『ラジオ・ガガガ』

原田ひ香さんの作品。以下の話が収録されている。

三匹の子豚たち、アブラヤシのプランテーションで、リトルプリンセス二号、昔の相方、We are シンセキ!、音にならないラジオ

「三匹の子豚たち」では、それぞれの息子が母親のことを大切に思っていて良い家族だと感じた。
「昔の相方」が一番印象に残っている。恩を仇で返すというのはまさにこのことだと思った。自分が夫の立場だったら、もっと怒っていると思う。
「音にならないラジオ」では、試合に負けて勝負に勝ったという印象を持った。
「駅馬車」は過去に観たことがあるが、ピンボケしている場面は思い出せなかったのでもう一度観てみたい。

印象に残っている文

ラジオを聴きながら信子は思う。伊集院は決して自分たちを裏切らない。いや、裏切っても、その裏切ったことをちゃんと話してくれるだろう。それが物理的に可能な場所にいれば。だから、自分も他のファンたちも絶対に彼を裏切らない。

「たださ、有名な『駅馬車』という映画があるじゃない。ジョン・ウェインが出てる」「昔、テレビでやっているのを観たことがあるかもしれないわ」「あの映画、オープニングに一瞬、ピンボケしているところがあるんだよね。」

旅行中特有の感情が頭をもたげる。何か、とんでもないところに自分は来てしまったのではないか、どうして自分はここにいるのだろうという不安。その一方で、自分がここにいるなんて、誰も知らない、という妙な心の軽さ。

「いいの。夫婦ってそういうものでしょう。お互いのせいにして、言い訳して、世間に立ち向かうの、それが夫婦の役割。だから、いいんだよ。私を悪者にしていいから」


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