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Vol.2「独身のイケてる伯母」補足

「さよならパリジェンヌ」のVol.2「独身のイケてる伯母」では、私の伯母の話が長くなってしまい、肝心のパリジェンヌについて、はしょってしまった部分があったので補足します。

Vol.2では、2冊の「パリジェンヌ本」を取り上げました。

アメリカ人ジェニファー・L・スコットの『フランス人は10着しか服を持たない』(大和書房)とカロリーヌ・ド・メグレ他の『パリジェンヌのつくりかた』(早川書房)です。なぜこの2冊だったかというと、まず『フランス人は〜』は発売時かなり話題になって、売れたからです。

『フランス人は〜』の中には、二人のパリジェンヌが出てきます。コラムでも取り上げたパリ16区に住む「マダム・シック」と、11区に住む「マダム・ボヘミエンヌ」です。

パリに詳しい方ならピン!とくるかもしれませんが、この16区と11区、というのが実はポイントでして。コラムの註にも書きましたが、16区というのは超高級住宅街なのです。東京でたとえると田園調布、ニューヨークならアッパーイーストサイド、LAならビバリーヒルズ、というイメージ。そして11区はカルチャーの中心地で、東京ならいわゆる「港区」表参道や六本木のイメージです。

ひとことで「パリジェンヌ」とくくっていますが、実際には、この「16区的パリジェンヌ」と「11区的パリジェンヌ」は「別物」だとパリジェンヌたちは考えているのです。「16区パリジェンヌ」を代表しているのが映画女優のカトリーヌ・ドヌーヴです。彼女は実際に16区で育ちました。「11区パリジェンヌ」の代表はジェーン・バーキン。イギリス生まれながら、パリジェンヌのアイコンと言える存在です。

「16区的パリジェンヌ」は、いわゆるブルジョワジーと呼ばれる人々で、『フランス人は〜』の「マダム・シック」のように、コンサバティブなハイ・ソサエティだと思われます。雑誌だと『婦人画報』や『25ans』。「11区的パリジェンヌ」は、「ブルジョワ・ボヘミアン(BOBO)」と呼ばれる人々で、最先端のカルチャーを作り出したり、それを享受したりするおしゃれピープルたち。それこそ本コラムが掲載されている『ELLE』の世界です。

そして、コラムで取り上げたもう1冊、『パリジェンヌのつくりかた』の著者であるカロリーヌ・ド・メグレがコラム内で引用した序文で言いたかったのは、「みんなが想像する(16区的)パリジェンヌと私たちは全然違うから! 私たちはリアルな(11区的)パリジェンヌなの!」です。

しかし、日本にいる私たちからしたら、正直その違いは別にどうでもいいというか。。。先ほど東京で田園調布と港区のたとえを出しましたが、「え、どっちも金持ちエリアでしょ?」と思ってしまうようなもの。なので、コラムではこの2人のパリジェンヌを特に区別せずに扱っていきます。『パリジェンヌのつくりかた』以外にも、「リアル・パリジェンヌを紹介する」本はいくつか出ていて、判を押したように「みんながイメージするパリジェンヌのように、私たちは完璧じゃない、リアル・パリジェンヌだよ!」と主張するのですが、ざっと読んだ限りでは、「リアル・パリジェンヌ=11区的パリジェンヌ」であります。

今後コラムでは、16区的でも11区的でもない、「本当にリアルな、パリに住んでいる女性たちの姿」を取り上げていきますので、お楽しみに。

引き続き「さよならパリジェンヌ」をよろしくお願いします!

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連載第二回はこちら

連載第三回は近日公開予定!

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