『サイレンス』

秋吉理香子さんの作品。

新潟の離島で生まれ育ちアイドルを夢見ていた深雪は、父の反対によってアイドルのオーディションの参加を断念する。やがて深雪はアイドルのマネージャーとして働くようになり、広告会社で働いている俊亜貴と睦まじい仲になる。深雪は俊亜貴を家族に紹介しようと久々に島に帰ってくる。


親によって夢を絶たれたというのは、子どもにとって一生忘れられないことだと感じた。

都会に住む人と田舎に住む人は異星人という記述がとても印象に残っている。どちらがいい悪いではなく、ここではそういうものだというようにお互いを認め合うことが大切だと感じた。

俊亜貴の着ていたスーツが誰のものかわかったときに、鳥肌が立った。

本家と分家があると、どちらの立場も気を遣って大変そうだと感じた。


印象に残っている文

雪は獰猛で、凶暴で、他の命を喰い殺そうと凍てつくような気焔を吐き、銀色の鋭い瞳を常に光らせた白い獣だった。

挫折を知った女に、女は優しいのだ。

「深雪だって、どうでもいい男子からダイヤの指輪もらったって、ありがたいけど、嬉しくないでしょ。その男と結婚したいと思うからこそ、その指輪が婚約指輪に化けるんであって、そうじゃなければ、ただのへヴィーなプレゼント」

「感覚が全然違うから。別に田舎が良い悪いの問題じゃないんだ。ただ、違うんだ。男と女だってさ、とにかく違うじゃん? そんな感じ。根本的に、どこか分かり合えないところがあるわけ」

「対価をもらって仕事をするのがプロだ。本当に頼みたければ、対価を支払えばいい。支払う気もないくせに、頼むだけ頼む。それは、その人の仕事を軽んじてるんだ」

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