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月のかけらを集めて夢を飾り眠る

花ごよみ by Ocarina ②「月光花」

秋は月が美しい季節です。最近はしみじみと月を見ることがありませんが、澄んだ夜空に浮かぶ満月を見ると神秘的な気分になりますね。

月見れば千々にものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど(百人一首)

秋の月はなぜこうも人の心をゆさぶるのか? 欠けては満ち、満ちては欠ける月が、万物の枯れはてる冬の訪れを予感させるからでしょう。

音楽の世界でも「月光」(ベートーベン)、「月の光」(ドビュッシー)のクラシックから、「月のしずく」(柴咲コウ)「三日月」(綾香)などのJポップスまで、月にまつわる楽曲は寂寥感が前面に出ています。

数ある名曲のなかで「心に残る一曲」をあげるとしたら「月光花」です。

ロックバンド「JanneDaArc(ジャンヌダルク)」23作目のシングルで、2004年から放送された日本テレビ系列アニメ「ブラック・ジャック」の初代オープニングテーマ曲でした。

高校生になったばかりの娘が同アニメにハマり、「月光花」のCDを買ってきて「これいいよ!」。勧められるまま聴いた私もいっぺんで好きになりました。

月の夜の悲しげな、物寂しさが表現されています。普通に聴けば、失恋の歌です。しかし、主人公であるブラック・ジャックは、母を亡くした悲しみから医者になることを決意したわけで、歌のなかで偲んでいる相手を母親と想定すれば辻褄があいます。

とはいえ、恋愛色の強いことに変わりなく、アニメ版ではブラック・ジャックのイメージにあわせて原曲とは少し歌詞を変えており、それはサビの部分。

生きる意味探している 誰もみな旅人
遙かなる旅路巡り 僕は今歩きだす
棘(いばら)の道の向こうへ♪

驚いたのは、ロックバンドなのに「散り逝くと知る/花はそれでも強く生きてる/色鮮やかに」など、詩情あふれる言葉の数々です。

ロックバンドなのに、というのは失礼きわまりないですが、素晴らしい、他の曲も聴いてみたいとyoutube を覗いてみたら…。ゴリゴリのロックで歌詞も英語多め。いやはやついていけず、早々に興味を失いました。

(バグパイパーヒロシさんのオカリナ演奏。G管の音色が素敵です)

調べてみたら、2007年に活動を休止し、2019年には解散しています。「月光花」という楽曲は、ある意味、“突然変異”だったのかもしれません。

「月光花」は一度も見たことのない花、一度は見たい花。あくまでも想像力の産物と思っていましたが、実際に存在する花でした。

雲南月光花は、別名キバナアマ、レインワルティアとも呼ばれ、中国やインド原産の半常緑低木で、冬から春にかけて鮮やかな黄色い花を咲かせます。 

(日本花卉ガーデンセンター)

開花時期は12月~4月で、冬の花の少ない時にとても目をひく美しい花と紹介されています。

(「花ごよみ by Ocarina 」は月1回掲載)

「時の砂散りばめても あの頃へ還れない」

「月光花」 作詞・作曲 yasu 平成17年(2005)

悲しげに咲く花に 君の面影を見た
大好きな雨なのに 何故か今日は冷たくて
淡く儚く 夜に揺られて 
溜め息一つ 堕ちた花びら

月の欠片を集めて 夢を飾り 眠る
時の砂散りばめても あの頃へ還れない

ふと見上げた星空 また君をさがしてた
いくつ夜を越えれば 涙は“強さ”になる?

季節は巡り 森は染められ 
風は奏でて 想い溢れて

逢いたくて 愛おしくて 
触れたくて 苦しくて
届かない 伝わらない 
叶わない 遠すぎて
今はもう 君はいないよ

散り逝くと知る 花はそれでも強く生きてる 色鮮やかに

月の欠片を集めて 夢を飾り 眠る
時の砂散りばめても あの頃へ還れない
逢いたくて 愛おしくて 触れたくて 苦しくて
届かない 伝わらない 叶わない 遠すぎて
今はもう 君はいないよ

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