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めぐ

 夜と海の境目が分からなくなった時間に、昔親友が海に携帯を落とした話を思い出している。黒のストレートの携帯だった。彼女がパンダの頭がくっついているウエストポーチを愛用していた頃だ。
彼女とは専門学校が同じだったが親密になったのは卒業してからで、それ以降は恋人がいない時期などは特に一緒に時間を過ごした。お金もないのに煙草を吸っていたし高頻度で喫茶店へ行っていた。彼女には随分助けられたものだし、私は彼女のヒモだった。全身全霊ヒモだった。彼女は笑っていた、おかしいだろ、って言ったら多分「だってあの頃はしょうがなかったくね?」と言いそうだ。自分を肯定するわけではないし簡単に親友とは言うが、錦織恵と井上彩の関係、みたいなものが存在はする、まだしているのかは知らん。勝手にしとく。

明後日2年ぶりに会う。会わない間で彼女はとても強くなり、私は相変わらずうだつの上がらない生活をしている。良くも悪くも変わらない私を心配したり腹立たしく思ったりしていることだろうが、それでも口を挟まずにいてくれるのは私の捻くれた性格を重々理解している故だろう。歯痒いだろうな。

私が老いても老いなくても1番良い自分でいてほしい。もうこちらからの心配は何もしていないし。素晴らしいことだ、かも、しれなせんね、SAMURAI

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