『みとりねこ』

有川ひろさんの作品。以下の作品が収録されている。

ハチジカン、こぼれたび、猫の島、トムめ、シュレーディンガーの猫、粉飾決算、みとりねこ


『旅猫リポート』の外伝が含まれている。サトルがナナを飼う前に飼っていたハチが出てくる。「こぼれたび」では、サトルの人柄の良さが改めてわかった。

『アンマーとぼくら』の外伝も含まれていた。

「シュレーディンガーの猫」が一番好きな作品だ。最後は育児漫画を描き上げるというのが、いいなと感じた。


印象に残っている文

一緒に捨てられていたきょうだい猫を拾っていった女の子は、しっぽが曲がっているからハチを選ばなかった。しっぽが曲がっていたことはハチにとって大いなる幸いだった。

吾輩は猫である。名前はナナという。ーーと、この国で一番えらい猫の真似をしてみたものの、だめだな。この語り口って名前がある猫じゃいまいち締まらないや。

「カギしっぽの猫はしっぽのカギに幸運を引っかけて持ってくるそうだよ」

大人と子供の境目なんて曖昧なもんさ。その境目が存在するって信じてる子供ほど、大人たるものこうあるべきだってしかつめらしく語るんだろう。そう語るアナタはいつ、どれほど大した大人になったんだい?

「晴子さんは、今ごはんを作ってます。お父さんはレンタサイクルに……」おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に、みたいなおかしな答えをしてしまった。

クリエイターは人間で、人間は自分が手掛けたものの評価が気になる本能を持っている。その本能を封じろと言われて封じられる人間などこの世にどれだけいるのか。

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