『コロナと潜水服』

奥田英朗さんの作品。

以下の作品が収録されている。

海の家
ファイトクラブ
占い師
コロナと潜水服
パンダに乗って

どのお話も不思議な現象がテーマとなっている。一番好きな話は「ファイトクラブ」だ。

すでに亡くなった方が生きている人に対して何らかのメッセージを送るということがあるのかもしれない。科学的には説明できないものだろう。

小説で新型コロナウイルスの話題が出てくると、不思議な気分になる。

印象に残っている文

「頭に来ることがあっても、うまく怒れなくて、その場は我慢して、後からふつふつと怒りがこみ上げる、そういう損な性分」

海の家

せめてもの抵抗として、浩二はタケシ君のことを自分の胸にしまうことにした。結花には年月が経ったら教えてやってもいいが、洋子には絶対に教えない。思い出の共有を拒否する。浩二が実行する、小さな意地悪だ。

海の家

会社とは、何人かの犠牲者が出ることを織り込んで運営されるのである。国だってそうだ。

ファイトクラブ

「ボクシングは相手を倒す気で臨むが、一方で冷静さが大切だ。基本はヒット・アンド・アウェイ。三分間の中で何をするかを考える」

ファイトクラブ

「しかし、こういういやがらせを考える奴って、どういう性格してるんだろうね」中略「性格じゃないよ。みんな自分の身を守るためなんだよ。拒否すれば、今度は自分に矛先が向く」

そうか、車が走っていないから排気ガスが発生せず、本来の空の色を取り戻したのか。それを思うと、コロナの世界的感染は、地球を一度きれいにしようと神様が仕組んだことなのではないかと、そんな想像まで湧いて来る。

夫婦も四半世紀を過ぎると、業務連絡だけで済む。

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