『1R1分34秒』

町屋良平さんの作品。町屋さんの作品は初めて読む。

ボクサーとしてなかなか勝てない葛藤が描かれている。ボクサーを描いた映画ではトレーニングシーンなどがフォーカスされているが、ボクサーを描いた小説ではこのような話になるのだと思った。自分への問いかけが頻繁に行われており、減量シーンでは現実を見せられた。

他のスポーツに置き換えた作品も見てみたいと感じた。


印象に残っている文

あらゆる痛みのなかで、頭痛にだけは友情を感じない。

プライドを守るために本音を拒もうとするひとはこわくてぼくはうまく会話できない。だからこそ不恰好であっても自分の本音に迫ろうとしている人間のことはわかる。

勝った要因は皆ひとつに絞りたがり、大抵は間違っている。敗けた要因は皆百個も二百個もおもいつき、すべて正しい。これが勝負ということだ。

夢をみるとき、ひとはこどもの顔になるのか、大人の顔になるのか、それとも、本来あるべき「そいつの顔」になるのか。

一週間に一日、普段の数倍ものカロリーを摂取して、翌日からまたもとに戻す。そうするとからだは高カロリーを予測しているから足りなくてあせる。そうして効率的に体重をおとしていく。

人間関係。くそくらえだ。ぼくはボクサーだから、ボクシングでぜんぶかたをつける。

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