見出し画像

証明しようとしすぎた青森山田。彼らが見せた脆さという人間味

トップ画像は ゲキサカ より。

2021年1月11日に行われた 第99回全国高校サッカー選手権・決勝戦『 山梨学院 ー 青森山田 』をTV観戦。ラスボスといわれるほどの強さを見せる王者・青森山田を山梨学院がPK戦の末に破った名勝負。観ていていろんな思いがよぎり、備忘録としてどうしても書きたくなったので書きます。

人を崩した山梨学院

まずは、山梨学院があげた2ゴールについて。僕はいつも「人を崩せ」と高校生達に言うのだけれど、そのお手本のような要素が、山梨学院の2ゴールには詰まってた。

人間は、すぐ近くに 味方 がいると動きが止まり、譲る。
意図的かどうかは知らないが、2ゴールともに、その人間の「習性・弱さ」を突いて「人」を崩した、素晴らしいゴールだった。2ゴールとも、相手を回避するのではなく、あえて「複数の相手がいるところ」を崩してるんです。

まずは1点目。ファーストタッチの瞬間、パスを受けた山梨学院・広澤(No.11)はボールでなくゴールを見てる。それで青森山田のDF二人は一瞬フリーズさせられて寄せが遅れた。さらにすぐ隣には味方がいるから、人間の習性でなおさら動けず。二人の間には、シュートコースが残ったまま。その狭い間を、広澤が確信持って打ち抜いた。完璧すぎる。

目の前に人がいても(むしろいた方が)シュートもパスも通る。これ、サッカーを人間がやる限りは永遠の真理だと思う。


そして同点ゴールとなった、野田(No.10)の2点目。この2点目も「複数の相手がいるところ」そして「正面に相手がいても関係ないっす」という崩しだった。

ファールで得た山梨学院のFK。この時、青森山田の選手達は明らかに切り替えが遅かった。素早くクイックスタートして山梨学院・山口(No.18)が後ろから走り出した時も、青森山田・松木(No.10)はまだボールに背を向けてゆっくり自陣に戻ろうとしている。

その松木と内田(No.2)の狭い間を山口がスルスルとすり抜けようとしていたけど、気づいた時にはもう、時すでに遅し。

ボールを持った山梨学院・笹沼(No.7)の前には青森山田・秋元(No.4)が正面に立ち、パスコースを塞がれているように見えても、秋元の股にはまだコースがあることがわかってるから、笹本は正面に立つ秋元の股をおそらく狙い通りに通し、山口へパスを通す。

松木と内田、狭い二人の間をすり抜けられてるからやはりここでも対応が遅れ、そこにGKも出てきて、でもどちらもうまくボールにさわれず⋯ また出た人間の習性。こぼれたボールを、野田が落ちついて浮かせてゴールに放り込んだ。

強靭に見える相手の壁を回避せず、あえてそこの「中」を選んで人の動きとパスで刺し、やはり「人を崩した」ゴール。お見事すぎた。

脆さという人間味

ラスボスと言われた最強王者・青森山田の選手達でも、こうした人間の習性を突かれて敗れた。

ここから先は

3,287字 / 1画像

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?