『琥珀の夏』

辻村深月さんの作品。
「ミライの学校」の敷地で白骨死体が見つかる。過去に「ミライの学校」に参加したことがある近藤法子は、身元確認の依頼を受ける。

小さい頃に親と離れて過ごすというのは、あまり良くないことだと感じた。
大人が正しいと思っているものを子どもに押し付けて、子どもの未来を奪っているように感じた。
何か元になるような事件があったのだろうか。
ミカが泉に絵の具を流すシーンが印象に残っている。

印象に残っている文

おかゆだ、と気づいた瞬間、こくん、と頷いていた。工作で使うのりを温めたような匂いがしていた。

大人にはいつもこういうところがある。前々から仲がいい子たちを引き離して、新しい子たち同士の中に子どもを入れるのがいいと思っているようなところが。

「子どもの教育に熱心になるには、三つのものがないといけないんです」菊地が言った。歌うように、ろうろうと続ける。「金があること、暇があること、熱意があること。ーーそういう女性が〈ミライの学校〉の存在を知ったとします。夫は仕事が忙しくて、家庭のことを構わないから、家族を守る妻がまず思想にかぶれるんです。しかも、子どもや社会のために、もっと何かできることはないかと考えるそういう女性たちは、学歴があったり、真面目な人が多い。その真面目さが厄介なわけですが」

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