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ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARSに対する不安定で様々な感情

そうか、と思った。
いつかはこんな日が来ると、考えてはいた。
開始時から継続してプレイして、月額課金サービスが始まった月から継続し続けていた。本当に毎日ログインしていたか、イベントを逃していないかと言われると微妙だけど、大型のアップデートは一度も逃していなかったと思う。
スクスタはおれにとって、最初から終わりまでをずっと見届けた初めてのアプリゲームだ。6月末のサービス終了が迫る中、つのる思いを書き留めておこうと思った。


ゲーム部分について

妙なゲームだった。2ライン2タップのリズムゲーム。音ゲーとしての難易度は他ゲーと比べるのも憚られるくらい低かったが、編成した9キャラのうち、今選んでいる3キャラがノーツごとのスコアや確率でスキルを発動するというやつだった。
音ゲーがうまくても編成が弱いとスコアが出ないタイプのゲームは色々あるが、リズムゲーム部分がここまで弱めに設定されてるゲームも個人的には珍しかった。あまり詳しくはないが、リニューアルする前のナナシスとかこんな感じだったような気がする。

左右から来るノーツを取るのに、画面のどこを押しても良い。
ノーツを引きつけてSP特技を撃つのはDJMAX TECHNIKAみたいで好きだった

編成するキャラの属性・タイプによってダメージやスコアの倍率が変動する。また曲よってはデバフや妨害効果のあるノーツが振ってきたり、キャラの持つパッシブの中には学校を指定するものがあり、曲によって要求されるキャラの要件は多岐にわたっていた。
システム的には音ゲーではなく、RPGが近かった。
そしてRPGタイプのゲームは、ハンドスキルを要求されない代わりに、重い育成に付き合うか、編成を充実させていくか、スコアを上げるためにはこの2つしかない。
体感だがスクスタは育成部分の比重が、他ゲーと比べて比較的軽かったように思う。
……そう言えるのもおれが継続してスクスタをプレイしていたからで、アニメ一期の頃とか、後発でゲームを触ってくれた人はみんな苦い顔をしていた。そして継続してプレイしている人も、ゲーム的な編成にはみんな苦い顔をしていたと思う。


一人を選ぶということ

ラブライブ!シリーズのいいところは色々あるけれど、おれが思う『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のいいところは、他ユニットに比べて「一人を選ぶ」ことに重きが置かれていたところ、だと感じていた(一応、過去形にしておく)。
箱推しよりも単純にコスパがよく、またその娘が好きということがプレイ方針に、アイデンティティになりうる。
スクスタは、キャラ事の専用育成アイテムと、それぞれのソロ曲にちなんだキズナエピソードによって、つまりはそういう「一人を選ぶ」コンテンツの楽しみ方を推奨してくれているように感じていた。

サ終が決まってからのイベントで栞子さんが報酬にいて、全てを出し切りキズナLvはカンスト

だけど運営的には、それはコスパが良すぎたのだろうと思う。
追加されていく高難易度譜面は特定の属性やタイプのカードを編成しないとクソデカダメージやファッキンデバフが降ってくるようなものばかりで、クリアマークをつけるには編成条件を厳しく見ながら、どのキャラを引くか吟味しなければならなかった。
そしてカードの性能を上げる限界突破、いわゆる限凸をするには、そのカードを複数枚引くか、限界突破をし終えた分のカードを更にダブらせたときにもらえるアイテムを集めるか。
アイテムで限凸できるので特定のカードを絶対に複数枚引く必要こそなかったものの、URをダブらせたところで限界突破に必要なアイテムが手に入る数は微々たるものだった(イベント報酬とかで細々集めていた)。
育成が軽いと前述したのは、この限界突破を諦めた場合、ステータス上限まで鍛えること自体はすぐ終わるから、という意味合いが強い。
だから運営的には、とにかくガチャを引いて欲しかったのだろうと思う。有償石限定のお得そうなガチャが、高頻度でやってきていたのを覚えている。

おれはどうしたかというと、早々に高難易度攻略を諦めた。クリアしたところでめぼしい恩恵がなかったからだ。
一応「高難易度」フォルダにある曲をクリアするのが素材集めの効率が一番良かったので、各学校のユニット曲のうち簡単なものに限って、やりこんでいる友人からのサポートを受けつつクリアした。
その頃が一番ゲーム部分に対して向き合っていたが、以降に追加された高難易度譜面をクリアしてもアイテムの入手効率は変わらなかったので、プレイさえしなかった譜面が多くある。

ピンクマカロンはどれでも取れて、スノハレ・君ここ・青ジャン・全速・SEをオートで回ってスキチケ余らせてたよね、というスクスタプレイヤーにしかわからない「あるある」

やり込みコンテンツ的には、マッチングした他プレイヤーとスコアを競い順位づけられるビッグライブや、曲ごとのスコアランキングもあった。
だけどおれがちゃんとゲームに取り組もうと思った時期がちょうど、限定ガチャによるカード性能のインフレが始まった頃と重なっていて、それで普通に萎えてやらなくなった覚えがある。
初期の頃の背景とかに揃っていないものがあるので、これがやらなかった時期を表しているのだろう。
おれは長くプレイはしてきたが、ゲームとしてやり尽くしてはいなかったし、やり尽くそうとも思わなかった。


末期

結局おれは、たった一人だけのためにガチャを回し、限界突破するプレイスタイルになった。
クリア目的でもスコア目的でもない、自己満足のプレイスタイル。でもそれが自分の「一番したいこと」だったのは間違いない。
その結果、ガチャに使う石は常に天井分をキープしつつ、口を開けて新規カードの実装を待つだけというゲームになった……なってしまっていた。
課金はしなかったわけじゃない。一万円で購入すると、だいたい一万五千円ぶんくらいの無償石が一ヶ月の間、細かく分けて毎日もらえるパックがあった。それを三回くらい購入した覚えがある。
これは効率の良さと引き換えに即時性がないので、新規カードが実装される周期を予想して「そろそろかな」とか言いながら買ってた記憶もある。
μ'sの9人、Aqoursの9人、ニジガクの12人のうちたった一人だけ、「1/30」を待つだけであれば、余裕をもって石を貯めることができた。

継続期間によってグレードの変わるメンバーズカード。
最後まで遊んでいたことの一番の証明はこれかもしれないな

スクスタパスという月額1500円のサービスが始まってからは育成アイテムの入手数にバフがかかり、局地的に集めにくいアイテムも溢れるようになった。
たしか一年前にココイチのカレーを狂ったように食ってた頃には既に、手持ちのスクールアイドル全員の育成がすべて終わっていて、育成アイテムが余り続ける状態になっていた。
もらえるガチャ石の数も増えたので、スクスタパス実装後は衣装つきセット以外に課金することは一切なかった。
月額1500円というDisney+を超える課金をしているのだから、恩恵としては十分だったと個人的には思うけれど、毎日ログインしながら「やることねーなー」と思っていた時間は、健全なものでは決してなかっただろう。
だからゲーム部分に関しては、正直に言ってこれじゃだめだろうなと思ってはいた。
スクスタのゲーム部分は、最初から最後までずっと「一人を選ぶこと」との葛藤と折り合いがつかなかったな、と思う。


キャラクター部分について

本当にちょっとしたカードエピソードが、世界で一番ありがたかった

だけどもう一つの側面であるキャラクター部分に関しては、惜しみなく賛辞を贈りたい。
素敵なソロ楽曲と連動した各種キズナエピソード、多種多様なコンセプトを魅せるヘアアレンジも含めたUR衣装、各キャラとのコミュニケーションを垣間見せてくれる毎日劇場、そして何より3Dモデルが時間や季節に応じて語りかけてくれるロビー画面。
一人を好きでいられることに必要なものが、このゲームにはすべて揃っていた。これだけはどうしても言いたかった。こればっかりは。どうしても。

オタクの嗜好を分類するとして、仮に「たった一人にトキメキ続けるもの」「関係性にトキメキ続けるもの」とで大きく分けたとしよう。
これはどちらかのみの0−1ではなく、どちらに比重がより傾いているかという考え方の話だ。イベントやグッズ、テキストひとつとっても、どちらを向いているかをよく考える必要がある。
……このセクションをどう書くかかなり悩んだのだが、結局わかる人だけがわかる書き方をしてしまうことにした。
電撃G'sのいち企画だった頃のラブライブ!は前者だった。そしてアニメになったあとは後者が強くなった。更に言えば、モバマスは前者、デレステは後者が強かった。シスター・プリンセス RePureのストーリーズパートは後者で、キャラクターズパートは前者だった。

たくさん、たくさん喋ってくれた。目を見て、前を向いて。

そしてスクスタというゲームは、前者だった。今までずっと、一人のためのキャラクターズパートを奏でてくれていた。
だからスクスタがいなくなるのは、本当にとてつもない喪失感がある。
攻略はしなかった、課金も大してしやしなかった。だけど、できることなら、おれはずっと「あなた」でいたかった。
高咲侑が悪いんじゃないんだ。だけど新聞部なんかじゃ全然足りないんだ。
この感情がわからないままスクフェス2があるじゃんとかアニメのがストーリーよかったじゃんとかゲーム部分つまんなかったじゃんとか言うやつにはアポロウーサ(マリーザのSA3)をぶっ放したくなる。歴史を感じさせてやりたい。

わかってるよ。おれたちは全部わかってんだよ。全部。わからないのはお前がスクスタをやってこなかったからだ。

スクスタのサ終は、世間の流行とも重なっているのかもしれないと、近年サ終したゲームを思い出して考える部分もある。
一人分のグッズを集めていても運営サイドから見た集金としては微々たるもので、カプ推し箱推しでいっぱいグッズ買ってる奴の方が経済を回していて絶対偉い。おれは偉くない。課金も布教も攻略もせずにいた、ただのゴミ虫だ。

それでも。
それでもおれは、できるなら、終わってほしくなかった。そう祈りながら、毎月1500円が引き落とされるのをずっと眺めていた。
だから、感謝している。四年の間、このアプリゲームが続いてきたことに対して。


ストーリー部分について

自分で今まで書いた二次創作作品上で、様々な手練手管をもって批判してきたため割愛。


最後まで行く

最後のイベント報酬めがけて、全てを出し切った

このゲームを始めてから四年経つ。当時は転職期間中でそこはかとなく鬱々としていて、そのあと就職して働いたあと、サ終のお知らせが来たときにもまた転職活動中だったので、なんか節目とかを感じている。(これを書いている今ではまた就職できたのでとりあえず大丈夫で~す)
就職活動というやつは知らんおっさんたちを相手に自分の話をするために、自分って何が好きでどう生きてきたんだっけということにフォーカスせねばならず、そこにスクスタのサ終の報が来たことで、ゲームを通して自身のことを顧みる機会となった。
こうして文章にできたのは四年という時間の、ほんの一欠片にすぎない。ゲームの記録としては不確かで、アプリを起動しなくなったら殆ど思い出せなくなるだろう。
それでも、「わかる」「ありがとう」「カス」が共存する不安定な気持ちを、少しでも吐き出しておきたかった。

おれはおれなりに「あなた」としてのロールプレイを楽しんでいた、それは確かだ

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は、ラブライブ!というIPは、これからも続いていくだろう。その在り方と目線を時流によって変えながら、おれたちと付かず離れずの位置に居続けるだろう。
その中で一つ一つのコンテンツを、歴史として丁寧に終わらせながら。

おれはこの四年間、なんとか生き延びてきた。そしてスクスタもまた、隣で息をしていた。
これから先、それを証明するものがスマホ内のスクショしかなくなっても、確かに。



「これから」がある。少なくとも、ここに


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