『女神のタクト』

塩田武士さんの作品。

仕事と恋人を両方同時に失った明菜は、ある日老人と出会って特定の人物を探してくるよう言われる。その後、明菜が探していた人物は指揮者であることがわかる。


ジョンソンの大将が色々なお店に現れるのが面白かった。

ステージマネージャーの松浦の話や仕事への取り組みがとても印象に残っている。演奏者を裏から支える人も、すごいと感じた。

ラフマニノフの音楽を聴いてみて、とても好きになった。

白石麟太郎さんがメンバーを集めた際のエピソードを知って、やはり器の大きい人はこのようなことをするのだと納得がいった。


印象に残っている文

「米朝と矢吹丈とミホノブルボン。三つとも知ってるおねえちゃん、珍しいで」

彼女はいわゆる草食系が嫌いだった。草食系と言われて、そのことに甘んじる平成男子の根性が気に食わない。

パンチは甲高い声で、拓斗を呼んだ。カウンターに身を乗り出し、GHQの兵士にチョコレートをねだる子どものような勢いで右手を差し出した。

自分たちが自由に企画できる定期公演は、その楽団のカラーを主張できる絶好の機会だ。しかし、ホールの使用料から広告費、指揮者、演奏家へのギャラなど全て楽団が負担しなければならない。仮に満席になっても、赤字になるのがこの業界の常識で、チケット料金だけで経費を賄おうとするなら、聴衆にかなりの金銭的負担を強いることになる。

オーケストラの練習場は、駐車場と連結していることが望ましい。トラックで運ばれる大きな楽器を搬入するためだ。

インフルエンザに苦しむ米良美一のような、救いようのない歌だった。

残響とは平たく言えば、音の余韻のことである。一般的に残響時間は二・〇、つまり二秒ほどが美しいと言われている。

「ピアノが楽器の王様と呼ばれるのは、一台でオーケストラの音域の全てをカバーできるから。高音ではバイオリンに引けを取らへんし、コントラバスやファゴットより低い音が出る。指揮者にとってはありがたい楽器なんや」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?