『火のないところに煙は』

芦沢央さんの作品。

「染み」「お祓いを頼む女」「妄言」「助けてって言ったのに」「誰かの怪異」の5つの話が収録されている。


「お祓いを頼む女」では、女の言うことを全然信じていなかった。「妄言」では、崇史さんが懲役四年六ヶ月になってしまい、可哀想だと感じた。

最後の章が怒涛の展開だった。この本は夜に読まない方が良いと感じた。


印象に残っている文

まず、広告代理店としては「この路線のこの場所にこのくらいの期間掲示するならいくら」という形で広告枠を販売しており、クライアントはそれを買うという構図になっている。中吊りポスターやステッカー、ドア横ポスターや車体広告など、多様な媒体があり、期間も二日間や一週間、ひと月など様々だ。東京メトロの場合、それらの広告物は一度すべて神楽坂にある集積所に集められることになっており、そこから作業員たちがそれぞれの線の始発駅まで持っていって、一斉に貼り替えていくのだという。

本のカバーやポスターなどのカラー印刷では、赤、青色、黄色、黒の四色の点が網目のように重なることで様々な色を表現している。

妻は、何か不満があるときはこうしてまず態度で示してくるようなところがあった。直接は言葉にせず、察しろ、とでもいうような気配を出し、「何だよ」と尋ねるとようやく話し出すのだ。

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