『迫りくる自分』

似鳥鶏さんの作品。

ある日、主人公の理司は自分と瓜二つの男と出会ってバーで飲む。その後、刑事が家に来て同僚を強姦しようとした罪で任意同行を求められる。理司は自分と瓜二つの男がしたことだと気づき、刑事から逃亡する。


同僚の朴さんは理司のことを色眼鏡で見ることなく助けてくれて、とてもいい人だと思った。

兄に電話をかけたと思ったらまさかの瓜二つの男と知ったとき、正直理司はもう逃げられないと思っていた。しかし、その後の大逆転が嬉しかった。

自分と瓜二つの人がいたら、このような犯罪が起きることもあるという戒めになった。


印象に残っている文

男の子は電車もレースも好きだから、電車のレースは大好きである。

そしてフランチャイズの売上げはこちらの売上げであり、店舗管理担当者だってフランチャイズの店主と一緒に知恵を出しあって売上げを最大にすべく日々工夫している。ただ、機会ロスを減らしたいのと上からノルマをかけられているので多めに仕入れさせようとする担当者と、自己負担になってしまうため廃棄を減らしたい店主が毎日「手押し相撲」をする、というだけである。

トイレを我慢している人間や吐く寸前の人間というのは実はかなり「迫力」があり、ごつい顔ですごんで見せるよりよほど効果的なことがある。考えてみれば、「ごつい顔ですごむ人間」と「吐く寸前の人間』が道でばったり出会ったら、道を譲るのは間違いなく「ごつい顔ですごむ人間」の方である。

俺は拳銃を隠した後、増淵とともに出頭した。逃亡中の容疑者がアメーバよろしく増殖して出頭してきたわけで、刑事たちは火星人にナマステと挨拶されたかのような顔で唖然としていた。

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