『虚像のアラベスク』



深水黎一郎さんの作品。

「グラン・パ・ド・ドゥ」はバレエの話かと思ったら、そうではなかった。私はすっかり騙されてしまった。


印象に残っている文

「〈アン・ドゥオール〉で立つことによって、大腿骨の頸部の向きが変わり、転子が股関節の骨とぶつからずに、それ以上の角度で振り上げることが可能になるのです。」

「身体を回しはじめてからも、首はぎりぎりまで残しておいて、同じ一点をずっと凝視めておくのです。そしていよいよ首が限界になったら、今度は一気に回転させて、またさっきと同じ箇所を見るようにするのです。」

「あのさ刑事さん、相撲部屋はね、まわしを洗わないんですよ。稽古の後も本場所の後も、天日干しや陰干しにして終わりなんですよ。洗うと生地がへたって弱くなるからで、まわしを洗えるのは、親方が死んだ時だけという不文律があるんですよ」


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