『群青のタンデム』

長岡弘樹さんの作品。

警察学校の同期である戸柏耕史と陶山史香。2人の警察官人生が事件とともに時系列で書かれている。
一話が40ページほどであるにも関わらず、綺麗に事件がまとめられていて、すごいと思った。結末がとても悲しい。もし自分が戸柏の立場だったらどうしていただろう。そう考えてしまう。

印象に残っている文

「張り込みをするとき、本当の敵は犯人じゃない。通行人の目なんだよ。」

「婿入り」は、他人の家に忍び込む盗犯を意味する隠語だ。

二人は何やら囁き合っていた。一言でも多く喋った方が勝ち。そんな試合でもしているかのように唇を動かし続けている。

顔の筋肉で笑顔を作っている。いい刑事はたいてい役者だ。後輩に生意気な口を叩かれても巧みに苛立ちを押し隠す。

そんな肯定の答えが返ってくるであろう質問だけを、ひたすら積み重ね、相手の心理に「ノー」と言えないメンタルセットを作り上げる。そうしてから、やおら核心の要求を突きつけ、流れと勢いでこれにも肯定の返事を引き出してしまおうというテクニック。それがイエス誘導法だ。

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