見出し画像

マスクの誤解を解くよ2ー不織布マスクが良い理由ー

「マスクの誤解を解くよ」を書いたときとはマスク関連の状況が変化し、当時はなかったウレタンマスクが登場したり、各種マスクのフィルター能力に関する新しい知見も得られたし、変異株の登場で1段上の対策を目指したいところなので、2を書きます。

長くなるので結論から。

「不織布マスク」を「できるだけ密着」させて使ってね!

「ウレタンマスク」はやめよう!

もうこれだけでも良いのですが(笑)、提言するからには明確な根拠が必要だと思うので、そこに至る理論の解説をします。

さて。

エアロゾル感染がWHOやCDCにも受け入れられ、換気が有効だという後ろ盾ができたのは良いのですが(まあそもそも1年前から日本は換気頑張ってますが)、マスクに関しては誤解も起こりやすい様で「エアロゾル感染ならマスクは無意味!マスクは不要!」という真っ裸希望(笑)のご意見から、「エアロゾルなら全員いつでもどこでもN95にしなきゃダメだろ!」という過剰防衛なご意見まで、両極端の方向へ元気よく走り去っていく人々を何人も観察しました。

もちろん、多くの人はきちんとご理解なさっているとは思います。

ただ自分としては「空気(エアロゾル)感染かどうかの定義に拘るより、感染対策が正しく伝わることが重要」と思うので、正しいマスクの選択法は、とても大切な内容で、1人でも多く、正確に理解してほしいと思う所です。

そもそもエアロゾルとは

まず議論のために最低限の定義が必要ですので、マスクの話に入る前に、エアロゾルの定義だけ確認しましょう。

以下、私は医師の立場で語るので、WHOと同じく、エアロゾルは「5μm以下の粒子」という定義に則ってお話します。

本題のマスクについて

マスクには防御力の高い順に、大雑把に4つ。

1)N95マスク
業務用のマスク。効果は高いが息苦しさがあるため日常使いには不向き。

2)不織布マスク
KN95、KF94、他規格防じんマスク、サージカルマスク、市販の不織布マスクを含む。

3)布マスク
ガーゼマスク、布マスクを含む。

4)ウレタンマスク

があります。

で、その各々の素材と粒子の除去性能を実測した結果がこちらです。

画像1

水色が飛沫、それ以外が全てエアロゾルになります。

これを見ると一目瞭然ですが、素材的にウレタンマスクは直径5μm以下の粒子(=WHOの定めるエアロゾル)はほぼフリーパスです。

つまり、ウレタンマスクはエアロゾルに対しては完全な「スケスケマスク」というか「伊達マスク」です。エアロゾル感染の重要性がわかってきた以上、ウレタンマスクはまずい。非常にまずい。

そして不織布マスクであれば、エアロゾルも十分防げるのが分かると思います。

そもそも市販されている不織布マスクの大半は元々PM2.5対応です。あのPM2.5の2.5って、そのまんま粒子の直径(μm)なんですよ……つまり、フィルター自体はエアロゾルに概ね対応しています。

画像2

あと、この実験データを見ると、N95マスクと不織布マスク(特にサージカルマスク)はほぼ同じに見えます。しかし、実際の使用上は防御力が異なってきます。

なぜなら、N95マスクはフィットテストを行って隙間なく装着するのに対し、不織布は鼻周りや脇が多少あいているからです。なので不織布マスクの実際の防御力は、フィルター性能通りにはならず、もうちょっと低いです。そのかわり苦しくはない。

なので、不織布マスクを使う時は、鼻のワイヤーをしっかり曲げてフィットさせること、鼻から顎までしっかり覆うこと、サイズの合うものを使うことが重要になってきます。

更に言うと、不織布マスクを顔にピッタリ沿わせることができればフィルター能力に近い能力になるのですから、ファウチさんがやっていたように上から布マスクでおさえたり・・・

マスクバンド(100円均一でも買えます)で後頭部から引っ張るなどは、変異株に対して有効な工夫と考えられます。

あとは、高級不織布マスクとして、KN95やKF94を使うのも手です。実際にどちらも使ってみましたが、普通の不織布マスクとはフィット感が全然違いますね。良いです。高いけど。なお偽物も多いらしいので気をつけましょう。私はLG社のKF94を購入しました。耳ゴム長さ調整機能があるので、顔が小さい人でもカパカパしません。

使用感は、フィルター面が広くて口から離れているため、むしろ普通の不織布マスクより呼吸が楽です。これは愛用者から良く聞く話なので、私だけの気のせいではないはず。

本筋とは関係ないですが、KN95 は鼻筋が通って見えるので美人効果があります。

画像3

画像4

最後にマスクにまつわる誤解いろいろ

● マスクをしていれば感染しない。
→ 感染させる確率、感染する確率をどちらも下げますが、ゼロにはなりません。みんなでつけて、みんなで確率を減らす。

● 不織布マスクは隙間があるので防げるのは飛沫のみだから、不織布マスクを推奨するということは飛沫感染だ。
→ 上で見たようにフィルター性能自体は良いので、そのままでもある程度のエアロゾルを減らせますし、各種の工夫で密着させると、さらに効果が高くなります。

● マスクでウイルスが増殖するからかえって危険。
→ そんなわけはありません。ウイルスは人の細胞がないと増殖できません。

● マスクで酸素濃度が下がる。
→ マスクのフィルターは酸素をカットしたりできません。酸素分子はとても小さいです。

● ウイルスのほうがマスクの網目より小さいので意味がない。ウイルスは0.1μmしかないんですよ!
→ ウイルスは単独ではなく、エアロゾルや飛沫の液滴中に含まれて飛んできます。なのでPM2.5対応なら概ねフィルター性能は十分と考えて下さい。

● マスクの網目を通る時に飛沫が細かくなってエアロゾルが増える。
→ 実験データで示されているようにエアロゾルは減ります。

● マスクにまつわる実験データは全部捏造だ。
→ すいません、議論になりません。それ言ったらマスクは害という意見も全部根拠なくなりますよね。

まとめ

「普段使いの変異株対策」でのkのオススメ。

●立体型の高級不織布マスク利用
●不織布+布マスクでフィットさせる
●不織布+マスクバンドでフィットさせる

もちろん密ではない屋外で距離も保てるならマスクに拘る必要はありません。家で一人ならマスク不要。

TPOでメリハリつけて大丈夫です。

以上、COVID-19を正しく恐れて、正しく対策致しましょう。

画像5

いらすとやさん・・・二重マスクまであるんだ・・・(笑)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?