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アドビ「PDFの日」イベントレポート:PDFの未来の姿としてAcrobatのAIを紹介

アドビは先日、PDFの日を前にプレス向け説明会を開催し、PDFにまつわる利用実態調査とPDFの未来の姿として、4月から英語版を提供開始したAcrobatのAI 「Acrobat AI Assistant」を紹介しました。

アドビは今年、電帳法の改訂や郵便料金の値上げなどを背景に、どの程度、文書業務のデジタル化が進むのか、どういう問題がデジタル化のさまたげになるのか、などを理解するための調査を行いました。調査によると、下記のような非効率的な業務が多く行われていることがわかりました。


約8割が、メールにZIPが添付され、後からパスワードを受け取った、送ったことがある

メールに添付ファイルをつける場合、ZIPファイルに固めてあとからパスワードを送る、というものがあります。実に82%の人が過去1年間に送ったまたは受け取ったと回答しました。この方法、実はあまりセキュリティの対策になっていないという指摘もあります。文書をクラウドで共有することが簡単にできる時代になっているのですが、まだこの習慣は残っています。続いて、どんな書類を紙で使用しているかです。

主な紙業務は見積書/請求書、領収書

上位としては見積書、請求、領収書などがあげられます。

約7割が紙書類をPDFなどのデジタルデータと郵送で二重送付

見積書、請求書、領収書を紙で郵送している、と回答した人を対象に、デジタルでの郵送の有無を聞いたところ、約7割の人がデジタルでも郵送しているにもかかわらず、原本も送っていることがわかりました。紙でしか送っていない、という人はわずか3割程度でした。

もしこの紙でもデジタルでも送っているという人がすべて郵送をやめると、日本全体でかなりの生産性がアップするのではないでしょうか。10月から郵便料金が30年ぶりに大幅に値上げされることが先日決定されました。
このままでは、企業の郵送コストも3割増となってしまいます。

デジタル化したくない理由は、不慣れなため、業務が増える

では、どうしてこのような業務がデジタル化されないのでしょうか。個人としてどういう理由でデジタル化したくないのか、で聞いてみました。

最も多かったのが手書きに慣れているから。というものです。続いて、デジタルに不慣れだから、業務が増えてしまう、という回答も目立ちます。一方、会社がデジタル化を認めていないという回答は12%にとどまりました。会社の制度としてはあるものの、デジタルに対し不慣れである、アナログに慣れているので、あまり使いたくない、という答えが多かったことになります。これは、デジタル化のメリットが伝えられると変わってくると思われます。

また、会社としてデジタル化が遅れている会社では働きたくないという結果も出ています。

約6割が、デジタル化の遅い会社では「働きたくない」20代はより顕著に


年代でみると20代は64%がそういう会社では働きたくない、との回答でした。昨今人材の確保も難しくなっていますが、採用の面でもデジタル化の取組みに消極的だと不利になってしまいそうです。
今回PDFの日ということでデジタル化に関する業務を中心に回答をご紹介しましたが、デジタル化してもなおムダと思われる業務もあります。

こうした「一応やっている」という仕事が、企業の生産性を下げている可能性があります。
PDFの日にあわせて募集した「私のイチオー業務川柳*」でも調査で上位にあがっている業務をテーマに多くの作品を応募いただきました。
※「私のイチオー業務川柳」入選作品はこちらからご覧いただけます。

そこで、アドビはみんなでストップ、一応やってる仕事ということで5つのストップ宣言を提言しました。

みんなでSTOP 一応やってる仕事〜5つのSTOP宣言〜

ここにあることはすべて、デジタルによる代替え手段が用意されています。これは、アドビだけがすることでもなく、誰かに対してやりなさい、というものでもありません。ひとり一人の心がけで変えていけるものばかりです。あるいは、管理職の方の考えひとつで変えることができることばかりです。

ドキュメントのデジタ化の先、PDFの未来「Acrobat AI Assistant」
デジタル化のメリットのひとつが、ドキュメントが企業の資産になることです。PDFは、どの会社にもあるデータですが多くの場合、保管されているケースがほとんどです。AcrobatのAI機能によって情報を抽出したり分析したりすることで、会社のナレッジの財産に生まれ変わる可能性があります。

「Acrobat AI Assistant」は、Acrobat Reader とAcrobat のワークフローに深く統合された、生成AIベースの対話型エンジンです。この日は、開発中の日本語版でPDFの要約の生成、ドキュメントとの対話の内容を電子メールにコピー&ペーストしてするデモを紹介しました。Acrobat AI Assistantは、PDF内にある情報のみを要約するため、生成AIで発生するハルシネーションなど信頼性の低い情報を提示することはない点が特長です。

AIによりビジネスパーソンの業務が効率化され、情報が企業の資産になる。それがドキュメントのデジタル化の先、PDFの未来です。

アドビは現在、Acrobat AI Assistantの日本語版の開発を進めております。リリース時期や機能の詳細については未定ですが、どうぞご期待ください。