元のボランティアの人たちが四季折々に植え替え、管理しています。来館者は年間約5万人。安曇野屈指の人気の観光スポットです。

本日も長くなりましたので、最後にyoutube で見つけた日本古謡「さくらさくら」で締めくくります。



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