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【スタン】じゃんけん大会ってなんなんですか? の巻

今年も夏コミで、ADを間に合わせることができた。
しかし妙な忙しさで、もともと依頼したかった人々への連絡を怠り、普段記事が足りないときに頼りにしている仲間たちのほとんどがブルアカ島で本を作るのに忙しく、一時期はマジで落とすかもという状況だった。

今回は全然別のツテを辿った結果、新たにはっぴー太郎さんという方と知り合い、モダンの黒コンのかなり確度の高いデッキガイドを寄稿していただけたのがありがたかった。

《陰謀団式チラ裏》という記事です(AD2023summerに収録

はっぴー太郎さんとは寄稿前に顔合わせとして通話した際、地方の晴れる屋でモダンを遊んでいる旨を聞いた。休日も卓が立っているようで、紙のマジックを楽しんでいる事が伝わってきた。
おれはというと、スト6ばかりでマジックを一切遊んでいない。唯一デッキを持っているEDHもなんだかあんまり盛り上がる新カードがなく、今年は一度も卓を囲むことがなかった。
しかし楽しんでいる人の話を聞くと、やっぱり遊びたくなってくるのがマジギャザというもの。

だけどコロナが流行って一度収束するまでのこの数年間、おれはEDH以外のフォーマットをマジで遊んでいなかったために、手持ちのカードはどれも一枚ずつしかない。
そして二度のモダンホライゾンと指輪物語を完全にスルーしていた事で、モダン以下の環境はあらゆるカードパワーが上がり、何一つ組めるデッキがなかった。
まままリビングエンドくらいなら専用機だしいけるっしょw と思ったらメインからいま《否定の力》が4枚入っていてスーパービビった。赤黒に限っても既に想起系のカードが半端ない値段になってしまっている。

一応めでたく転職した先の街にたまたまカードショップがあり、継続的にプレイするために大きく移動する必要はなさそうだが……大枚はたいてデッキを組もうにも、土地さえ1枚ずつしかない状況では何一つ組めそうになかった。そしてはたけるだけの大枚もない。

どっちも1枚1万円(は?)

特に愛するカラーである黒のカードが《オークの弓使い》も《黙示録、シェオルドレッド》もバカ高くなっていて、とても手が出せそうにない。こちとら印刷費で首回りそうにないんだぞ……。

しかし、そこで謎のイベントの報が届いた。

「じゃんけん大会プロモ」……!?

スタンダードのイベント内で最近、この手のプロモーションカードを配っていることはなんとなく知っていた。夏にはエルズペスとかが賞品になっていて、大会の優勝者とは別にランダム賞で1枚配っているのだと。

それが今回は、純然たるじゃんけん大会プロモである。3-0しても一切のプライズはない。
言うても店ごとになにか用意するだろと思いきや、公式主導のイベントなので、本当に何も用意しないそうだった。


……なにそれ?



・じゃんけんへの反響

ヴェリアナだけでなく、連休にはスリーブとプレイマットがもらえるじゃんけんイベントも予定されていた。
繰り返すが本当に賞品は全部じゃんけんでしかもらえず、3-0しても何も貰えないらしい。

インターネットではまあまあ「意味分かんないよね」という声があった。マジックはルール上、勝敗をじゃんけんやダイスなどランダムで決めることを禁じているからだ。
確かにわかる。じゃんけんでしかプライズがもらえないなら、試合に勝つために構築する必要ないのでは、ということになる。

巷で話題になっていたのは「島60」。基本土地しか入っていないデッキで、さっさと投了したとしても、じゃんけんに参加する権利があるなら問題ないのではという話だった。

……本当に「島60」で来るヤツがいるかもしれないと考えると、ゾクゾクする。
どんなヤツが来るのか見に行って、そして爆笑する。
ADは常にネタ切れだし、これなら記事も書けそうだ。

しかし自分も「島60」で出て、本当に「島60」と当たったときに千日手になっては元も子もない。
ならばおれはおれなりに安いデッキを組んで、「島60」には勝とうじゃないか。
普通に大会で配るプロモが大好きな黒いカードなのも、大会に出る理由になる。ヴェリアナもブレイズもEDHで使うカードだし、あわよくば欲しい。

・カード高すぎて草

だけど、デッキがない問題はまだ解決していない。
競技マジックから離れて数年、1枚500円くらいするカードがすべて高く見えてしまう状態になっていた。
マジック・ザ・ギャザリングの構築戦は同名カードが4枚まで入れられるので、同じカードを最大4枚買わなければいけない。昔は全然気にしていなかったが、一度シーンから離れてしまうととてもきつい。メチャメチャ高く感じる。アーマードコアだって買わなかったんだぞこっちは。
ADもここ数回はずっと赤字だ。コミケの参加費だってバカにならない(C103から安くなったけどね)。

「MTGアリーナ:2023年におけるスタンダード・ローテーションのお知らせ」より

しかし聞く所によると、今年のスタンはローテーションの期間が変化し、2年毎の入れ替えではなく、最大で直近3年分のカードが使えるようになったらしい。
一昨年リリースされた「イニストラード:真夜中の狩り」までのカードがまだ使えるということだ。

おれは考えた。
この広いカードプールならば……再録されたカードやEDH用に買ったカードを駆使すれば、家にあるカードだけで、ひとまずデッキが組めるのでは?


紙 束 爆 誕

スタンダード使用可能な再録カードが思ったよりも多く、EDH用のパーツも1枚ずつ使うことでデッキの草案が完成した。
軸となるのはインスタント火力のベンチマーク《稲妻の一撃》に、M15のトップアンコモンとして名高い《かき立てる炎》。
除去も現環境はかなり強く、テーロス期のスタンダードで900円で買って使ってたのに今やアンコモン落ちの《英雄の破滅》、別に使ったことなかったけど絵違いプロモがカッコいいからという理由で持っていた《喉首狙い》と、除去と火力のスペルは一通り揃っていた。

「綺麗に組めたリミテ」では無類の強さ

それらのスペルと強烈なシナジーを形成するのがこの《熱錬金術師》である。特に「絢爛」のような本体ダメージが入ることによるシナジーはないが、除去を重ねるうちに本体にも火力が入っていくのが理想だったので、こいつを使うことにした。
もう一枚のクリーチャーである《鼠の密通者》は、2マナ1/1ETBハンデスという数多くの互換を持つリミテ番長で、昔アリーナでBrawlをやるときに似たような能力のコモン生物を良く使っていたので、きっと構築戦でも強いに違いない。この際20円×4枚くらいの出費はいいだろう。

何よりモダン・レガシーのジャンドで、魂を乗せて使い倒していた《ヴェールのリリアナ》が「団結のドミナリア」で再録されていたことで、デッキとして締まっているように見える。
ハンデスと火力。環境がわからなくても、この2つさえあれば勝てるはずだ。

これで「島60」には負けない。そしてその間抜けヅラも拝ませてもらおうじゃないか。

・じゃんけん大会のドレスコード

と思いきや開催が近くなり、「島60」が公式からしっかりと否定されていることが判明。
それはそうだろという当然のことしか書かれていないが、しかしこういう声明が出ること自体がなんだか珍しく感じられる。
その理由を考えたとき、おれはこういった公式のカジュアル・イベントに出たことが、一度もないからだと気づいた。

昔、おれにとってマジック・ザ・ギャザリングは、一種のスポーツだった。
対戦の楽しさや構築の奥深さの先にある、競技シーンという真剣勝負の場。
大会で結果を残すため、しのぎを削り研鑽し合うことが一番楽しかった。
勝ちたいから強いカードを買うこと(Pay to win)も、当時はいくらでも納得できた。

「ブッ殺し合い」というランク付けをしたテヴェログのガイド(AD5に収録

過去のAD NAUSEAMでEDHの記事を書いたときも、あくまで評価軸は「強いか強くないか」に置いた。それが自分の中での基準だったからだ。
金が無いなりにcompetitiveな環境で戦えた日々は、本当に楽しかった。
ふざけたデッキをあえて使うときも、勝利することを大前提としてデッキを組み、謎の理論を信じて進み、やっぱりダメだったとすっ転ぶまでがワンセットだった。
クソデッキ記事は真面目に勝ちたいと思っている前提があるからこそ面白い。
何を握っていても、勝つために努力することが第一だった。

しかし、この状況はなんだ?
じゃんけん大会に釣られて、カジュアルというドレスコードの中で、デッキを用意しなければならないこの状況は。
状況だけで言えば、今は強さそのものを求められているわけではない。対面が「島60」である可能性はなくなったけど、相手がどのくらい強いデッキになるのかどうかはわからない。
じゃんけんに釣られて新規勢が来るのか、それとも常連が強いデッキを持ち込むだけなのか。
何もわからない。何なら「島60」を嘲笑うという当初の目的は既に破綻している。

しかし、出直すことはできなかった。この宣言が出るよりも前に、既にじゃんけん大会の予約をしてしまっていたのだ。その数、およそ四回。
この時点で俺が選んだのは色と戦術だけ、これで本当にデッキが成立しているのかどうかもわからない。
楽しむことが目的の、「勝たなくてもいいマジック」に、おれは何を持ち込んだらいいんだろう?

・わからなかったらメタを読む

……状況をもっと分析しよう。
おれの出るじゃんけん大会は、9月11日と12日。
つまり9月8日に発売したばかりの新弾、エルドレインの森のリリース直後だ。

過去のスタンで使えた、「エルドレインの王権」の出来事カード。
かっこよすぎてEDH用にと買ったが《英雄の破滅》相当なので、対して強くなかった

エルドレインと言えば、出来事/Adventure。インスタントかソーサリーとして唱えた後、更にクリーチャーとして唱えられる、1枚で2枚以上の機能を持つカードたち。
デザインそのものはかなり好きで、「おとぎ話」の特殊枠も素敵だった。

令和最新の赤黒カード

中でも新カードの《退廃的なドラゴン》は出来事が黒、クリーチャーが赤のドラゴンという最新の赤黒カードだ。
(鷺ノ宮は赤と黒のカード以外ほとんど持っておらず、EDHでも赤黒しか組めない状態が続いている)

おれにはこれが、前述したデッキの目指すプランに、ものすごく合致しているカードに見えた。
ヴェリアナで継続的にハンデスして手札がなくなっても、追放した相手のカードを使えばOK、出来事として後で追放領域からドラゴンを唱えることもできる。
相手からカードを奪う強さは昔、カラデシュ期のスタンダードで緑黒エネルギーミラーで大活躍した《豪華の王、ゴンティ》で味わい尽くしていた。
出来事面である《贅沢な嗜好》で奪ったカードの色マナは無視できないが、代わりに表面のドラゴンがアタックするたびに宝物が出るので、これでパクったカードを使ってねという一枚で完結したデザインなのだ。
ドラゴン面のスタッツは、カルドハイム期にMtGアリーナで使いまくった《黄金架のドラゴン》と同一なのも良すぎる。

せっかくスタンをプレイするなら、このカードを使ってみたい。
だけど予約で1枚1800円とかするし、全然無理。こんなの買ったら企画が破綻する……




1枚700円だったんです 信じて下さい

4枚……買うてしもうとるやないかい!!?!?!?!??!?!!?!?!?!?!!?!?!


・アー

……こうなったらもうしょうがないよね。
結局やる気が出てきてしまい、買ったからには♪(パッパパラリラと同じイントネーション)で除去とかを買い込み、最終的にこの形になった。

《熱錬金術師》、続投。

出来事はインスタント/ソーサリーなので、2ターン目《熱錬金術師》セット→3ターン目ドラゴン出来事という最強ムーブが可能となった、一段階上のデッキ。
新カードをモリッと入れている以上、もうこのデッキを浅瀬と呼ぶことはできないだろう。

こういうカード大好き!

《退廃的なドラゴン》に次いで気になっていた新カードが《ランクルのいたずら》。盤面、手札、ライフ全てを同時に詰められる、スペシャルユーティリティ。
昔EDHで御本人こと《悪ふざけの名人、ランクル》を使っていたときから、この手の能力は大好きだった。自分にも影響があるが、なくなったハンドは《退廃的なドラゴン》が補充してくれるので何の問題もない。

環境の”ソリューション”見つけちまったナ・・・!?

そして楽しくなってきて調べているうちに見つけた、もう一枚のソリューションが《強引な妨害》だ。手札とライフを同時に詰める、新時代の《荒廃稲妻》。2t《熱錬金術師》→3t出来事→4t《強引な妨害》キッカーで相手は死ぬ。
環境のカードなんも知らんけど、相手の手札さえなくしてしまえば勝つだろう。その昔、レガシーで狂ったように《トーラックへの賛歌》を唱えていた頃から、EDHでクロクサをひたすらに出し入れしていた最近まで、一切変わらない真実だ。
「同じ機能のカードが二種類あるとデッキが成立する」という言説に則れば、《ランクルのいたずら》との二段構えで次の環境は"獲った"な。

……しかし家にあるカードを探し直したところ、《ヴェールのリリアナ》が2枚しかなかったり(多分売った)、除去には妥協できん……と《シェオルドレッドの勅令》を買ったり《硫黄泉》を買い足したりしてるうちに、結局まあまあお金がかかっていた。足りないヴェリアナの分は《レジスタンスの火、コス》が安かったので入れてみた(80円)。
土地の配分も、4ターン目までにRRとBBが最低限出るマナベースになるまで、2時間くらいかけて一人回しもしてしまっていた。
このリストができるまでに一定以上のリソースを使ってしまっている。つまり、勝ちたくなってきてしまっている。単なるネタの枠を超えて。こうなると《強引な妨害》も、もしかしたら本当に強いのでは……?

何度でも言うがこれから出るのは、勝ったところでじゃんけんの権利以外、何ももらえはしないイベントだ。
何なんだ? 本当に……おれは本当にどうしたいんだ?


・9/11 当日

リモート勤務の週だったのに、ダッシュでカードショップへと向かい、時間ギリギリに到着した。
ちなみに公式戦に出るのはガチで5年ぶりくらいで、コンパニオンとかいうアプリの使い方もおぼつかないまま参戦。いまだに本名つかわなくていいのかよくわかってない。

結局参加者は予約で埋まっていたので全部で20名。回数の限られたじゃんけん大会とはいえ、平日に集まる人数としては相当盛り上がっている。
ちなみに対戦した後、マジックをどの程度プレイしているか、じゃんけんと聞いてどう思ったかを聞いて回ることにした。以下の大会レポートとともに読んでいただけると幸いだ。


R1 白青黒ビート(フルfoil!!!)

《離反ダニ、スクレルヴ》の横に《スレイベンの守護者、サリア》が出てきて、2ターン目にして完全にデスタクと同じ盤面になった。レガシーじゃんかよ〜〜!!と思いテンションが上がる。そうだ、ローテで「イニストラード:真夜中の狩り」が落ちてないから普通にサリアいんじゃん……。
除去からのブレイズで蓋して1戦は取れたものの、サリアの返しにデッキのエースである《熱錬金術師》を置いてビタ止まりじゃろ?という顔をしていたら、横に出てきた《策謀の予見者、ラフィーン》が突然サリアのサイズを3/2にして《熱錬金術師》を踏み越えたり、そういうのとは関係なく普通に土地2枚で止まって、見ての通り1マナ除去が全然ないせいで、サリアで取られたテンポを返せずに負け。あと《黙示録、シェオルドレッド》はでてきた。
完ッッッ全に1マナ除去を取らなかった自分のせい。《切り崩し》を買うのをケチったせいで……。後で調べたら《見栄え損ない》があったので、最低限サイドに仕込んでおくべきだった。

 1-2

マジックどうですか:
地元のお店がなくなるまではかなり精力的にスタンをプレイしていたが、潰れてからは全然やってなかった。デッキもフルfoilにするほどこだわっていたが、結局店が潰れてからいじってないので、二弾くらい前のデッキをそのまま持ってきた。ほしいカードもあるにはあるけど、下環境もやってるので、必要になったときに買うし別にいいか……と。

じゃんけんについてどう思うか:
まあいいんじゃない、くらいの温度感。交通費かけてまで来るかは、正直わからない。でも遅い時間にじゃんけんできる店がここくらいしかないので今日は来てみた。
ブレイズはともかく、《ファイレクシアの憤怒鬼》はいらない。せめて構築で使われてるカードにして欲しい。描き下ろしでもないし(おれは描き下ろしじゃないことをここで初めて知った)。普通に除去とか、最低限スタンで使えるカードじゃないと。


R2 白黒赤ビートダウン

奇襲持ちの《土建組一家の調達者》を突っ込ませ、宝物トークンでマナベースを安定させつつ、《輝かしい聖戦士、エーデリン》とかサリアをはさみ、《夜明けの空、猗旺》とか《デジェルとハゾレト》とかで後続を呼んで大暴れするデッキ。
《黙示録、シェオルドレッド》も入っている。つーかまたサリアかよ!?
思い返すとタルキール時代のマルドゥミッドレンジを思い出して懐かしくなるデッキでもあった。《ゴブリンの熟練先導者》のゴブリントークンを《軍族の解体者》で食って絆魂つけるデッキ、好きだったな〜。
相手の事故もあって2体以上クリーチャーを並べる展開がなかなか作れず、単体除去で時間稼ぎしながら《ランクルのいたずら》がバッチリ刺さったり、また土地止まった相手に対してブレイズで蓋をしつつ《退廃的なドラゴン》を走らせる時間を作り、一桁のライフを手札から火力で一気に焼き切ったりして2本取って勝ち。
1戦目もそうだったけど、ブレイズで《鼠の密通者》たちを食って生贄強要するのが明確な勝ちパターンっぽい。ブレイズまだ1枚しか入ってないけど。
《退廃的なドラゴン》でめくれた相手の《忘れられた大天使、リーサ》を出して勝ったが、マジで気持ちよかった。

◯◯ 2-1 復帰初勝利!

マジックどうですか:
スタンメインのこのお店の常連。時間があれば(かつイベントが予約できれば)いつでもいくらでも出るつもり。

じゃんけんをどう思いますか:
スタンのイベントが立つならなんでもいい! これまで過疎なのでやってくれる人が増えるだけで嬉しい。またやりましょう!(ぜひ!)


R3 赤単

1ターン目から《僧院の速槍》→《熊野と渇苛斬の対峙》や《エンバレスの古参兵》などを並べていく赤単の高速ビートダウン。
一戦目は《爆発域》でX=1でたまたま3枚一気に流せてそのまま勝ったが、二戦目以降は《血に飢えた敵対者》でバッチリアド取られきって負け。
……冷静に考えてライフを回復する手段が全く入ってなかったこと、あと本当に1マナ除去が足りなかったのでどうやっても間に合わなかったことなど、敗因は明確だった。超反省。
二戦目三戦目ともに《熱錬金術師》を複数枚引いて出したが(なんか「シブいですね」って言われた)、《僧院の速槍》がガンガン殴ってくるのに対し、果敢が怖すぎて全然盤面を止められず、立っててもライフレースを返せるレベルの火力では当然なかったので、これ……もしかして……弱い?
しかも地上用の除去は《ナヒリの戦争術》とか、《魔女跡追いの激情》などのクリーチャー5点火力、つまり《黙示録、シェオルドレッド》を落とす用のカードがモリッと入るので、《熱錬金術師》での時間稼ぎなんてできようはずもなかった。せめてクリーチャーを入れていない方が除去撃つ先がなくてよかったかもしれない。

✗✗ 1-2

マジックどうですか:
モダン・パイオニアメインの競技勢。スタンを組んだのはじゃんけんと、せっかくなら今度大阪でやるチーム構築戦に持っていこうかなというのもあり、安めで強そうなのを今回ちゃんと組んだ(でも後でレガシー担当になったらしく、涙)。

じゃんけんをどう思いますか:
結局こうしてやるきっかけにはなった。でも3-0しても何のボーナスもないのはどうかと思う。じゃんけんの2戦目から参加できる、負けてももう一回じゃんけん参加できるなど、何らかのボーナスがあったほうがいい。
結局スタン勢を増やしたいのはわかるけど、今回みたいに強くて高いカードを出されても、元々ほかのフォーマットやってた競技勢が横移動するだけではあんまり意味ない。あいつらはほっといてもマジックやるんだし。
でもじゃんけんがカジュアル層が続ける理由になるイベントかと言われると、別にそんなこともないような気がする。実際に使いがちなアンコモンを配るのが一番いいと思うけど。


復帰初戦、1-2でフィニッシュ。
浅瀬デッキかつ新環境、復帰初戦だが、純然たるカードパワーの差をずっと覆せなかった感じがする。

3年間の選りすぐりのカードが使えるため、デッキパワーはこれまでより高くなる傾向にあると言えます。伴い、デッキに採用するカードの基準も高くなると予想されます。

原根健太の徹底解説!スタンダード・アナライズ 第12回より

冷静に考えたら、これは本当にそうだった。ローテーションで使えなくなったカードがないので、基本的にみんな前環境のデッキをそのまま持ち込んでいた。《熱錬金術師》でどうにかなる状況ではなかった。


そして、じゃんけんの結果は──


2連勝しました。黒大好き。これ入れてブレイズの枚数も増やしちゃお。
もちろん超嬉しいけど、でも正直に言うと、二戦目でラウンド獲って勝ったときの方が、全然嬉しかった。

明日もじゃんけん大会があったので、このあとすぐに除去とライフゲインを兼ねる《不憫と悲哀の行進》を買い足した。
実際、スタンがかなり楽しくなってきてしまっていた。
やはり4枚入った《退廃的なドラゴン》が必ず活躍するような構築になってるのがデカい。唱えないゲームは殆どなく、ハンドに来たら必ず嬉しい。4枚買って本当によかった。
ラウンドの勝敗はもちろん、じゃんけんとは関係がない。でもここまで使った時間が、揃えた手元の《退廃的なドラゴン》が、勝ちたいという気持ちを既に作り上げてしまっていた。

細かい調整をして、12日のじゃんけん大会へと向かう。
明らかにカードパワーの低かった《熱錬金術師》と、全てのマッチでサイドアウトしていた《強引な妨害》を抜き、《ランクルのいたずら》の枚数を増やして上ブレ度を増すことにした。
《鼠の密通者》とかは出た時点で仕事できてるので、まあ巻き込んでもいいか、という判断。

ハッキリいって この闘いにはついていけない…

抜いた代わりに買ってきた《不憫と悲哀の行進》、《切り崩し》をメインから入れて、サイドには《見栄え損ない》も加えていざ12日。


・9/12 当日

R1 白黒ブリンクビート

《平地》を置かれたのを見てまたサリアかよ!?と思いきや《ファイレクシアの肉体喰らい》《鋼の熾天使》を《ギラプールの守護者》《精霊界との接触》でブリンクして事実上の踏み倒しを行うデッキだった。おもしろ〜〜!!
しかし出てくるクリーチャーの基本サイズが3/3で、増やした《切り崩し》と《見栄え損ない》の圏外で、微妙に除去が刺さらない。あと《黙示録、シェオルドレッド》も普通に出てきた。
なんとか捌きながらドラゴンでパクった《鋼の熾天使》で盤面を止めていたら、《精霊界との接触》の魂力が「オーナーのコントロール下で」というテキストだったせいで相手の場にメカ天使が戻ってきて、白目向いてそのまま負け。

 0-2

マジックどうですか:
EDHから始めたEDH勢。スタンもかなりやってる。

じゃんけんをどう思いますか:
スタンが立つならなんでもいい。
モダンやパイオニアに比べて、過疎フォーマットであることはわかっているので……どんな形であれ間口は広いほうが嬉しい。
この白黒ブリンクは大好きなデッキなので、今日も使えて嬉しい。ブレイズもヴェリアナもデッキ的には入らないので、くれるならもらうけど別に執着はない。


R2 青黒ビートダウン 

エルドレイン前までトップメタに位置していたビートダウンデッキ。《漆月魁渡》での継続ドローが強み。
以前環境を調べたときのトップメタということもありかなり不安だったのだが、このデッキさえ捌ければ自信になると思いしっかり挑戦。一戦目は普通に負けたが、サイドから1マナ除去を増やしたことで捌きがギリギリ間に合い、《漆月魁渡》の奥義まで使われるも、出てくる生物が《黙示録、シェオルドレッド》止まりだったので、引いた除去を当てながら《退廃的なドラゴン》で奪ったカードを駆使して二戦目は勝ち。「奥義まで行って負けたのは初めてです」と言われて嬉しい。
しかし長時間の激戦で3戦目を終わらせられず引き分けになってしまい、こういう場合はゲームプランが遅いおれのほうが全面的に悪い。本当にごめんなさい。
冷静に考えると《退廃的なドラゴン》で奪った相手のカードとドラゴン本体で殴る以外のプランでデッキの中に勝つ手段がないので、捌き切ったところで全然ゲームが終わらない、正真正銘のクソデッキになってしまっていた。
《熱錬金術師》を抜いてしまったことがここで裏目に出るとは……。

お前がいてくれたら……その分除去を引く枚数が減って、それはそれで負けていたと思う

◯− 1-1-1

マジックどうですか:
普段はレガシー勢。じゃんけんに釣られてスタンを用意したが、色々考えた末に普段アリーナで回しているものと同じものを組んだ。ちゃんと強いデッキ以外組む気になれなかった。

じゃんけんをどう思いますか:
やり込んでなくてもワンチャンあるかもと思えたのは大きい。でも大会がカジュアルであっても、強いデッキを使おうという気持ちは変わらない。
(引き分け後なので手短にお聞きしました)


R3 白t青黒ビートダウン

入っているカードは白単寄りで、サリアと《セラの模範》や《鋼の熾天使》と《放浪皇》などが軸になっていた。トライオームを使いながら黒はヴェリアナと《黙示録、シェオルドレッド》、青は《かき消し》などのサポートカードを中心に入れているそうだった。
1戦目は《セレスタス》をガチャガチャしながら除去が間に合い、ドラゴンでどついて焼き切り。
しかし2戦目は出てきた《セラの模範》が信じられないくらいのアドを取っていき、ゲームスピードはスローだったものの全然リソースが足りなくなって負け。《精霊界との接触》が場に3枚くらい並んでた。
3戦目は引き分けた後だったので、プレイングを急いだ結果、リソース勝負するために入れたはずの《ファイレクシアの闘技場》のライフルーズに耐えられなくなったり、細かな除去選択のミス(《かき立てる炎》を先に使ったら《セラの模範》が流せなくなった)などが重なり、良いところなく負け。

✗✗ 1-2

マジックどうですか:
モダホラ2から「復帰」したが、スタンを本格的に始めたのは今年のGWのじゃんけんイベントから。プレイマットが欲しいから始めた。

(↑言われるまで知らなかったが、今年はずっとじゃんけんイベントをやっていたらしい)

最初はイベント参加用の青単を使っていたが、絵違いの《放浪皇》がメチャメチャ好きで(プレイマットも《放浪皇》だった)、まあ1枚くらい買ってもいいかなと思って気づいたら4枚持っていた。
今日のデッキも《放浪皇》を上手く使うデッキを自分なりに組んだもので、黒と青でバックアップするような形が一番しっくり来ている。

じゃんけんをどう思いますか:
最初からプレイマットのために出はじめたので、可愛いプロモはなんぼあってもいい。じゃんけん最高。ヴェリアナは嬉しいが、本命はシルバーウィークの《幽体の船乗り》プレイマット。絶対に欲しい。いろんな店舗で12回予約してます(じゅ、12回!?!?!?)


二日目は0-2-1。
コントロール握っての引き分けは、0-3よりダサい。
悪いのは自分だが、ちゃんと落ち込んだ。確かに何度デッキを見ても、ドラゴンで5回殴る以外に勝ち手段がない。コスも黒が濃くて山の枚数が少ないから、奥義まで行っても本体を焼き切ることはできないだろう。《熱錬金術師》以前の問題だった。

失意のままじゃんけんも負け、ヴェリアナは最後に当たった人が勝ち取っていったが、真っ直ぐな瞳で「《放浪皇》の絵が大好きなんです」と語られた後だったので、何も言い返せなかった。熱い男だった……。
おれも最初から、そうあるべきだったのかもしれない……「島60」がどうとかじゃなくて、かわいいブレイズとかわいいヴェリアナがどうしても欲しい、その気持ちに嘘つくことなく戦っていれば、それでよかったのかもしれない……。


・結局

わかったことが2つある。
ひとつは、読者諸氏ももうお気づきだと思うが、6戦中5戦で《黙示録、シェオルドレッド》が出てきたこと。
出てこなかった1戦は赤単ビートなので、構成上入らない。

持ってない方が悪いと言わんばかりの採用率だった

つまり、マジモンの初心者も新規勢も、一人もいなかった。
二回目のじゃんけん大会は0-1-1で迎えた最終戦、下位卓に座ってなおシェオルドレッドが出てくるので、みんな真面目にデッキを組んでいた。
シェオルドレッドはマジであらゆるフォーマットで使われているので、他の環境を嗜んでいる人ほど「どうせ使うから」もしくは「もう持ってる」ということになりがちなのだと思う。まあヴェリアナもブレイズも、いろんなフォーマットで使うし。だからおれも欲しかったんだし。

そしてもうひとつは、スタンだろうとカジュアルだろうと、やっぱりマジックは楽しいということだ。
久々の構築戦で味わえた、相手との手の読み合い、祈りながらのドロー、除去されたときのリアクション、昼夜を忘れないように集中すること、好きなカードについて話を聞くこと、その全部が楽しかった。
勝ってもプライズがないのに、というより、プライズがないからこそ、純粋に今勝ちたいという気持ちを持てていたと思う。この二日間で一番覚えていること、久々の1勝は、痺れるほど気持ちよかった。
まあ言うてじゃんけんも勝っちゃってるしなァ〜〜!!(最悪)

そして4枚買ってしまったがゆえのバイアスもあると思うが、《退廃的なドラゴン》は絵も機能もマジで大好きなカードになった。最高。「AD NAUSEAM」が「DECADENT DRAGON」になる日も近い。
ちゃんと強くて、活躍してくれる。好きなカードが強く使えるフォーマットが一番良い。

最高にかわいいね〜。普段はドラちゃんって呼んでいます

月末のヴェリアナじゃんけん大会も予約しているし、《幽体の船乗り》じゃんけんは色々な用事との兼ね合いで出られないけど、せっかくだから今後も紙のスタンダードを遊んでいこうと思う。
いやー、最初は「島60」でじゃんけんしに来ただけのヤツを爆笑できればそれでよかったのに、まさかこんなことになるとは……

ん?


……ちょっと待て

「島60」がいなくて、周りは経験者ばかり……



それって、つまり……



《熱錬金術師》を使っていて……一番、デッキが安かった……


このおれが……事実上の……











「島60」だったのか
















なんか悔しくなったのでデッキを強化して、その週のFNMで3-0しました。
あとじゃんけんも勝ちました。

これからも、おれとドラちゃんが全員倒します。

(おわりです)

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