『そこにいるのに』
似鳥鶏さんの作品。怖い話の短編集である。
全ての話に架空のキャラクターである「クママリ」が絡んでいる。
「六年前の日記」 〉「写真」 〉「随伴者」 〉「おまえを見ている」 〉「痛い」 〉「なぜかそれはいけない」
の順に怖かった。
「帰り道の言葉」がとても良かった。誰かにとって救いとなるような言葉を掛けられる人になりたい。
夜に読まなくて本当に良かったと思う。
印象に残っている文
都会は冬がいいが、田舎は夏がいい。しかしそれは夏休みの観光や盆の帰省でだけ田舎を訪れる都会者の勝手な感想だろうか。
新宿駅前の人混みには渋谷の窮屈さも池袋の無秩序さもないが、同じ方向に同じ速度で歩かねばならない無言のルールがあり、自分が自動的に出勤し自動で働く労働機械になったような感覚は他の街より強い。
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