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日本海軍軍艦の艦内編制(7)軍医科、主計科

 日本海軍艦艇の艦内編制について説明しています。今回は医務科、主計科について。
 前回の記事は以下になります。

医務科

 科では、乗員の健康管理および傷病者治療を担任する。

 ぐんは医務科の担任する職務全般と、そのために必要な装備の日常の整備に責任をもつ。
 軍医の養成は外部の大学や専門学校に依存した。海軍軍医学校では初任士官教育である普通科学生と、要職にあてるための高等科学生などがあった。また看護兵の術科教育も担当していたが戦争末期に賀茂海軍衛生学校や戸塚海軍衛生学校が設けられた。

 補助官は乗組士官、特務士官または准士官があてられ、軍医長を輔佐し、または治療所の職務を一部分掌する。

 掌かんは乗組特務士官または准士官があてられ、軍医長の指揮をうけて装備や設備の維持管理や下士官および兵の指導にあたる。

 治療所員は治療所に勤務する下士官および兵を総称して呼んだ。

 駆逐艦以下の艦艇には軍医長の配置はなく、乗組軍医科士官が上級組織(駆逐隊など)の軍医長の指示をうけながら勤務した。軍医科士官が配属されない小艦艇では上級組織から適宜軍医が巡回するなどしていたようだ。

主計科

 しゅけい科では、経理会計業務および給与(被服や食事の支給を含む)を担任する。

 主計長は主計科の担任する職務全般と、そのために必要な装備の日常の整備に責任をもつ。
 東京築地にあった海軍経理学校は、士官を養成する生徒課程、初任士官教育である普通科学生課程、ある程度経験を積んだ士官に高等の経理術を教育する高等科学生や甲種学生課程、下士官兵の各種練習生課程をすべて担当していた。高等科学生と甲種学生の違いは条文からははっきりわからないが、高等科は艦船部隊の主計長勤務を想定し、甲種学生ではさらに複雑な会計処理が必要な海軍工廠会計部長や軍港の経理部長を想定したのではないか。

 補助官は乗組士官、特務士官または准士官があてられ、主計長を輔佐しあるいは一部の職務を分掌する。

 掌けいは乗組特務士官または准士官があてられ、主計長の指揮をうけて経理科の設備や装備を維持管理するとともに下士官および兵の指導にあたる。

 りょうは乗組特務士官または准士官があてられ、主計長の指揮をうけて被服や食事の支給の実務にあたる。

 ほうすいは厨房作業に従事する下士官および兵で、最先任者を烹炊員長と呼んだ。戦闘中、厨房作業がないときは弾薬搬送や応急作業にあてるとされた。

 経理員は経理会計作業に従事する。また戦闘時は伝令や艦橋での戦闘記録にあてられた。

 駆逐艦以下の艦艇には主計長の配置はなかった。乗組主計科士官、特務士官、准士官、下士官などが上級組織の主計長の指示をうけて勤務した。

おわりに

 次回は分隊編制や当直などについて説明して最後とします。

 ではまた次回お会いしましょう。

(カバー画像は海軍陸上部隊の厨房)


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