メモ-論文(海外)(タバコ) 注意欠陥/多動性障害(ADHD)を持つ成人に対するニコチンの影響

タイトル:
"Nicotine effects on adults with attention-deficit/hyperactivity disorder"
(日本語訳:注意欠陥/多動性障害(ADHD)を持つ成人に対するニコチンの影響)

https://link.springer.com/article/10.1007/BF02246281

著者:
Edward D. Levin, C. Keith Conners, E. Sparrow, S. C. Hinton, D. Erhardt, W. H. Meck, J. E. Rose, J. March

所属組織:
Duke University, Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Durham, North Carolina, USA

研究の目的

この研究の目的は、ニコチンがADHDの症状に与える影響を評価することです。特に、ニコチンが注意力、情報処理能力、短期記憶にどのような影響を及ぼすかを調査しています。

実験の内容と方法

  • 実験デザイン: 二重盲検クロスオーバー試験

  • サンプルサイズ: ADHD診断を受けた成人17名(6名の喫煙者と11名の非喫煙者)

  • 実験方法:

    • 喫煙者には、21 mg/日のニコチン皮膚パッチを一晩禁煙後に適用。

    • 非喫煙者には、7 mg/日のニコチン皮膚パッチを使用。

    • 実験は、禁煙状態とニコチンパッチ適用状態でそれぞれ実施。

  • 測定項目: Clinical Global Impressions (CGI)スケール、SCL-90-R、Profile of Mood States (POMS)、Continuous Performance Test (CPT)、Stroop Color and Word Testなどを使用して評価。

結果

  • ニコチンの影響:

    • ADHD症状の改善: ニコチンはADHD症状の一部を改善することが確認されました。

    • 注意力の向上: ニコチンが注意力の維持と情報処理速度を改善することが示されました。

    • 気分の安定: POMSの結果から、ニコチンが気分の安定に寄与する可能性が示唆されました。

    • 反応時間の改善: CPTにおける反応時間が全体的に短縮され、特に喫煙者では試行ブロック間の反応時間の変動が減少しました。

    • 時間推定の精度向上: 時間推定の精度が向上し、推定応答曲線の変動が低下しました。

結論

  • ADHD症状の改善: ニコチンはADHDの成人における注意力と情報処理能力を一時的に改善する効果があることが示されました。

  • 自己治療の可能性: ADHDの人々がニコチンを使用することで症状を自己治療する可能性が示唆されていますが、長期的な使用は依存や健康リスクを伴うため、注意が必要です。

この研究は、ニコチンがADHD症状の管理に役立つ可能性があることを示しており、今後の治療法の開発に向けた重要な知見を提供しています​ (BioMed Central)​​ (Verywell Mind)​​ (Cambridge)​​ (Scholars@Duke)​。


研究で分かったこと:ADHDの人がタバコで症状を緩和している可能性

主な結論

1. ニコチンの効果

  • 注意力の改善: ニコチンはADHDの成人において注意力を向上させることが確認されました。具体的には、反応時間が短縮され、情報処理速度が向上しました【188†source】。

  • 気分の安定: ニコチンは気分の安定にも寄与することが示されており、気分プロフィール状態(POMS)の結果からもその効果が確認されています【188†source】。

2. ADHD症状の自己治療

  • 自己治療の可能性: ADHDを持つ人々がタバコを使用することにより、ニコチンがドーパミン作動系に作用してADHDの症状を自己治療する可能性が示唆されています。これは、注意力、情報処理速度、気分の安定に対するニコチンの有益な効果によるものです【188†source】。

  • 喫煙の動機: ADHDの人々がニコチンを使用することは、ADHDの症状を緩和するための自己治療行為と考えられます。しかし、これは長期的な健康リスクを伴うため注意が必要です【188†source】。

実験の詳細

  • 実験デザイン: 二重盲検クロスオーバー試験で行われました。17名の成人が参加し、6名が喫煙者、11名が非喫煙者でした【188†source】。

  • 方法: 喫煙者は一晩禁煙した後、21 mg/日のニコチン皮膚パッチを適用されました。非喫煙者には7 mg/日のニコチン皮膚パッチが使用されました。両グループは、禁煙状態とニコチンパッチ適用状態でそれぞれテストを受けました【188†source】。

  • 測定項目: Clinical Global Impressions (CGI)スケール、SCL-90-R、Profile of Mood States (POMS)、Continuous Performance Test (CPT)、Stroop Color and Word Testなどを使用して評価しました【188†source】。

まとめ

この研究は、ニコチンがADHDの成人における注意力、情報処理能力、気分の安定に有益な効果を持つことを示しています。ADHDの人々がタバコを使用することで症状を自己治療する可能性がある一方で、喫煙は長期的な健康リスクを伴うため、ニコチンの使用に関しては慎重なアプローチが必要です。この研究結果は、ADHD症状の管理における新しい治療法の開発に向けた重要な知見を提供しています。

参考文献:
Levin ED, Conners CK, Sparrow E, Hinton SC, Erhardt D, Meck WH, Rose JE, March J. Nicotine effects on adults with attention-deficit/hyperactivity disorder. Psychopharmacology (Berl). 1996 Jan;123(1):55-63. DOI: 10.1007/BF02246281.

感想-サンプル数が17名と少ない。関連する様々な場所での論文があれば説得力はあると考える。

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