『暗黒女子』

秋吉理香子さんの作品。

名門女子校で謎の死を遂げた文学サークル会長の白石いつみ。ある日他の文学サークルメンバーによって、サークル恒例行事の「闇鍋朗読会」が開催される。それぞれのメンバーが朗読していくと、怪しい人が次から次へと現れる。はたして白石いつみを殺害したのは一体誰なのか。

小百合によるプロローグを読んだとき、湊かなえさんの作品のように思えた。

イヤミスって何?という人に対して、ぜひこの本を読んでもらいたい。「このような話がイヤミスというものですよ」と伝えたい。

読んでいる途中で「誰が嘘をついていて、誰が本当のことを言っているのか?」と考えながら読んでいたが、全く予想外の結末だった。

表面には出さないが、実はこのように相手のことを思っているという姿が高校生らしいと思った。


印象に残っている文

わたしたちの年ごろの友情って、両極端だと思わない? 似た者同士で、強く惹かれあうか憎みあうか、または正反対同士で、強く惹かれあうか憎みあうか。その中間なんて存在しないの。

妬みという感情が出るのは、自分だってそうなれたはずだと思い上がっているからだと思う。

「マカロナージュ?」「生地が膨らみすぎないように泡をつぶすことです。膨らみすぎると、表面にひびが入って割れてしまうから。だけどつぶしすぎると形が崩れて、ぺたんこになっちゃいます。どこまでマカロナージュするか、その見極めがホント難しいんですよね」

その異空間の中で、女生徒たちはきりきりと主導権という糸を引っ張り合っています。その糸は痛々しいほどにピンと張りつめ、まるで針金のように手を縛り上げ、傷つけます。主導権とは、奪う方も、守る方も、無傷ではいられないものなのです。それなのに、表面では彼女たちは無関心を装い、笑顔で他愛ない会話をします。

人を思い通りに動かそうとするときには、その人物の秘密を握るーー。

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