『だれもが知ってる小さな国』

有川ひろさんの作品。

養蜂家の息子のヒコはある日、コロボックルと出会う。

ヒコはコロボックルから、自分のことは秘密にするよう言われる。


養蜂家は日本列島を横断して引っ越しをしていくということを初めて知った。その都度新しい学校に行くから人間関係の形成が大変だと感じた。

タイトルの意味が最後に明かされて、すべてが繋がった。

有川ひろさんから継承する人はどのような物語を書くのだろうか。

今度はちみつを食べるときには、養蜂家の方のことを思い浮かべるだろう。


印象に残っている文

ヘビは、体が長く伸びているところに出会っても、たいして恐くない。けど、とぐろを巻いているのは準備完了、戦闘態勢のしるしなのだ。

移動で巣箱が揺られると、みつばちは興奮して騒ぎ、体から熱を発する。閉じた巣箱の中に、みつばちの熱が充満し、それが長時間にわたると、やがて自分の熱で蒸されて死んでしまうのだ。

シナノキのはちみつは、ちょっとクセのある甘い香りがして、味もねっとりと濃厚だ。北海道では、シナノキのはちみつが一番たくさんとれる。本州の人には、クセのないアカシアやレンゲが圧倒的に人気だけど、北海道の人にはシナノキが人気だ。

「女の子をかばってあげるためのうそは、男の優しさって言うんだ」そう言われて、ぼくは首をかしげた。「男の友だちをかばってあげるのも、優しさじゃない?」「それは、男の友情だ」

それまで、考えたこともなかったけど、かわいそうという言葉は、使い方がとても難しい言葉なのだ。

「子供たちも、コロボックルを信じています。子供が、目に見えない空想の友だちを作るのは、ごく自然なことです。ミノルさんは、大人になっても、その友だちを失っていないというだけのことです。テレビにできないというのは、あなたたちの都合であって、子供たちやミノルさんの大切な友だちを、妄想だとけなして傷つけるのは、筋ちがいでしょう」

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